パラレルワールドの私へ
パラレルワールドにいる自分をよく想像してしまう。
ただのタラレバだけど、学生時代、遠距離が理由で別れた、大好きだった彼のいるところへ追いかけて就職してたら、どんな人生だっただろう。
きっとその世界線の私は、今よりもっと苦労して、やりたいことができていないかもしれないし、初めてのことに戸惑って落ち込んでいるかもしれない。
でも横にはきっと彼がいて、優しくたくさんの愛を注いでくれただろう。
7年も前のことで思い出をかなり美化しているし、失って初めて気づいて少なからずいまだに引きずっている自分にうんざりする。
ふと彼の名前を検索した。
そんなことをしたのは初めてだった。
すぐいくつかの記事が出てきた。
就職してすぐの頃の、Uターンして地元で働く若者へのインタビューの記事、会社の社員紹介のページで、単身赴任して、初めての土地で頑張ってます、というのが出てきた。
彼は目立つ方だったので、会社のこういうのに抜擢されるんだな、と微笑ましく思った。
彼が結婚したのを知ったのは、一昨年のことだった。
弟が大学進学で行った県が彼の住む県の隣だった。私は弟のところに遊びに行く電車の中で思い切って彼にLINEした。
どこかおすすめの観光地あるか、を聞くのは口実で、彼がどうしているかずっと気になっていた。
返信はすぐにきて、いくつかおすすめをおしえてもらったあと、
〇〇、結婚したのー?
今年の春にしたよー!〇〇ちゃんは?
独身です!笑
まだ若いけん、これからだね!
若くないよ〜。結婚したのに返信くれてありがとうね!またね!
結婚はしたと思っていたが、今年の春、と言うところが1番突き刺さった。笑
ああ、今年の春だったか。そんな最近…。
今の自分は、家族がいて、昔からの友達がいて、育った実家で、安定した会社で働いていて、これ以上なく幸せだと思っている。
でも、もしあちら側にいたら? 彼の隣で、春の陽気の中、ウエディングドレスを着ていたかもしれない。彼は単身赴任でも、きっと毎日電話をして、週末には欠かさず帰ってくるだろう。
そうすればよかった、じゃなく、あくまで妄想でしかない。でも、彼を超えるくらいの人は、今後現れないんだろうな。
今日、付き合っていた人と別れた。
その彼は、仕事が忙しくて体調を崩し、連絡が途絶え、電話しても出ず、やっときた返信が
返信しなくてごめん。
だって。返信できなかったんじゃなく、しなかった。
自分は自己中だと思う。彼は過労で体調を崩した。それなら寄り添って励まして話を聞くべきかもしれない。なのに、さらに追い打ちをかけるようなことを言うべきではない。
でも、もう我慢の限界だった。
もう、別れようか。
すると、かえってきたのは、ごめん。の3文字。
あっけない最後だと思った。
出会った時は嬉しくて、奇跡だと思ったけど、別れる時はとってもシンプルであっさりしていた。
(mol-74の、エイプリルという曲がしみる。「偶然のように出会って、必然のように別れて。映画みたいに行かない結末に僕は何を思う」)
人生は選択の繰り返し。あの時の私の選択は、私らしい選択だったけど、私らしくない選択をしたあっち側の私に言いたい。
きっと間違ってなかったよ。どっちを選んでも、困難はあるし、幸せもある。
次は、私らしくない選択をしてみようかな。
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