PARCOで観たよ、「桜の園」!

やっと!東京公演は終わりも間近な、ショーン・ホームズさん演出の「桜の園」を観てきました!!!
「桜の園」は、チェーホフといえば、な作品のうちの一つ。
戯曲は在学中に読んだきり、そして、実際に劇場に足を運んで観るのはお初でした!

いや、もう一度戯曲を読み直してみたくなりましたね…。
自分より先に観劇してた土井ちゃん(大学の同期/パワフルさと繊細さが同居する未来明るし俳優/演技シーンの大黒柱/びっくり箱のような存在)が言ってた事も今なら分かる気がします
俳優さん達の力がまず物凄いしとんでもないし、ショーンさんの演出も、そして各セクションのプラン・ワークも、全ての力でこうも「分かる!」が広がる桜の園が観れるとは…。戯曲の初読時に得たイメージとかけ離れてるわけでは無いのに、新視点が盛り込まれてて不思議な感覚でした。
そう、チェーホフらしさがちゃんと色濃い上、エネルギー・俳優の声・お芝居・ビジュアル諸々…視覚/聴覚的にとても馴染みやすいというか!
頭の中での色々の変換作業を複雑に感じる事なく、一瞬一瞬のモーメントを味わえたような気がします。
これは本当に、台本を立ち上げる段階から始まった一つ一つの積み重ね、いろんな旅路、それらが噛み合っている結果なんでしょうね。驚きとともに面白さが次々とやってくる、そんな舞台でした。


またまた大学時代の話で恐縮ですが…
私たちの大学の演技の始まりもチェーホフでした。
一回生は皆、前期は「かもめ」のトレープレフか、「ワーニャ伯父さん」のソーニャのモノローグを発表します。後期はそのどちらかの戯曲中から抜粋された二人芝居のシーン発表をします。
そうやって一年かけて演技の基礎の基礎を学ぶのです。チェーホフの戯曲を読み解きながら。(この授業もとても興味深いんです…また気が向いたら書き残します)

「桜の園」「三人姉妹」は、別の演劇についての授業(こっちは座学)で扱われた作品で、確か地点の公演の映像を少し観たような…あと、桜の園のワンシーン(ロパーヒンが競売から帰ってきた後のモノローグ)も観たのですが、いつのどの映像だったのかが思い出せません……。とはいえ、あそこのシーンは強烈ですね。初めて映像で見たあの時からセリフが頭にこびりついて離れません。

(「躍る」ことを除けば)演劇経験の全ての始まりは大学からである自分にとって、そのはじまりがチェーホフだったことはとても幸運だったと思います。
あの時はチェーホフ作品の味わい深さよりも「演じること」に対してしか目が向けられなかったから、とにかく視野が狭かったですね。戯曲を読んだのもそれが初めてだったのであんまりよく分からないまま、ただ「なんとなく面白い、かもしれない」というような感覚でした。
演劇のことをこれっぽっちも知らないような、あの究極にピュアな状態だったからこそ、チェーホフの作品たちと当時は真正面から向き合うしかなかった訳です。正面衝突以外の方法を知らない。しかしそれがかえって良かった。
あの時から自分の体に、「演劇」という血が流れ始めたんです。
ソーニャを通して「演じる」ことの難しさと面白さが、そして、ワーニャ伯父さんを通して、「演劇」というものの営みがどういうことなのか…そういうものを少し会得したように思います。
演劇の、その入り組んでいて恐ろしく魅力的な深い迷宮の入り口のラインを越えたきっかけ…という訳です。

4回生になってからも先生にお願いして下級生の授業を聴講…いや、もうかなり本腰入れて全力で受けてたので聴講どころじゃないですけれど(笑) 時が経ってまたソーニャをやってみると新たな発見があったりして。そして読む度にその時の自分と強く呼応し合う役が変わってきたりするのも面白くて、チェーホフが現代でも愛されている理由が少し分かったような気がしました。


チェーホフ作品に対しては今も様々に研究が進んでいます。
社会が変容し続ける限り、そしてそこで人が交わり合っている限りは、チェーホフの作品たちと現代社会は呼応し続けるものなんでしょうね。
どの時代でも戦争や社会問題の根底にあるのはやはり「人」だから。人がそれぞれに叡智を手にしているという事自体が、いろんな交わりやぶつかりを生み出す大元になっている…確かにそれはいつだって普遍的な事であるでしょうね。
どうせなら世界の良い発展にだけ繋がればいいだろうけど、そもそも何が「良い」で「悪い」かも分からない。世界や個人の発展に、正解や成功や失敗はあるのでしょうか。きっとその全てはいつも同時に存在しているから、私たちは然るべきタイミングで歴史の声を聞かなくちゃいけない。そして、今己の目に映っている世界はとても盲目的であるということを忘れてはいけない。
昨日観た桜の園からは、なんかそういう戒めというか、ビンタみたいなものを食らったような気がしました。



あぁ、天野はなさんのドゥニャーシャ、良かったなぁ。エネルギッシュさがかえって危うさを呼び起こすあの感じ、狂わしいほどに心奪われました。
ワーリャを安藤さんが演じるのも最高でしたね。きっとこれから桜の園と触れるたび思い出すんだと思います。もうずっと前から思ってますが、安藤さんはお声が魅力的…安藤玉恵さん✖️日本語は最強です。
あと、今回一番驚いたのはヤーシャ!なるほどこれもヤーシャだわ、とガツンとやられました…。そして隼太さん演じるヤーシャによって、初めて「ヤーシャ」のもつ要素が自分の中にもあることに気付いたというかなんというか…多分、今の自分に大ビンタ食らわせてくれたのは間違いなく彼です。初めて読んだ時にはなかった感覚で、これぞ演劇だ、チェーホフだ!という面白さを感じます。
そして、今回この作品の話の解像度が高かった大きな理由の一つが、ロパーヒンを八嶋さんが演じていたということにあるような気がします。見事でした。

他のキャストの方も全員分書きたいところですがこの辺で…
本当に皆さんそれぞれがビビッドな色彩を持ちよっていて、そこにいる人間のそれぞれの存在感を強く感じ続けた3時間でした。
地方公演も、キャスト・スタッフの皆々様…引き続きどうかお身体を大切に!



全然関係ないけど、この日は劇場行ったらカンパニーメンバーと邦生さんにお会いしました。めっちゃテンション上がったなぁkk



今日の一曲

ロシアも桜の園もチェーホフもなんも関係ないけど、近頃のような暑い夜についつい聴きたくなる曲なので
落日飛車(Sunset Rollercoaster)のVillaです↓

夏の夜は、タイとか台湾の曲を聴きたくなりがち

2023.8.29 Tue. 久々にのんびり過ごした休日の夜🌙





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