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究極のマインドフルネスが、石積みだった件

東京に来て1年と少しが経った。大学を卒業して、初めての新卒社員として上京し、コロナで初日からフルリモートの仕事の日々を1年間も過ごした自分とコロナ世代の同期にエライと言いたい。(わー!えらい!)

学もない自分がデザインの道を働きながら歩み出し、4年が経った。初めは何もかも不安だった。0から始めたため、無知で無能であることを恐れていた日々から、最近は休学して培ったデザインの経験が、次の会社でもしっかり生かし貢献できている感覚が、副業も始め、友人の仕事を手伝えている実感が自信に繋がってきた。

それでも謙虚さ誠実さというものはいつまでも忘れたくないものである。

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リモートでの生活に周りの人はもう飽き飽きしているのは間違い無いなのだけど、一人暮らしでのリモートで働く辛さの一つは、1日仕事や経験で自分に入ってきたものが、外に出て行かず消化されないことである。本当に雑談は大事だし、ある意味では次に進むための愚痴も大事だ。

デザイナーになってからというもの、深く物事を考えるようになるようになった。幼稚園から高校までサッカーボールを追いかけてきた自分とは大違いだ。

理想の体験を生み出すためにどんな要素が必要か?
〜感を出すには、〜感をもたらしているのは何によるものか?
人が使いやすい/楽しい/心地よいと感じるのは何故だろうか?
どんなコミュニケーションを取れば相手が心地よく感じてくれるだろうか?

そんなことをいつも考える。リモートになれば、その内省がグルグル回る。物事を深く考えるときは、狭い空間にいるといいらしい。逆にアイディアを発散させたいときは、天井の高い空間でディスカッションするといろんなアイディアが出てくるそうだ。

よく散歩に出ると、煮詰まっていたアイディアが違う方向に行き、新たなひらめきを得ることが多々あるから、意識的に散歩にいくようにしている。

それはそれでいいのだが、やはり自分という存在は、頭の中をめぐっている。今を生きてる感じでは無い。物事に取り憑かれている感覚だ。

ランニングに出ているときは、より自分との対話になる。意識的にならなければ、走っていることより同じ物事に深く取り憑かれ、戦っているような感覚になる。逆に、走りきったとき、それに打ち勝ったような気持ちになる。そうやって、自分の中で消化しようとしているのだろうか。

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自粛の日々が続き、副業も始めたおかげでお金は溜まるようになった。むしろ使い道が少ない。連休が近づいてきて、仲の良い友達に連絡を取り、神奈川の湯河原にドライブと温泉に浸かりに行く予定を立てた。宿とレンタカーだけ予約して、予定はその日に決めた。

宿の近くまで行って、海の岬の方までドライブして、暇だったから海辺で石を積むことにした。テレビで森川葵さんが、達人にいろんなものを教わるという企画で、石積みの会があったのを思い出したからだ。

やり方はあっているかわからないけれど、やってみると意外と石は立った。

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石積みをしているとき、いつものような頭の中の対話はなかった。体の全ての感覚 / 意識が指先に集まり、心は手と石にあった。というか、そうしなければ石は立ってくれなかった。

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デザインをするとき、頭の中はいろんなことで思考が巡っている。しかし、石を積むときは無だった。ただそこに意識があるだけでよかった。本当のマインドフルネスというのは、多分こういうことをいうのかと久しぶりに悟った。

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動物の中で、人間だけが過去と未来のことを考え悩むそうだ。ある半身不随になったチンパンジーを観察した結果、人間であれば現状に絶望するであろうところを、彼にはそのような状況がみられなかったらしい。むしろ、リハビリをこなし、3年後には歩けるようになったそうだ。

人は〜があったならと悔やみ、〜が起きないかと不安になり、〜がほしいと渇望する。人とコミュニケーションするために生まれた言葉が、思考を産み出し、自己を産み出し、危機を避けるためにできた未来と過去の予測能力が、一方で自分を苦しめてしまうということは、なんということだろうと思う。そんなつまらないことを日々考えるのである。

しかし、友達と何気なくドライブして、ご飯を食べ、ゲームをしている時にはそんなことも忘れていた。人は大人になるにつれ、無駄なことをしなくなる。特に仕事で効率性を求め、生活にもそれを組み込もうとすると最悪だ。

最大限楽しむことは大切である。しかし、無駄なことをすることも忘れてはいけない。むしろ、最大限無駄な努力をすることも大事なのかもしれない。

結局、2日間は友達とドライブして、滝を見て、岬で石を立て、普通の寿司屋でご飯を食べ、夜はSwichで遊び大全を夜通しやり、次の日は江ノ島によって、ドライブして帰った。

豪華な料理でもなく、豪華な旅館でもない。夢の国でも無い。仲の良い友達と、ただ何気なく遊び、ドライブし、石を摘んだのが、とても心地よい時間だった。

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