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「知の深化」と「知の探索」をどのように実践するか -ミミクリメンバーの”両利き”のテーマを紹介します

【オンラインミートアップ開催のお知らせ】12/22(火) 19:00より、ミミクリデザインと株式会社DONGURIによるオンライン会社説明会を開催します。新たな「遊び仲間・学び仲間」を募集するにあたり、まずは私達の取り組みを実践と研究を軸にご紹介できればと考えています。ぜひお気軽にご参加ください!
https://mimiguri-meetup.peatix.com/

イノベーションのジレンマを乗り越え、成長する組織のあり方を提唱する書籍『両利きの経営』。チャールズ・オライリーらによって著され、2019年には日本語訳が刊行された同書では、「イノベーションを起こし続けるための組織のあり方」として、”利き腕”として既存の事業や領域の専門知をより深めていく「知の深化」と、”利き手ではないほうの腕”によるアプローチとして、今までとは異なる未来の事業の模索・創出を目指す「知の探索」の両立が重要だとされています。

『両利きの経営』では主に組織レベルの理論や事例が語られていましたが、ミミクリデザインでは、この知見を「個人レベルの学習のあり方」として応用し、組織イノベーションの担い手であるビジネスパーソンの一人ひとりに求められる「両利きの学習」として提唱しています。

アカデミックと現場の往復を筆頭に、単一の領分に深く根を張るというよりも、複数の領分を軽やかに行き来し、コラボレーションによって価値を生み出すことを得意としてきたミミクリデザインにとっても、“両利き”は相性の良い考え方と言えます。そこで今年の春からミミクリデザインでは、この"両利き”を組織的に大事にしていきたい姿勢として定め、理解を深めると同時に、OKRとして組み込むなどの制度化も進めてきました。

本記事では、いまだ試行錯誤中ではあるものの、2020年を通して大事にしてきた「両利きの学習」の途中経過として、現時点での各メンバーの「深化」と「探索」を紹介します。

 irori  -いろり-

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iroriユニットは、デザイン領域で博士号を取得した小田裕和を中心に、プロダクトとして形になることを見据えた商品開発・新規事業開発のプロジェクトを多数担当してきました。単にアイデアを出すことだけではなく、豊かに語り合うことを大切にした、新たな価値観をもたらすプロセスと成果の両立にこだわるユニットです。

メンバー:小田裕和、田幡 祐斤、佐藤 比呂

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小田 裕和  Manager /  Design Researcher

深化:
意味のイノベーションの研究者/実践者として、新たな知見を発信する

探索:

クリエイティブパーセプションの観点から、デザイン的行為の可能性をより広げていく

「デザイン」という概念を、実践と研究の両面から捉え、「わからないこと」へアプローチしていく豊かなプロセスのあり方として社会に広げていく。また社会をより豊かにしていくためのデザインとして、「意味」を中心に据えた方法論や教育のあり方を探究する。また社会をより豊かにしていくためのデザインとして、「意味」を中心に据えた方法論や教育のあり方を探究する。
田幡 祐斤 Director / Learning Designer

深化:
豊かなアイデアが生まれる実践共同体の創出を目的としたマクロな学習環境デザインの探求

探索:

バイオミミクリ的アプローチによる、創造プロセスにおける“合目的的な偶然性”の活用方法の探求

「いくら研修やワークショップをしても、学びにはなるが本当に良いアイデアまでは出ない…」という声は決して珍しくない。事業開発や商品開発において豊かなアイデアを生み出すためには、個人や組織が「創りながら学び、学びながら創る」体質であること、つまり実践共同体であることが不可欠である。それを実現するための学習環境デザインの方法を探求したい。

また一方で、創作プロセスにおいては“確実性を高める知識”だけでなく、“偶発的な揺らぎ”も重要な意味を持つ。その偶発性を味方につけるにはどうしたらよいのか。「偶然性」を組み込んだ機構により個体の存続や種の進化を実現している生命の叡智に倣い、“生きた場づくり”をするための方法論を探りたい。
佐藤 比呂 Director / Designer

深化:

ワークショップにおける“Less is more”なプログラムを探究する

探索:

マーケティングを起点とするカルチャーデザイン

ドイツの建築家ミースが提唱した概念「Less is more」をワークショップに取り入れ、削がれることにより豊かさが増すプログラムについて、設計・振る舞い・考え方など多様な観点から探究する。Less is more且つおもしろく味わいあるプログラムが生まれるためには、研究的知見と実践知が組織の中に蓄積/循環することが不可欠である。この「知」の循環をミミクリデザイン内でのナレッジシェア会の運営を通して実行していく。

