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耳かきとかみさん

昨日は難病患者会があるからと、かみさんも張り切って大分の自宅に朝から帰って来ました。患者会は午後から、久しぶりの家族の団らんのなかで、にこにこと話をしながら、机の引出しから取り出した特性の耳かきで、自分の耳をホジホジ。このホジホジの耳かきがやがて騒動を引き起こすことになるとは知らずホジホジ。この耳かきの形状、馴染みのお匙型とタンポポの奴とは違って、肩方は柔らかいゴムが段々に回るく切り込まれた形で、切り込みの段々が耳垢をコサグようになっていて、もう片方は柔らかいゴムスポンジ状で粉になった小さな耳垢を掃き出すように使うみたいな奴なんですね。さて、ニコニコとお喋りしながら、ホジホジの終盤に耳から抜いた特性の耳かき、耳掃除も終わったからと、仕舞おうとした辺りで、あれっというかみさんの声、「お父さん、先っちょがなくなっちょん。」何のことやら。「このスポンジのようなのが取れてなくなっちょん。」また、コンタクトレンズの次は、えー耳かき。もしかして、無くしたところは、耳の中かい。「よう分からんけど、そうみたい。」さあ、それからが大変、子供らに懐中電灯とピンセットを持って来させて、照らし方が違うの、耳が狭いの、耳の穴を広げろのと大騒ぎ。結局、発見出来ずに、急きょ近所の耳鼻科に連絡して急行。今日は、どうしましたと医師、「耳かきの先っぽを耳の中に置き忘れたみたいです。」あらあらと、心持ちユニフォームの丈が短い可愛い看護士がファイバースコープを医師に手渡して、モニターに映し出される耳の中、問題の右耳、あれっ何も入ってない。右耳だったよなと、かみさんに確認していたら、念のために左も見てみましょうと、もちろん無いわけで、まあバツの悪いこと。「どうもお騒がせしました。」と退散。治療費840円を清算して、車に乗り込むや夫婦喧嘩、「お前、勘弁して欲しいわ。」「でも、無くなちょったもん。」「いやいや、無かったやん。きっとお前の首辺りから落ちて、オッパイとかヘソとかで止っちょんのや。」「そげんことネエわ。もう知らん。」とまあ、散々言い合って、帰りついて玄関を開けるまでガヤガヤと罵り合いながら、ふと足元を見ると、えーっ見覚えのあるホジホジの先っぽがポトリと静かに、まあ言い争いは、私に免じてその辺で辞めんかいみたいな感じで、落ちていたのであります。こういう時って、疲れ方と呆れ方が倍増すると言うか、もう通り越してしまって、家の中に入ったら、二人して大笑いです。きょとんと見ている子供らに、経緯を説明するのに、またひと笑い。記念に残す写真もないから、こうして書き起こすのに、さらに大笑い。まあ、毎度のことながら話題に事欠かないかみさんでした。
20141019

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