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【エッセイ】作品と作者を知ることについて~ムーミンで考える

幼稚園の頃にムーミンの世界が好きになった。
アニメをやっていた時期かもしれないけれど、叔父さんにもらった漫画の絵本がとても気に入ったのだ。後からトーベ・ヤンソンはムーミンのコミックも描いていたと知った。その前に原作があることを知って、文庫本を買って読んだ。
可愛いというより不思議で少し寂しくて現実から隔離されていて、なんとなくおかしな登場人物たちが思い思いに(自分勝手に)過ごしているムーミンの世界。シリーズを読み進めていくと絵柄のタッチが荒くなっていく。細かく書き込まれた「たのしいムーミン一家」「ムーミン谷の彗星」「ムーミン谷の夏まつり」「ムーミン谷の冬」が好きだったので少しがっかりする。
働くようになってアラビアのマグや飾り皿を見つけて買ったりした。
子供が小さい頃に原画展を見にいった。ムーミンの原画が見れるなんて、文庫本を買って読んでいた中学生の頃、思ってもみなかった。
数年前にもまた原画展を見に行けた。
この何十年の間にムーミンの人気は商業的に大きくなり、趣味の良いムーミングッズも増えた。ムーミン好きの私の為に夫がいろいろ買ってくれる。ヘッダーのマグは数日前に届いた。牛乳やカフェオレを入れて、小さな赤い屋根のムーミン屋敷を眺めながら飲む。

私は小説や詩を読む時、その作者の人生を知らずに読んでも良いと思っている。研究者が作家の個人的な人生や手紙、日記を検証したりするのはどうだろう?と思う。個人的な手紙を書いた作品の解釈の為に読まれるのは作家は嫌ではなかろうか?と気がかりになる。
そんな私でもトーベ・ヤンソンが同性愛者であったことは知っていた。
パートナーが、私が一番好きな登場人物のトゥーティッキのモデルだということも知っていた。
最近トーベを主人公とした映画『TOVE/トーベ』をAmazonprimeで見た。一気にみれなくて、何度かに分けて見て、やっと見終わったところだ。

私の印象でごく短くあらすじをまとめるとこんなだ。
「威圧的な父から離れ独立を目指すトーベは男性議員と不倫の恋に落ちる。が、トーベは舞台演出家の女性との激しい恋に夢中になり、やがて破局する。その間にムーミンは商業的に成功し生活を支えるようになる。映画の最後にトゥーティッキが現れて終わる。」
今日、noteのコメント欄でのあやのんさんとのささいなやりとりをきっかけに検索し、ムーミンの登場人物「トフスランとビフスラン」が、トーベと、その激しい恋のお相手女性を模していたと初めて知った。
公式サイトのコラムに書いてあった。

「ムーミン谷の冬」はトゥーティッキが主要人物として出てくるが、やはり物語に実生活のことが色濃く反映されているようだ。
スナフキンは映画のあらすじで私が「男性議員と不倫の恋に落ち」と書いた男性議員がモデルらしく、とぎれとぎれ見ていた私のイメージ以上に長年の創作の上でも大切なパートナーだったようだ。単に議員ではなく編集長などでもあり、創作を支えてくれたらしい。
映画では、彼は妻と離婚してトーベにプロポーズし断られていた。
面白みのないツマラナイ人間である私は「激しい恋のお相手女性より、その離婚した議員さんと幸せになればいいのに!」と思いながら見ていた(;´・ω・)
映画をもう一回見たほうがいいような気がしてきた。
公式サイトのコラムもたくさん読んだ方がいいかもしれない。
でも、今まで何も知らずに読んで好きだっだムーミンの物語の、スナフキンは風来坊なスナフキン、へんな二人組のトスフとビフスはへんてこなまま、トゥーティッキは理知的な頼もしさと縞々の服が好きだ。
いつか自分でもムーミン谷のような世界が描けたらいいなと昔から思っていたけれど、どこにも自由奔放さがない私の人生では書けないのだろうか。ちまちました小さな世界なら書けるだろうか。


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