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『開幕前夜』第17話「神のみぞ知る」

「01110」

………………
…………
……

 到着。

……どこか……、……多分、

空が青い、とか……、

嘘……みたいな、……惑星……。

「ねぇ……、……、……」

……………。

……当然、……のように、……っ…………居なくて……さ。あー、ハンカチはこの時のためにー、……っ……要るのかー。まー、……っ……わりと、……っ……どうでもよすぎた。

 そうしたら、

いつかの先生ちゃんの言葉を、思い出す。

(……もしも、人間の肉体というものが……鳥籠の様なものだったら?)

「……っ……、……そう……です……ね……っ……」

ひとしきりの雫。

………………
…………
……

 それから、

待ってくれていたかの様に、

よくつなぐ、音声。

「ようこそ、地球へ。円歴1979年01月19日。時刻午前08時17分。あなた様の、お名前を教えて下さい」

翻訳は良好、跳躍精度もまずまず、

やるな地球さま。

で、

にこっ♪

「ぼく、ぼくの名前は、日本語、漢字で『自由』です」

一拍を置いて、

「希望は教職、生徒でも可。設定金額は、五円から九千万円の間でよろしくお願いいたします。あ、永遠払いOKです」

………………
…………
……

「ちぇんちぇー、よろちくー♪」

「こんにちは。よろしくお願いいたします。改めまして、ぼくの名前は……」

「くるしゅーない」

「あ、で、では、貴方のお名前を伺っても?」

「な、名前はまだない」

「……ぷっ……、でっ、では……猫っちさんで?」

「おーいえーふ××きんぐれいと♪」

………………
…………
……

「……で、めでたしめでたし」

「はい、ちぇんちぇー♪」

「どうぞ、猫っちさん」

「で?」

「うおぅやるなー。まぁ……ですからね……?」

「…………」

「青い鳥さんを、ひとしきり、狭い鳥籠で、愛したつもりになれたとしたら、……、感謝して、放して差し上げろ、……そういう事です」

「……はなしてもいてくれたらー?」

「……、そうですね……、それが、風景におさまっていてくれたら、それで、……いいんじゃないでしょうか?」

「樽を尻なさい?」

「そうそう、どっち? どっち隠してんの? 頭? お尻?」

………………
…………
……

「では、おさらいです」

「はい、ちぇんちぇー」

せーのっ

「最初の問題が最後の問題、最後の問題が最初の問題」

「ひとつ解けたら。全て解ける」

「無限でひとつの、可能性」

………………
…………
……

……♪……♬……♫…………♬…………♪……

聴きなれない、日本語の、美しい歌曲。

そして、【J-D-V】。

「第Σ惑星・地球は如何いかがでしたでしょうか?」

「マジで空青くてビビりました。でも、夜もあって、よかったです」

「それはなにより♪」

 数歩前へ、

【跳躍場】へと向かう。

……心、静めて、…………、ふと……。

「……いかがいたしましたか?」

ぼくは掌を、宙へとかざし。

「ヴィジュアライズ」

 灰かぶりの空には、

青い鳥が映ってて、

横に、支配者きどりの奴隷くん。

そして……、

ぼくに似合いの、お子様な、

背伸びして、

「君の為に」、って。

………………
…………
……

 いつの間にか指先が、

首筋をなぞっていた。

やおら落ち着き、

ヴィジュアライズを止め、

地球に向けて……、

「空が青いって、清々しいですね。飛んでる鳥さん、全て青い鳥で良くないですか?」

「ですね」

優しい機械(あなた)、

「発つ前に、あなた様と、こちらの美しい歌曲のお名前を教えて頂いても?」

「システムの管理上、識別番号はお答えできません。こちらの歌曲は、『……………………』です」

「有難う御座居ます」

目を瞑り、

跳ぶ……、準備。

すると、

青い空が浮かんで、

いつの間にか、

謳う。

あなた様のお名前は、「美空」だろうさ。

………………
…………
……

「跳躍設定、次は、第3惑星・地球、西暦2016年。可能な航法を提示願う」

いくつか挙がり、

気に入り、

喚び出し、

「“キテン・トラベル”で」

跳んだ。



 いちどはぜろど。
だれだってあやまちをおかす。
ようはくりかえさないことだ。



 

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