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1116:ねぇ、ハチ

NANAに恋し続けて

小学校の頃から流行り始めたNANA。
今となっては、一世代前の漫画なのかな。
わたしの中では、好きな(というより一種の信仰かも)マンガに今でも変わらずランクインし続ける。

田舎でテレワーク、なんて言葉もコロナによって後押しされて違和感がなくなった最近。でも、違うんだよな。かく言う私も田舎育ちの上京組だからわかる。NANAの中にはほんの十数年前の”上京”がという言葉が持つ独特の憧憬と焦燥感がちゃんと生き続けている。

休みに全巻読み返したら気持ちを全部持っていかれた。
何度読んでも、結末も22巻のその先が出ていないこともわかっているのに、それでも、私も何度も繰り返してしまう。
ねぇ、ナナ。
ねぇ、ハチ。

707号室の窓際が好き。

夏祭りが当たり前にあって、田舎の父ちゃん母ちゃんといえば、奈々の両親みたいな感じっていうのが幻想も含めてほんの少し前までの現実だったはず。ステレオタイプが今より安定していて、NANAが出た頃は、ジェンダーという言葉もこんなに世間に浸透していなかった気がするから、もっと気楽にこの世界にのめり込めた。いや、私が歳をとっただけなのかな…。
もっと便利なケータイ、iphoneが今手元にあっても、おもちゃのようなガラケーにもはや懐かしさ以上の良さを感じてしまうワタクシ。

*ジェンダー平等な社会を私も願うけれど、最近何かの感想を述べるときにすら、自分の発言が差別になっていないか気にする自分自身がいる。他人を傷つけない発言を、考えてするのは社会人としての常識だと思うけれど、自分の気持ちにすら素直になれない、表現できない気がしてしまう。もちろんこれは今の社会のせいではなく、自分の感情に自分で点検を入れて、自分で制限をかけているわけだから、これを大人になると人はいうのかもしれないけれど、、、。

好きだったなあ、あの疾走感、焦燥感。刹那的な生き方をする若者たちが、まだ当時は自分より年上の設定で、本当にかっこよく見えたんだ。

原作が何より好きだけど、映画の特に1は尊敬している。
この曲も大好き。大人になって聞くと思い浮かべる光景が変わっていて、ぐっと切なさも増すのね。

苦しくてもがいている若者に贈るマンガでもあるよな。
何もかも時が止まってしまったかのように思えたあの事故の後で、立ち止まってみれば、まだ登場人物みんな人生が始まったばかりの年齢で。

教訓じみていなくて、結末はよくあるハッピーエンドではなくて、今より文字がたくさんあるマンガ。
私が今更薦めるまでもないけれど、おススメです。

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