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家族のはなし

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難病のかみさんの来し方行く末、 支えているのか支えられているのか微妙な私、 子供たちは勝手に成長し、 たくさんの失敗の山を積み上げて行く。 そんな家族の足跡を残して行きます。
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2018年1月の記事一覧

我が家では笑撃の出来事だった

我が家では笑撃の出来事だった

 とある水曜日の昼下がり、大きな物音と共に、かみさんがデイサービスから帰って来た。デイサービスの送迎に使う車、利用者を一人、また一人と降ろして行って、きっと一番重たい利用者である我が家のかみさんを降ろすと、それまで頑張って支えていたタイヤたちも、ほっと気を抜いたのか、気持ち元に戻ってしまう。そして、つられるように車高も幾分高くなったであろう。ただ残念なことに、それらの気持ち的変化には誰も気がつかな

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我が家のヒロイン

我が家のヒロイン

新婚の我が家には、JRの社宅に住んでいたためか、駅に行く前や帰りにボランティア仲間がよく寄ってくれる。その日も私たちに夕食を作らせてということになった。トントントンと台所から野菜を切る小気味よい音が聞こえて来る。「あーこの音、主婦の音だわ」としみじみと一言、私が思ったことをそれは素直に言葉に出した時、あれだけ楽しかった空気が一瞬に凍りつく。隣に座るかみさんの表情が強張り、居合わせた友だちからも笑顔

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我が家の226事件か

我が家の226事件か

 その日は朝から慌ただしかった。少々の家具と介護ベッドがなくなり、玄関にあった昇降機も居なくなり、寝室として使っていた部屋が空っぽになった。ひゅんひゅんと飼い犬がいつもと違う泣き方をする。まあ、予定されていたことではあるが、その日からかみさんが、いやかみさんだけが大分市民から別府市民になった。一人暮らしがしてみたい。って、お前55才だろ。卒婚します。って、恰好よく宣言するな。はいはい、私らはあなた

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耳かきとかみさん

耳かきとかみさん

昨日は難病患者会があるからと、かみさんも張り切って大分の自宅に朝から帰って来ました。患者会は午後から、久しぶりの家族の団らんのなかで、にこにこと話をしながら、机の引出しから取り出した特性の耳かきで、自分の耳をホジホジ。このホジホジの耳かきがやがて騒動を引き起こすことになるとは知らずホジホジ。この耳かきの形状、馴染みのお匙型とタンポポの奴とは違って、肩方は柔らかいゴムが段々に回るく切り込まれた形で、

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