ワークショップでは、コンセプトの上流から考えることが多く、創造的なアイディアが生まれやすい一方で、市場とのズレが生じやすい一面もあるように感じる。モダンデザインの父と呼ばれるウィリアム・モリスから現代のデザイナーが、目まぐるしく変わる社会にどのようにアプローチしてきたかを研究することで、アイデアと市場を紐づけるデザインを実現していきたい。

butai  -ぶたい-

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論理によらない感性的な対話の場づくりを中心とした、教育・人材育成・組織開発プロジェクトを主に担当するのが、こちらのbutaiユニット。一人ひとりの感情や創造性の萌芽を丁寧に扱い、アナロジーや創作的活動をとりいれたファシリテーションを得意としています。

メンバー:和泉裕之、雨宮 澪、臼井 隆志、渡邉 貴大、猫田 耳子

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和泉裕之 Manager / Dialogue Designer

深化:
私たちの場を"客席"から"舞台"に、役を"観客"から"演者"へとリメイクできる存在になる

探索:
創造的対話を組織文化として根付かせるための方法論を探る

誰かと協力して何かを成し遂げていくため、「わたし×あなた」のエネルギー量を最大化できるようになりたい。そのためにはまず、わたしとあなたをその気にさせ、私たちの立場を傍観者から当事者へと変化させる「目標と課題」をデザインできるようになること。それを深化に設定する。

そして、私たちの衝動に火をつける目標と課題を見出し続けるには、わたしとあなたが対話を通して「共にしっくりできる意味」を探り続けていくことが必要になる。「対話できる関係性づくり」を個々のメンバーによる努力任せにするのではなく、組織として支援していくための方法論を見つけたい。それを探索に設定する。
雨宮 澪 Director / Designer

探索:
真の自己とつながる探(求/究)者及び実践者となることで、真の変容の伴走者となる

深化:

個々人の深い自己が出てくることができる変容の場のデザイン

以前から、言語や思考を丁寧に扱うのはもちろんのこと、それだけではアクセスしたり、捉えたりすることができない(かもしれない)深い自己と出会い、変容していくプロセスに寄り添うファシリテーターとしてのあり方を探索していきたいと考えていた。

そして、そのための具体的なアプローチとして、「場のデザイン」の可能性に注目している。光、風、音、などの自然がもたらす恩恵や、身体における感情・感覚を重要視した場のデザインを探究・実践していくことで、参加者の一人ひとりが真なるその人らしさと出会い、その集合体が生み出す共創によって人間の面白さが溢れ出てくるような場を創り出していきたい。
臼井 隆志 Director / Art Educator

深化:

メンバーの"作家性"を発揮するプロジェクトマネジメントの方法論を作る

探索:

アートを媒介とした学習の活動モデルを作る
   
ファシリテーターの"作家性"は場に宿る。組織開発や教育の取り組みのなかで、クライアントの課題に伴走するファシリテーターの"作家性"を発揮する、深化の取り組みとして、キュレーターのようなPM像の確立を目指している。

また、探索としては、主にビジネスパーソンを対象とした学習機会として「対話型鑑賞」の場をつくっている。「アートの問いが組織開発のなかで機能するか?」を探究している。
渡邉 貴大 Director / Experiential Educator

深化:

ミミクリメンバーのロールとナラティヴへの理解を深化し、インストールする

探索:

共同的な語りが生み出す物語の役割について探索する

個人と集団の潜在的な力の顕在や、今までとは異なる新しい道筋が見えてくる"共同的な語り"の発生に条件があるとすればそれは何か。再現性を高めるために、場の体験と基盤となる概念に触れる機会を重ね、実践していきたい。
猫田 耳子 Director / Designer

そもそも深化と探索とは何なのか。それを設定することを強いられることに果たしてどんな意味があるのか。「目標を設定し、そこに向けて動く」ことによって、とりこぼされてしまう学びもあるのではないか。深化はともかく、探索でもそのような近視眼的な見方をして良いのか。...与えられたものを素直に受け止めることができず、考え込んでしまっていたけれど、そんな面倒くさいわたしの気質と向き合い、丁寧に対話を重ねてくれたユニットメンバーのおかげで、ようやく少しずつ自身の深化と探索の向き合い方が見出だせてきたような気がしている。

世の中の片隅にいる誰かや何かが抱えるそんな小さな違和感を拾い上げて、遊びやデザインに変換していくことを、わたしは『すみっこの遊び』と呼んでいきたい。その場での社会的インパクトは小さくとも、大きな時間の流れとともにイノベーションに変容していく小さな種がすみっこには眠っていて、その可能性を信じて拾っていくことが、わたしの探索テーマなのかもしれません。

 sakyu  -さきゅう-

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組織学習の理論を基盤とした実践に、仮説的推論(アブダクション)をはじめとしたデザインリサーチの知見に基づく方法論を織り交ぜたアプローチを得意とするのが、こちらのsakyuユニットです。組織の”今”を問い直しながら”ありたい未来”を模索し、組織や社会におけるWicked Problem(厄介な問題)が学習によって解決されるための仕組みづくりに伴走します。

