見出し画像

ルームメイトとの出会い | アイルランド留学日記 2

『Who’s there? (誰かそこにいるの?)』
ドアの向こうから声がした。
「Yes, I’m here! (いるよ!)』
こう返すと、また声がした。


『This is my room actually. 
(ここ私の部屋だよ。)』


What??? え。
確かに鍵は開いて、スーツケースも置いて、月餅も食べて、シャワーも浴びたが。

混乱していると、続けて本来の(?)住人が言った。
『Can you open the door? 
(ドアを開けてくれない?)』
そうだ、まずは彼女と話をしよう。

シャワー後の濡れた髪で出ていくのは気が引けたが、ドアを開けた。そこには、背が高く眼鏡をかけた女の子と彼女のお母さんらしい女性が立っていた。

2人とも私の髪が濡れていることに気付き、一瞬少し戸惑ったようだが、すぐに微笑んで『Hello.』と挨拶してくれた。私も相当ぎこちなかっただろうが、何とか「Hello.」と返した。



少し話をしてみると、どうやら寮の受付スタッフが私の鍵を渡し間違えていたらしい。私の部屋は隣だったのだ。
だが、もうすでに私はこの部屋でシャワーを浴び、シャンプーやら何やらを取り出すのに少し荷解きまでしている。そこで、彼女がスタッフと話してくれ、私と彼女の部屋番号入れ替えることになった。


荷物の大移動を回避できてホッとしている私は、彼女たちにありがとうと言い、そこから少し話をした。

彼女はアイルランドのコーク出身で、実家から大学まで遠いため学生寮に入ることになったらしい。あまりはっきりとは覚えていないが、確か経済学を専攻していた。
日本にも一度来たことがあるらしく、会話が弾んだ。

もっと話したかったが、まだ髪も濡れているのと、長旅の疲れも出てきて英語もあまり聞こえなくなってきた。これからよろしくね、と伝え早々に部屋に戻った。


部屋に戻り髪を乾かそうとして、ドライヤーは持ってこなかったことを思い出した。早く買いに行かねば。髪が濡れているせいで、体が冷えているように感じた。

思わぬイレギュラーだったが、ルームメイトとなる彼女が良い人で良かった、と安心した。これからたくさん話していきたい。
そう思いながら机に突っ伏していると、いつの間にか寝てしまった。

(上写真: 大学の外壁のタイルアート。)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?