見出し画像

【恋愛小説】⑲最初の恋人 最後の恋人 〜招かざる客~

美々は電話口で泣いていた。

2週間前。。。

昌人との付き合いは5か月が経とうとしていた。
美々との送迎デートは相変わらず続いていた。
真冬になると手がかじかみ、バイクのクラッチが握れず危ないからと、あまりに寒い日は美々は電車で帰っていた。
昌人の部屋から美々の自宅まで、バイクで20分、電車だと迂回しなければならず1時間かかっていた。

「車を買おうと思うんだ」
昌人が言い出した。

美々は遊園地は大好きなのだが、必ずと言っていいほど車酔いをするタイプ、車は好きじゃなかった。
そして、バイクにまたがる昌人がかっこよく好きだった。
バイクを売ってほしくなかった。
美々は高い買い物であるし車の購入には反対し、寒い日は電車で通うからバイクを手放さないでほしいと、昌人にお願いしたが、門限がある美々と少しでも長い時間を過ごしたいと、昌人が車の購入を押し切ったのだ。
バレエ貧乏の美々に車を買えるわけもなく、美々が口出しを出来ることでもなかった。
昌人は親からお金を借りて、中古車を買った。
そして、美々のわがままを聞いて、バイクも売らずに持っていた。

そんな時、ある事件がおきた、

その日はバレンタイン。
早めにレッスンが終わった美々はチョコを持って昌人の部屋にいた。
甘いものが大好きな昌人のために、夜遅くに手作りをしたのだ。
ご飯はいつものお弁当。
「さ、冷めないうちに食べよう」
その時だった。
昌人の部屋をノックする音が聞こえた。
昌人が玄関に出ると
「ちょっと待っててね」
と、美々に言い残し、玄関を出た。
玄関前で何やら話している様子。

・・・10分が経った
お弁当、冷めちゃうな・・・

・・・20分が経った
まだ玄関前にいる・・・

・・・30分経った。
美々は玄関の様子を見に出てみた。

以前、昌人の友達に数人に会ったことがあった
その中の1人だ。
「あっ、もし良かったら、中へどうぞ」
美々は二人に声をかけた。
「いや、すぐ済むから。中で待ってて」
昌人が美々を部屋へ押し込んだ。

それから、さらに20分・・・

ようやく昌人が部屋に戻ってきた。

「あれ?お友達は?上がってもらわなくてよかったの?」
「いいよ、さ、食べよ。あぁ、ごめん、冷めちゃったね。美々、先に食べててもよかったのに」
「・・・大丈夫?何かあった?」
「いや、何もないよ・・・」
・・・・・・・
・・・・・・・
またかよ、この沈黙・・・

「何!?」
美々は怒っていた。
「いや、何でもないって・・・」
焦る昌人。
美々は怒ると口が悪い。
「んなわけないやろ!!1時間近くもしゃべってて!。またか!?女か!?」
「ちがうちかう!!、男だったろ!!」
「えっ?・・・男もいける派?そうなの?」
「ちがうちがう!!オレは女好きだ!!」
「女好きなの?」
「だからっ・・・なんか話がややこしくなってるっ!!ちがうってば!!」
・・・・
昌人は大きなため息をついた。
「誰にも言いたくなかったけど、ちゃんと話すよ」


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?