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おうちでアートに触れる朝活イベントをやってみた

最近、新型コロナウイルス感染症の感染予防や拡散防止のため、美術館の臨時休館が続いています。私もアートを観る機会が減って、すっかりしょんぼりしていました。

そんな時に、末永幸歩さんの『「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考』を読んで、「そうだ!オンラインでもアートが観れるじゃん!」と思いつきました。

今回は朝活の美術部でやってみた「おうちでアートに触れるイベント」開催までの流れについて、まとめてみました。


参加者の事前準備

イベントでは画面共有しながら、参加者全員で作品を観る方法をとりました。そこでパソコンなどの大きい画面での参加を推奨しました。

📝メモとペンまたはメモアプリ
👨‍💻パソコンや大きい画面の端末
🗣Zoom(画面共有ができるウェブ会議ツール)のダウンロード

チェックイン(15分)

参加者の中に初対面の方もいらっしゃったのと、皆さんのアートへの親しみ度合いを知りたかったのとで、以下のような質問を用意しました。

📛あなたのお名前は?
🧠今日の自分の気分ってどんな感じ?
🎨普段アートって観る?

アート思考とアウトプット鑑賞ってなに?(6分)

チェックインでは「アートは好きだけど、定期的に観に行く機会がない」「友達に誘われて、最近足を運ぶようになった」といった声が多くあがりました。そこで鑑賞の前提となる「アート思考」について説明しました。

👀自分だけのものの見方で世界を見つめる。
🙋‍♀️自分なりの答えを生み出す。
🤔新たな問いを生み出す。
(出典:末永幸歩『「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考』(ダイヤモンド社))

アート思考にざっくりと触れた後に、今回挑戦する「アウトプット鑑賞」のやり方を紹介しました。

🚪「アート思考」をするための入り口となる鑑賞法。
👀自分自身の目を使って作品と向き合う。
😲気がついたことや感じたことをアウトプットする。

一人で体験(3分)

「まずはやってみよう!」ということで、アルチンボルドの《春》をタイトルなどを見せずに画面共有。絵を観ながら気づいたことや感じたことを、手元のメモ帳またはメモアプリに書き出してもらいました。

参加者は「こんなにじっくり絵を観たことがなかった」「普段だったら『あっ花だなあ』という感想で終わっていた」と驚いた様子でした。

みんなで体験①(10分)

今度は参加者全員で絵を観ながら、気になったところ、感じたことをどんどん言い合いました。アイデアを膨らまるために、聞く側が深掘りしていくヒントとなる質問についてもお話ししました。

💭なぜそう思った?(主観的に感じた「意見」の根拠となる「事実」を問う)
🤔どこからそう思う?(作品内の「事実」から主観的に感じた「意見」を問う)
(出典:末永幸歩『「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考』(ダイヤモンド社))

同じ絵を観ても「明るくてかわいらしい」「怖い」といった真逆の感想が聞こえてきて、人によって抱くイメージや着目する部分の違いにあらためて気づかされました。

作品についての解説(7分)

みんなでアウトプット鑑賞を体験した際に「どうして植物をたくさん寄せ集めたんだろう?」「何で横向きなのかな?」と絵が描かれた背景に関わる疑問を出されている方もいました。

ここでは、鑑賞した作品を描いた画家のプロフィールや、作品が描かれた時代背景について、簡単に説明しました。

🎨アルチンボルドは16世紀にハプスブルク家に仕えた宮廷画家。
🖼《春》は4枚1組の連作のうちのひとつ。
🤴背景には皇帝やハプスブルク家の権威への礼賛があり、神聖ローマ帝国が永遠に続くことを表している。
👥当時の貴族の間では芸術品や動植物などの蒐集が流行。
(参考:国立西洋美術館「アルチンボルド」展(2017年))

解説の中では、こんなクイズも交えてみました。

❓絵の中には何種類の植物が描かれているか。
❓絵のモデルはどんな人か。
❓絵はどこに飾られていたと言われているか。

オンラインでの美術鑑賞についての紹介(3分)

日常的に気軽にアートを観る手段として、美術館の中を探索できる「Google Arts & Culture」のミュージアムビュー機能を紹介しました。

また、オンライン美術館「HASARD(アザー)」では、企画展や常設展が観られます。

掲載中の一覧(2020年4月現在)に「ハンマースホイ」展『静』があるのを見て「東京都美術館でやっていた「ハマスホイとデンマーク絵画」展へ行けなかったから、オンライン上で観ることができると知りうれしい」という感想もあがりました。

みんなで体験②(10分)

解説を経て、参加者同士で再び対話する時間へ。1回目(みんなで体験①)に作品を観た時と、知識を得てから観た時とで、どのように感じ方が変わるのか語り合いました。

👀先ほどの絵の背景を知って、あらためて作品を観た時どう感じたか。
🤔1回目に観た時と比べて、違った点はあったか。
💭1回目に観た時と比べて、新たな気付きはあったか。

参加者は「作品の背景を知った後、新たな疑問が次々と浮かんで面白かった」「一度対話したものに関して、さらに10分も話せるのかと不安だったけれど、盛り上がってあっという間だった」と作品に対する眼差しの変化を楽しんでいるようでした。

最後に全体シェア(15分)

最後に、参加者一人ひとりが今日の鑑賞体験について、感想をシェアしました。

👀今日の鑑賞を通して気づいたこと。
🖼作品を観た感想。
💡次回やってみたい鑑賞体験の方法。

「鑑賞のステップを踏んでいくと、作品に対する視点が変わっていく様子が手に取るように分かり新鮮だった」「自己と他者で作品の感じ方が全然違うことを再認識した」「他の人のものの見方を聞くと、自分と異なる部分に注目していて勉強になった」といったコメントがあり、思い思いに鑑賞を楽しんだ様子でした。

イベントを終えて

今回オンラインで対話型鑑賞イベントを開催してみて、その場で思いっきり笑ってワイワイしながら感想を語り合えるのも、メリットのひとつだなあと感じました。

なおイベントでは、次のように段階を踏んで鑑賞していく構成にしたところ、作品への感じ方の変化を捉えやすかったようでした。

1. 一人で前提知識なしで観る(一人で体験)
2. 複数で前提知識なしで対話しながら観る(みんなで体験①)
3. 複数で前提知識ありで対話しながら観る(作品についての解説・みんなで体験②)

美術鑑賞における一人と複数・前提知識の有無の分類(今回のイベントの場合)

次回は「作品を観て、1ツイートでオリジナルのストーリーを作る」「参加者に気になる作品をあげてもらい、みんなで観る」ような企画ができたら良いなと思っています。

興味のある方がいたら、ぜひ一緒におうちでアートに触れましょう〜!

(2020年5月5日追記)「作品を観て、1ツイートでオリジナルのストーリーを作る」ワークショップを開催しました〜!


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