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引退したので自分をインタビューしてみた。Vol.3

Kさん:これは何の写真?ちょっとわかりづらいね。

ミノ:帰りの飛行機の中です。僕のスマホそんなに綺麗に撮れなくて。笑 多分夕暮れ時なんだけど数分置きにグラデーションになってて珍しい色合いだったんで記念に撮りました。次がこれ

幻想的な色だったんですよ。これは何色だろう?

で、最後がこれ。

太陽ってこんな青白くなるんだなって。これが一番印象的で、もうしばらく見られないんじゃないだろうなと思ってすぐに撮りました。窓際の席だったのもラッキーでしたね。
暗くなっていったので、多分夕暮れだったんじゃないかなと。

Kさん:確かにこれあんまり見られないかも。日本の上空では見れないだろうからミノくん運が良いね。

ミノ:この海外サッカー生活も運の良さが無ければここまで長くチャレンジ出来なかったでしょうね。色んな人に支えられてきたというか、みんなが頑張れ頑張れって言ってくれた。それがどんなに活力になっていたことか。

Kさん:そういうのもあるからこれまで続けられたんだよね。では、マルタのトライアル話も宜しくお願いします。

ミノ:11月の2周目くらいにマルタへ入国したんですけど、その時期は例年より少し早いタイミングでした。コロナの影響もあってシーズンの進行にズレが生じてたんです。1月にトライアルへ来ることも出来るけど早い方が良いということでコーディネーターとの話し合いの結果トライアルに至りました。まだガッツリシーズン中なので、その間の練習参加やチームへコンタクトすることも大変だったはずですが、コーディネーターにはかなりお世話になりました。

Kさん:コーディネーターは日本人?

ミノ:今回の遠征では日本人と現地にいるマルタ人にサポートしてもらいました。日本人の彼は僕と同じHBO東京出身で、そこからマルタへ行き4シーズンプレイした実績の持ち主です。なのでマルタには精通してるし色んなチームとも連絡取れる状態にあったので頼らせてもらいました。現地のマルタ人との二人三脚でのコーディネートだったのでとても助かりました。その彼とはHBOで選手としての期間は被っていませんが、2020年シーズンでHBOの朝練を共にコーチという枠組みで仕事していまして。僕以外の5人のトライアル選手たちにも彼れらはずっと関わってくれていました。こういった信頼関係を築いてからのトライアルだったので、彼らのためにもチームを決められなかった悔しさと不甲斐なさは残ってますね。

Kさん:トライアルの前からそういう関係を築けるのは選手にとっても良いことだね。トライアルする上での会社選びやコーディネーターの選定はチャレンジが初めての選手たちにとっては結構大変だったりするもんね。

ミノ:今では留学会社を立ち上げたりコーディネーターやってる人も増えてきたので、どの媒体が信用出来るかっていう判断は若手にとって難しくなってます。コーディネーターと謳って実はその本人ではなく現地にいる人にまかせっきりにしたりする人もいまだにいるので、今からチャレンジしていく若手にとって代理人選びやコーディネーター選びは大きな壁になると思います。コーディネーターの彼は自分自身がマルタへ入国して直接やり取りしたり送迎もしてくれてましたから。加えて彼らにはプレイ実績と長らくマルタにいた経験があるので、一部のプレミアリーグへトライアル参加させてもらうことが出来ました。もちろん二部のチームへも、です。

Kさん:じゃあトライアル期間はスムーズに生活出来たんだね。HBOならではの巡り会いってとこかな。マルタのサッカーはどうだった?

ミノ:マルタプレミアリーグだと、ヨーロッパの一部リーグではあるので国の代表歴を持った選手もいるし良いプレーヤーもいました。やりがいもあると思います。それこそ1000万円プレーヤーも中にはいるしプレミアリーグならTV中継もありますし、やっぱり注目されてるんだと思います。2部はピンキリですかね。本当にサッカー選手か?というプレーヤーもいたりします。1部もそうかもしれませんが。。。

Kさん:国の一部リーグだもんね。マルタでの経験が後のキャリアに活かされたりするのかな?

ミノ:ヨーロッパ一部リーグでのキャリアになるのでステップアップには適してると思いますが、やはりチームへ加入するまでが大変ですね。既に外人選手は多くいるし熾烈なポジション争いをしないといけないので。
それでもマルタでの経験から東南アジア諸国のリーグへ移籍して、とんでもない待遇を受けている日本人選手も数名いるので夢はあります。マルタリーグからヨーロッパ強豪国へ移籍した例は聞いたことないかな。

Kさん:なるほどね。例えばプロ経験のない選手たちを実績のあるコーディネーターや代理人は面倒みたりしないよね。だからいきなり上位リーグのチームへチャレンジすること自体も難しい。けどそれが現実ってことだね。でもマルタには可能性があると。

ミノ:よっぽどのことがない限りはそれが現実です。けどマルタには大きなチャンスがあると僕は思いました。それこそコーディネーターの彼のように重宝されて数年マルタリーグで良い給料を貰いながら生活できるパターンもあります。マルタ自体とても暮らしやすい国ですから。人によりますけど。笑だけどこの彼も1年目は無給でプレーしたりと苦労もしています。だけどプロ契約であることに変わりはないから市場価値はつくんですよ。だから他のチームからオファーを受けた時に給料が跳ね上がったりします。活躍すればですけどね。

