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蜩ノ記

この前、「蜩(ひぐらし)ノ記」という時代小説を読んでみたけど、二つほど良いところがありましたよ。時は1600年代、百姓と武士、さらには主君と家臣との関係の中で物語は展開されます。良かったことの一つは、幼い頃に川べりで見かけただけの主人公と娘、きっと今風に言えば、あの子イケてるなぁ程度か、それ切り二人はそれぞれの人生を歩き始めるも、40数年の時を経て、なお、あの時に抱いた淡い恋心、決して成就されることはないと分かっている中で、再確認する瞬間、相思相愛だったかも微妙に分からないまま、再び、それぞれの人生を歩いて行く、その二人の奥ゆかしさが堪らんかった。そして二つ目は、武士の上下関係、所謂、忠義というものの考え方。こう書いている。「忠義とは、主君が家臣を信じればこそ尽くせるものだ。主君が疑心を持っておれば、その疑いが解けるのを待つほかない。」ここには、主君に対する不平不満も、家臣の言い訳もない。これが凄い。黙して語らない。ダメな奴と思われたら思われたまま、人生を終えても言い訳はしない。いやー、無理無理、らたらればと、言い訳べっちょりの毎日ですよ。まあ、主人公が生きていれば、爪の垢でも煎じてもらうけれど、叶わないので、せめて本の頁でもペロペロと舐めておきました。
20141117

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