コードギアス『奪還のロゼ』全幕感想 救えない
※決定的なネタバレを多く含みます
※パンフレットなど読んでいないままのため読めば解決する疑問も含む可能性があります
私は1年半ほど前に、コードギアスシリーズのアニメと映画を1度履修しただけの、特に詳しくもない1ファンです。
映画館でコードギアスを見れることが嬉しく、毎幕楽しみに映画館へ足を運んでいました。
本日最終幕を見ました。
果たして見る必要があったのかと、
彼らの物語を見届ける必要があったのかと、思いました。
衝撃的な展開が多く混乱しているため、自己整理を兼ねて、順を追ってなぜそう思ったのかを整理したいと思います。
第一幕
新しい物語として面白く、コードギアスを知らない人でも入りやすい、楽しい展開が続いたと思います。
しかし、「兄弟」として売り出している謳い文句を盛大に破られ、何を観にきたのか、何を信じていいのか分からず酷く心がざわつきました。それがコードギアスの良さでもあり、やってくれるじゃない、面白いじゃないと、悲しく思いつつもとても楽しいシーンでした。
兄弟に対するフォローが、ラズベリーさんだったことが個人的に嬉しくて、情緒をいいように乱されたと感じます。
弟への愛と、その器を借りたサクヤへの恋慕が混ざっている状態が、苦しくも愛おしく、見守っていきたいと思える素晴らしい展開でした。
可愛い皇帝が殺されてしまったことに傷心が止まらなかった記憶があります。シュナイゼルが本当に本当に大好きなので嬉しかったです
第二幕
起「承」転結の部分なため、戦略的展開が多く、頭も知識もないため少しだれる部分がありました。こればかりは私が楽しめるだけの知識を持っていかなかったことに非があるので1度置いておきます。
私の理解力では3つの勢力がいい感じに合同で動くようになったな~くらいでした。
ダモクレスのくだり全てお腹が痛かったです。個人的感情もあり、もうダモクレスというものを見たくありませんね……。
ロゼとアッシュが怪しくなってきたことも苦しかったです、良い精神負荷でした。
猫で筋トレしてたのは第二幕でしたっけ。可愛すぎて涙を流していました。
第三幕
アッシュ大好きアッシュ大好きアッシュ大好き。クリストフ大好きクリストフ大好きクリストフ大好き。
大きな感情としてはこれに尽きます。悪人ロイドさん枠をありがとう
サクヤ=ラズベリー
の明かし方があまりにフランクで私は納得していません!これは個人的な感情です。
弟だと思って可愛がってた正体を恋愛的に好きだったなんて、そんなの、大好きじゃないですか。愛じゃないですか。兄弟愛も恋愛も欲張りで大大大好きじゃないですか……。
モヤモヤしたところで言うと、サクヤの行動が愚かであったことに焦点が行きすぎていて(ルルーシュはもっとやらかしている気がしなくないが)もっと“どうしようも無かった“感が欲しかったなと思いました。
好みかもしれませんが、救いの無さの湿度をこの辺りから上げていて欲しかったです。理由が続きます。
第四幕
救いなんて何も無かった。奪還をするにあたってあまりに多くを失ってしまったから。
アッシュの幕引きは綺麗だったし、サクヤのケジメも素晴らしかったと思う。
でも、救えたんじゃないかって、自爆される前に飛び降りたアッシュを回収できたんじゃないかって。ギアスを自ら望んだ後に、続く誓いを守り通してこその生きる強さだと信じたかった。それを果たした後にも騎士としてでも隣で生きたかった、生きて欲しかったのはアッシュもサクヤも同じだったはずなのにどうして?
“どうしようもなさ“が足りずに、希望へと伸ばした手を緩めるみたいに、一瞬諦めを選んだように見えてしまった。悲しくて。辛かった。
アッシュが生きる理由はサクヤ以外に無くなってしまったのだから、サクヤがもっと引き止めたら良かったのに、自分の命の重要性以前にギアスをかけたアッシュを生かし続けることの罪悪感があったのかもしれないって。
勝った後にも続いて良かったのに。
アッシュ・フェニックスの物語としては美しく散れたかもしれないけど、サクヤの存在がある以上、死ぬ必要って、無かったよ。
人間駆除の理由も分からなかったし、これは端的で大きく間を省いた言葉ですが、シャルルの後処理はルルーシュがやるべきじゃないかって。亡国の時の方がこの辺りの処理が丁寧でしたよね……スザクやカレンがでてきた数カットにもそんなに意味を感じられず、サービスシーンとして割り切れる部分ではありますが、ルルーシュがギアスを授ける必要は無かったんじゃないかと感じてしまいました。無責任に見えます。C.C.も力を与えた後、傍で行動していたのになって。
全体を通して
コードギアスの続編として主軸は面白く、過去キャラの解像度は粗めで、単体の作品としてはとても悲しい話だったと思います。
兄弟が嘘であれだけ感情移入させたアッシュが死ぬ。奪還の喜びより失った悲しみの方が深い。それこそがやりたかった事なら素晴らしいお話ですが、少なくとも第四幕を見て、友人に面白いから見て!と気軽におすすめできるものでは無くなってしまいました。
我々が続編というものを望んで得たロゼとアッシュを失い、人類が殲滅されかけ、多くが死んだ。奪還するには奪われなければならない。大好きになったロゼとアッシュにそれを強いたくは無かった。
この喪失感を埋めるように、願い、唱え続けることしかできません。私はただただ、ロゼという人間を偽物の弟ではなく、“ロゼ“として愛したいと思うばかりです。
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