Kさん:じゃあヨーロッパの中ではマルタはトライアルもしやすくてチャンスも他と比べて多いってニュアンスでいいのかな。

ミノ:もちろんドイツ6部や7部などのチャレンジも良いと思っています。ただそれが上位リーグなのかどうかってだけの話だから本人次第ですよね。どのリーグせよ契約するのは簡単ではないですから。若手の話を聞くと実績も無いのにドイツの3部や2部リーグにトライアルしたいっていう選手もいるんですけど、まずチャレンジする権利すら与えられないというか、よっぽどの実力と運と、代理人の力がない限り無理です。もし上位リーグでトライアルしたいって言うなら、今回のマルタとか、結構人気のあるモンテネグロだったりですかね。それでもモンテネグロも厳しいという話を聞いてます。どちらにしろ上位リーグのチームには加入することすら至難です。

Kさん:さっきは無給の話があったね。プロ契約だけど、無給。市場価値はつくけど難しい選択ではあるよね。ミノくんはどういったチームからオファーを受けたの?

ミノ:僕は2部のチームから。監督が熱心に欲しい!と言ってくれていて練習参加し続けていました。僕自身「このチームからスタートしてキャリアを築こう」と決めてました。けどある日の練習中、監督がグラウンドの外にいる人達と何か言い合いをしていて明らかに様子がおかしかった。練習後確認しにいったら「俺は監督を辞めることになった」と。笑 いきなりのことでしたね。どうなるんだろうなーと思っていたけど、チームが僕を欲していることに変わりはなかったので練習には出続けてました。トライアルも終盤に入り契約の話が進められて、まとまった内容が

・無給

・ビザ代は自分で支払ってくれ

・あとプレーするためのスポーツ保険も

・家はグラウンドからかなり離れているけどそこに住んでくれ(バスで2時間くらいのところ、交通費は自分で)

という内容でした。

Kさん:監督が途中で辞めたり待遇が一気に変わるっていうのも海外あるあるだね。今回ばかりはミノくんにも運が無かったかもね。。

ミノ:大きな理由としては、スポンサーが離れてしまって君へ支払える給料も無いと。だけどチームとしては欲しい。という感じで。僕にとっても難しい判断でした。例えば無給でこのチームに残って一か月でも試合に出てればどこか他のチームからオファーがくる可能性もある。そうして同じリーグでもステップアップするという流れが僕たちのような選手だと普通なんです。ただ僕は無給だったり、他の待遇面で自分の生活面に支障が出るような契約内容だったらサインしないと決めていたので、潔く諦めました。途中で辞めた監督が結構マルタ内でも顔の利く存在だったらしく、僕のチーム探しや他の提案をしてくれていたようでしたけど、実らずでした。

Kさん:そうか。なんにせよ契約までの壁は高いってことだね。自分が能力を示したとしてもチーム事情や他の状況によっては話がまとまらない事も大いにあり得る。1部のチームへ練習参加した?

ミノ:はい。僕が参加したのは2チームで、マルタに到着して翌日に参加した最初のチームが1部の下位にいるチームでした。そこは3日くらい参加したけどダメでしたね。その数日後に1部リーグの最下位にいるチームに参加しました。だけど難しかったです。共通して言えるのはそれなりに評価はしてくれましたけど、 ”そ れ な り” 止まりですね。サッカーインテリジェンスがあるのはわかるけど、他の選手と大差無い。という感じでした。もう完全に自分の実力不足でしたね。

Kさん:一定の評価を得ることは誰でも出来る。そこからもう1つ2つ、目立った能力を見せなきゃ駄目ってことだね。

ミノ:そうです。僕と同じタイミングでトライアルしてた若手は最後まで残って練習参加していました。その彼は深い切り返しからシュートまで持っていける形を確立させていたので、おそらくそれだけでもプラス材料になったはずです。今は契約までいったかどうかはわかりませんが、今度本人にも話を聞いてみようかな。

Kさん:総じて言えることは、無名の選手がヨーロッパで契約までこぎつけるのはめちゃくちゃ厳しいってことだね。ミノくんがマルタに来る前にすでに他の日本人プレーヤーはいたりした?

ミノ:いました。僕が把握しているだけで3人ですね。2人は若い選手で僕が一番最初に練習参加したチームに既に所属していました。もう一人は1部の上位チームに所属していて試合にも出ていました。3人ともステップアップした形でマルタでプレーしていましたね。1部の彼はこれから東南アジアへ移籍するみたいです。もちろん好待遇のオファーを受けて。僕もこれが理想の形でした。笑

Kさん:そういった成功例があるマルタはいいかもね。今後コロナが明けてリーグも通常に進行できるようになればもっとチャンスが広がりそうだね。ありがとう!じゃあ次は生活面や環境面のことを聞いていくのでよろしくね。

マルタにいた1か月でこんなに長文になってしまった。笑 

それ書かんでもいいだろってところもあるので割愛しながら読んでくださいませ。

それではVol.4でまたお会いしましょう。

ミノッティ。

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