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よく噛んで味わって #美味しいnoteの歩き方 ~キナリ杯こぼれ話~

そのひとと出会ったのはつい最近のこと。

広大なnoteの海にもすっかり慣れ、わたしはいつもの海岸をお散歩しながら顔見知りのひとたちと挨拶を交わしたり、浮き輪でぷかぷかしながら、毎日楽しく過ごしていた。


もうすぐ待ちに待ったフェスが、はじまる。

チケットを握りしめてドキドキしながら入場の列に並んでいた。


待ち時間に見ていたスマホの画面に、友人の記事をまとめたnoteの通知が届いていた。

何の気なしに読んでから、コメントした。

そうしたら、話の流れでなんとそのひとが今度はわたしの作品を読みに来てくださるという。


えー!嬉しい!!

いいのかなぁ。


思った矢先、わたしのはじめてのnoteにハートマークが灯った。

ひとつ、またひとつ。

順番に灯ってゆく、ピンクのハート。

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『まもなくゲートが開きます』

アナウンスの声にはっとして、急いでスマホをポケットにしまう。

わたしはようやく開いたゲートから一目散にメインステージを目指し、人ごみをかきわけ最前列に陣取った。よし。

いよいよ開会式が、はじまった。


★特別リスペクト賞1 「気高きいかれた女賞」

なんと、オープニングアクトはみんな大好き!しりひとみさん。


一曲目からものすんごいの来ちゃった。

あー、ダメ。こんなん鳴らされちゃったら、もう。

この音の波に乗るしかない!!

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実は、わたし今回のキナリ杯、めちゃめちゃ欲しい賞があった。

今回は本気で狙う!と決めて、珍しく勢いだけでなく、ちゃんと構成まで考えて、何度も何度も推敲を重ねて書いた。


イベント主催者は、あの岸田奈美さん。

noterさんなら誰もがその存在を知る、我が街神戸が生んだ若き巨匠である。もはや説明は不要かも。

で、こんな巨大イベントをたったひとりで企画・運営しちゃって、しかもここまでの一大フェスに祭り上げた偉大な彼女、実は…


わたしとnote同期なのである。


嘘やん。

そんなわけあらへんで。

ほらね。2019年6月デビュー。

まごうことなき、note同期。

しかも同郷やねんで、わたし。ええやろ。謎の優越感。

いや、そんなんやなくて。


岸田奈美に、ささりたい。


その一心で、傾向と対策を練った。

彼女の発信を逐一チェックし、わたしの人生におけるトンデモエピソードを厳選し(いざ思い出してみたらありすぎてビビった!)、タイトルから目次まで練りに練り上げ、満を持して投稿ボタンを押した。

『三宮そごうでオッサンと殴り合いをした19歳の夏』

書き終えて、正直これはいけんちゃうかな、と思った。


狙う賞はただひとつ、「気高きいかれた女賞」。


だってこのエピソード、たいがいイカレてるやろ。

しかもご丁寧にタイトルには地元民なら絶対見逃せない『三宮そごう』とまで入れてある。岸田さんの興味をそそること、間違いなし。

あの無敵の19歳のわたしがよみがえり、無駄に高まりすぎた自己肯定感を武器に、フェス本番までの数日間ワクワクしながら、その発表を首を長くして待っていた。

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しかし、まさかしょっぱなからその賞の発表とは。

ふたを開けてみたら、受賞者、ひとみはひとみでもあの!しりひとみさん。

そらかなうわけないわ。


受賞作、とっくに読んだし覚えてるよ、鮮明に。

ウィーアー!

ぶっちぎりの、イカレ具合やもん(最大級のほめ言葉です!)。


気高きいかれた女賞にこれ以上ふさわしいひとは、おらんて。

そもそもあんたのあの話、単にイカレてるだけで気高くもなんともないやんか。

せやな!!

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納得しすぎたわたしはもう、なにも思い残すことはなかった。

あとはもう、昼間からビール片手に最前列でノって、踊って、踊りまくって、カラッカラになるまで燃え尽きた。

汗だくになって、隣のひとと笑って、カンパイして、昔からの友達みたいにノリまくって、声が枯れるまで叫び続けた。

こんなに楽しいおまつりは、はじめて。


思い切り全力を尽くしてやり切って、でも届かなくて。

ほろ苦いビールと一緒に飲み干したはじめてのフェスは、めちゃくちゃ楽しかった。

最近ちょっぴり風通しの悪くなった日常を忘れられるくらいに。

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最後の花火まで見終わって、まだビール片手にシャトルバスの列に並んでいたわたしのポケットで、ぶるぶると着信を知らせる合図。

なんだろう。

うわぁー!カラストラガラさん!

