貝ボタン【ひと色展＊シェルピンク】

母校の制服は
ブラウスに「貝ボタン」を採用していました。
100年以上変わらない、
白ブラウスにジャンパースカートの
すごくシンプルな制服。
「変わらないことが新しい」と、
わかるようなわからないようなことを言っていたけど、
若い私たちにはそのシンプルさが
不服でした。
でもひとつだけ、
(これは素敵かも…)と思っていたのが
ブラウスにほのかに光る貝ボタンでした。

その貝ボタンは、
高校OGのおばあちゃんたちが運営する売店にしか売ってなくて。
ボタンが取れたり欠けちゃったりすると、
慌てて買いに行ってたのですが、
このボタンが結構高い。
それだけで高校生には特別感。
1つ1つ、よーく見ると
色合いや雰囲気が微妙に違う貝ボタンを手のひらに乗せてもらっては
なんだか特別な宝物を手にした気分になりました。

角度によって、
白にもピンクにも見える。
一瞬、薄紫にもクリーム色にも見える。基本的には淡くうすーい桜色。
取れたボタンを筆箱に入れていたので、
授業中はしょっちゅうその小さな宇宙を眺めていました。
窓から入ってくる光の加減で色を変えるボタンが愛おしくて眠くなったのを覚えています。

可愛くて優しくて美しい、
シェルピンクのこの色は、
私の高校時代を淡く思い出させてくれる、
ずっとそばで見守ってくれた友だちのような存在です。

目が合うだけで優しい気持ちになるシェルピンクちゃん

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イシノアサミさんの『ひと色展』コラボに参加させていただきました。