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伊藤比呂美『ラ二ーニャ』岩波現代文庫

身内に不幸がありまして。その後少し落ち着いてきました。この本はその出来事の前に図書館で借りて読んでいたもの。まだあまり元気が出ないけれどリハビリで簡単な感想を書きます。

・伊藤比呂美がしゃべっているよう。声が聴こえる。息遣いを感じる。
・たいへんな毎日を描いているのに、身の周りの植物に注意が向くところもこの人らしい。
・収録された3篇のうち、2篇はもろに実人生を材料にしていると思わせるし、実際そうなんだろうけど、そういう小説の書き方はあまり長く続けられないだろうと思った。本職は詩人だから続かなくても困らないのだろうけれど。
・離婚し、アメリカ人と暮らすために子連れでアメリカに移住。アメリカ人の夫は老齢で身体の調子が良くない。本人は英語があまりできない。子どもは微妙な年齢。なんという無茶な生き方だろうと思うけれど、どこか自分の奥の方にあるエネルギーのためにそういう人生しか送れない人なのだろうか。そのエネルギーのために自分だけじゃなくて、まわりの人間たちも巻き込んでいくしかないのだろうか。この人の業なのか。
・まぁ、でも、フィクション化しているとはいっても、やっぱり私生活を赤裸々に書くのはどうなんだろうと思ってしまうな。夫はアメリカ人で日本語の小説が読めないとはいえ気の毒だ。だが書いてしまうこともこの人の業だ。

以上、簡単な感想でした。ゆるゆると復活します。







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