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悪戯な笑顔のあなたへ。

突然あなたのことを思い出しました。

出会いは大学生。
後輩としてサークルに入ってきたあなた。
仲良くなったきっかけなんてまるで思い出せないけれど、気づけばお互いの家に泊まったり、飲みに行ったりする仲になっていました。

泊まるからと言って男女の関係は全く無し。
周りからは付き合ってるの?なんてよく聞かれたけれど。
ちょっと距離は近いけれどキスもハグもせず。
おなじベッドで眠ってもお互い仰向けで手も繋がず。本当にただの仲良しで、寂しんぼな私達は一緒にいると丁度良かったのです。

ふたりで飲みにいこう、久々のお誘い。
「どこにいく?」なんて相談はなくて。
ふらふらと街中を歩きながら気になった店に入る、それが私達のお約束でした。

珍しく飲み屋街まで足を延ばして2軒、3軒梯酒。
お酒好きな私達もさすがにほわほわ。
寒いねぇなんて話をしながら歩いているとそっと私の手に触れ、指を絡めるあなたの手。
驚いてあなたを見ると私の好きな悪戯な笑顔。
唇に触れる唇。
さっきとおんなじ笑顔で笑ったあと、恥ずかしそうにマフラーに顔を埋めて子供みたいに繋いだ手を振り回して。

唯一私達がお互いに触れた時間。
あれは何だったのでしょうね。
お互いにあの日について触れることはなく、学校を卒業して大人になってしいました。
いつか少しだけ、あの日のことを聞いてみたいとも思うのです。

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