まさかの当日、わたしがノーテンキに最前列で踊り狂っていた間に、こんな愛のこもったお手紙、書いてくれてる!!!

嬉しすぎるーーーー♡♡♡

もう感情のいれもんがとっくにぶっ壊れていたわたし、きっと昨日はテンション高すぎてちょっとウザかったと思う(笑)

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高ぶる気持ちを抑えて、ゆっくりと便箋をひらいてみる。

ユーモアと、切ない話って、表裏一体だと思うのです。方向性が違うだけで、人の心を動かす力は一緒。タダノヒトミさんは、両方書ける方だと、この作品で気付かされました。

うっ、嬉しい。けど、褒められすぎちゃう?


フェスの余韻に身体をまかせ、まだふわふわと浮かれていたわたしは、なんだか一気に恥ずかしくなってしまう。

だけど、続けて読んでいくうちに、彼の言葉が不思議とすっと心に入ってきた。


比喩じゃなくて、端から端まで読んじゃう種族っているんですよね。

うんうん、そう!そうなの。比喩じゃないの。自分でもこりゃ病気やなって思ってた(笑)


ソースのお国では計4本あるのですね。すごい。

ちがいます。4本どころやありません。

スパイシーでかなり辛いどろソース、たこ焼きソース、しょース、串かつソース、麻辣ソース…

ほらね。

一社だけでこれやからね。狂気!

あ、わたしの後期のnoteにはお好み焼きレシピもあるよ♪


あのね、今日のお昼ね、偶然にもオムライスやったの!

3人分フライパンで炒めるのめんどくさくって、ホットプレートでやったらアホみたいにデカオムライスできちゃって。ほら見て!

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でもちゃあんと、フジ子さんに言われた通り、ケチャップにみりんとお酢とウスターをほんのちょびっと、入れてんよ。

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そして結びの編集後記。

もう全部のことばがもったいないほどわたしへの贅沢な贈り物。

カラストラガラさんがこの日にこの記事を書いてくださったこと、きっと天からわたしへの特別賞だったんだなぁって思っています。


人生を生きる中で、磨かれた言葉なんだと受け止めています。

そう、わたし、あなたとやり取りさせてもらって気づいたことがある。

わたしのnoteは全部、いまのわたしからその時のわたしへのお手紙だったんだ。

だから、読み返して自分で書いたくせに涙してしまったり、じいんとしてまるで誰かの書いた物語を読んでいるような気持ちになることが、ある。


わたしがわたしに贈る、ものがたり。

本当にあったことも、そうでないことも、ないまぜにして、なんだか誰かのどこかのお話みたいに読むことで、あの時のわたしが癒される。

もっともっとたくさんのひとに読んでもらいたいとか、有名になって本を出したいとか、そういうのんじゃないねん。


あんたのための、あんただけの、お話やねんで。

よかったな、あの時のわたし。大事にしいや。


いろんなことがつながって、書くことや読むこと、もらえたもの、伝えたいこと、自分なりの新しいnoteの味わい方を知ることができた。


お祭りが終わっても、日常は続いてく。


これからのわたしが、今のわたしにできること。

もしかしたらあの時のわたしみたいな誰かに、できるかもしれないこと。


わたしにできること、まだまだあるのかもしれない。


そんなすごい発見をさせてもらえたことに、心から感謝しています。

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美味しいnoteの歩き方。なんて心躍るタイトル。

素材のひとつひとつ、隠し味の調味料までしっかり確かめてから、ゆっくりとメニューの感想を口にしてくれるひと。


いったい何者なんだろう。

とてつもない分析力と、鋭い味蕾を持つ彼。


もっともっと、彼に味わってもらうのにふさわしいメニューを、考えたい。

もっともっと、自分の料理も、ひとの料理も、たくさん食べて、よく噛んで味わって。

そうして自分だけの味を見つけたい。


わたしにしかつくれない、味わい。


それができた時、わたしはすっと渾身の一皿を差し出す。

コックコートの胸を張って、「お味はいかがですか」と。

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カランカラーン。


「ようこそ、カラストラガラさま。お待ちしておりました。」

ちょっとかしこまって、窓際のいつものお席へご案内する。


「トラガラでいいですよ。」

にっこり微笑んで、彼が席につく。


それから、わたしの中で彼はトラガラさん、になった。




サポートというかたちの愛が嬉しいです。素直に受け取って、大切なひとや届けたい気持ちのために、循環させてもらいますね。読んでくださったあなたに、幸ありますよう。