つかの間の金木犀。
金木犀の香りが好きだという人は結構多い。私もそのうちの一人だ。たぶん、世の中これだけの人がいたら金木犀の香りが嫌いだという人もいるに違いないのに、私はまだ出会ったことがない。
私が初めて金木犀を認識したのが小学校の高学年くらい。運動会の練習でグラウンドに出ている時にこのいい香りで可愛らしい花を金木犀というのか、と自分だけが知っている花のように得意げに思っていたことを記憶している。
私は今年から新しい土地に引っ越してきた。金木犀が香りを漂わせはじめた数週間前から、鼻をすんすんさせながら通勤するのが至福だった。こんなところにも金木犀の木があったのか、と街の新しい顔を見つけたような気持ちになった。
だが、通勤路にある金木犀、先日の雨ですっかり地面に広がっていた。鮮やかな橙色をしていたが、香りは立ち上ってはこなかった。どうやら、秋はもう仕舞い支度をはじめたようだ。通勤、退勤の楽しみが一つ減った。減ったというよりは元に戻った。
先週、寒くなってきたから入浴剤でも買ってお湯にゆっくり浸かろうかと思い至った。入浴剤をあまり自分で買ったことがなかった私は入浴剤の値段の高さに驚きつつ、金木犀の香りの入浴剤というものを見つけた。金木犀の香りが好きで、尚且つ季節限定に目がない私は即決で購入を決めた。しばらくは、この入浴剤でもう少し秋に浸っていたいと思う。
ちなみにその入浴剤、どのくらい金木犀かというと、5%くらい。どちらかというと、柑橘系の香りだった。
あくまで個人の感想だが。
P.S.
こたつはもう出していいものだろうか。