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ヴェネツィアのライオンの意味

イタリアのヴェネツィア、と聞くと、まず何を思い浮かべるだろうか?
おそらく多くの方はまず「ゴンドラ」だろう。

ヴェネツィアは水の都と言われるが、その通りで、ヴェネツィアの街中に車は入れない。というか、道が狭すぎて無理。
広場以外のほぼすべての道は、建物が両側にあり、非常に狭い石造りの街である。
手押し車的なものは入れるが、いわゆる自動車はどんなに小さいものも無理。
だからヴェネツィア観光は、基本的に徒歩、または水路を使う。
水路としては、ふつう、観光客はヴァポレットと呼ばれる小さいフェリー的なものをバスのように使う。または水上タクシーだが値段は高い。ゴンドラは、観光客は交通手段というよりは観光として。

比較的最近の映画(といっても10年以上前だった!)としては↓「ツーリスト」などではヴェネツィア舞台なので、その辺が見れると思う。

というわけで、もちろん、ヴェネツィアは水の都だが、訪れたことがある方は、サンマルコ広場に必ず行っているだろう。そして、そこここで「翼のあるライオン」の像や絵をご覧になっているだろう。
これが、サンマルコ広場の名前の由来でもある、「聖マルコ」のライオンである。
ヴェネツィアの旗にもこのライオンがいる。
翼のあるライオン(イタリア語でレオーネ)、とても美しい。

しかし、このライオン、手に本を持っているのだが、その本を開いてこちらに見せているヴァージョンと、本を閉じているヴァージョンがある。


本を開いているライオン
本を閉じているライオン

初めてヴェネツィアを訪れたのは、さきほどの映画ツーリスト公開の後くらいだったと思うが、地元のイタリア人の友人が案内してくれた。

その時、ライオンが本を閉じているときと開いているときの理由を教えてもらった。
といっても、当時はまだわたしはイタリア語は全然ダメだったので、たぶん英語でコミュニケーションとっていたと思うので、これまた正確に理解していたかどうかが不安だったが、後で調べると、正解だった。

簡単に言うと、ヴェネツィアが平和な時はライオンは本を開いており、戦時下だと本を閉じ、片手に剣を持っている、というものだった。

本には Pax tibi Marce Evangelista meus, hic erquiescet corpus tuum という文言が書いてあり、これはイタリア語では Pace a te Marco mio Evangelista, qui riposera' il tuo corpo とのこと。
日本語訳すれば「我が伝道者マルコに平安あれ。その身はここに眠る。」とでも言うだろうか。

しかし、商人の街ヴェネツィア。
本が開いているときは平和であるから、その意味としては「民はヴェネツィアに税金納めろ」ということであり、本が閉じているときは戦時下であるから、「今だけは税金免除!」って意味だったりしたらしく(笑)。税金かい。

いずれにせよ、聖マルコはヴェネツィアが街の聖人としていろんな思惑で選んだわけだし、結局は街を治めた超お金持ちたちの都合まみれなようなんだけど。

しかし、いろいろなこじつけとはいえ、こういうトリビアは、中世騎士ものだったり、RPGの時代物ヨーロッパ的ゲームが好きな人(実はわたしも。)はわくわくするものである。

もしヴェネツィアを訪ねることがあったら、ぜひ翼を持ったライオンにも注目していただきたい。
楽しめること間違いない。

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