メンバー:遠又 圭佑、淺田 史音、野島 繁昭、田中 風花、志田 雅美

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遠又 圭佑 Manager / Business Strategist

深化:
日常で創造的対話が起こり続けるファシリテーションの技術を磨く

探索:
Wicked Problem(厄介な問題)に相対するための組織学習プロセスを開発する

創造的な対話が日常に根づくよう組織の土壌を耕すためには、所属するメンバーの一人ひとりがファシリテーターとしての姿勢や意識、技能を身につけていることが重要だと考えている。中でも組織の要のミドルマネージャーには、メンバーの衝動に火を灯しながらも、トップダウンとボトムアップをハンドリングしながら、チームの創造性を促進・持続させるためのファシリテーション能力が求められる。

「深化」としては、私自身がいちミドルマネージャーとしてそれらの技能をさらに磨いていくと同時に、組織学習の観点からそれらの知見をまとめ、個人のファシリテーション実践から組織的な学習を生み出すための場やプロセスづくりの専門知を深めていく。

「探索」的な試みとしては、上記の「深化」で獲得した知識や技術を、論理的思考では解決の難しいWikied Problem(厄介な問題)に対処するための方法として位置づけ、個人や組織が拡張的な思考を起こす組織学習プロセスのデザイン・メソッドを開発したい。
淺田 史音 Director / Design Researcher

深化:

ミミクリデザインのアナロジー・遊びのナレッジを研究・実践の両面で強化する

探索:

ミミクリデザインのリソースを用いたプレイフルなデザインリサーチのあり方を構築する

深化と探索が重なる部分もあるが、深化ではPLAYFOOL Workshopを中心に研究を重ねながら、アナロジー・遊びについての知見を蓄積し、それらを取り入れたオンライン/オフラインのワークショップのあり方を考えていきたい。

探索では、ミミクリデザインで行なってきたこれまでの取り組みをデザインリサーチの文脈で捉え直しつつ、プレイフルなデザインリサーチのあり方を構築したい。
野島 繁昭 Director / HR Strategist

深化:

メンバーの衝動の火が灯るようなCIの策定および浸透プロセスの探求
探索:

メンバーの衝動の火が燃え続けるために必要な組織デザインのあり方の探求

 イノベーションを要請される組織においてボトムアップのメンバーの衝動は重要であるが、それと会社・組織という人格の衝動との関係性をどう設計するとよいのか。また、組織とメンバーの衝動の火が保たれるような制度や仕組みはどうあるべきか。組織の”ソフト”と”ハード”の両面から探究していきたい。
田中 風花 Director / Project Manager

深化:

人の無意識を拾い集めて発見した本質や衝動を軸としたプロジェクトプロセスを設計する

探索:

ワークショップデザイン・組織開発プロジェクトにおけるデザインリサーチの可能性を探究する

「人の無意識な癖や潜在意識、欲求を考え、インサイトやソリューションを探るのが好き」という衝動を、自身のキャリアであるワークショップデザインやプロジェクトマネジメントの方向に融合できないかと考えている。クライアントの葛藤や無意識下のバイアスを揺さぶり、新たな気づきや学びを仕込むリサーチを探求していきたい
志田 雅美 Designer

深化:

場の創造性を誘発するリサーチの設計

探索:

創造的跳躍を生む態度の追求

主に担当しているリサーチを通して、プロジェクト参画者の創造性がよりよく発揮されるようなワークショップの場づくりを試みる。また、創造的跳躍を生む振る舞いについて、文献購読等を行いつつも、決まった方法に縛られず、常に省察しながらアップデートしていく。

 engawa  -えんがわ-

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「組織の内外に”知”の循環させる」ことを基本的な指針とするengawaユニットでは、組織イノベーションの知を耕す知見の探究・発信の場である「CULTIBASE」や「CULTIBASE Lab」の運営をはじめ、社内外の広報、研究活動など”知”にまつわる幅広いドメインで中心的な役割を担っています。

メンバー:東南裕美、瀧知惠美、水波洸、田中真里奈

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東南 裕美 Manager / Researcher

深化:

研究を起点とした広報・事業開発を通して知の循環を促す。

探索:

組織開発がもたらす成果・アウトカムについて探究する

研究活動(リサーチ)と広報を紐づけ、成果の発信などにとどまらない、ミミクリデザインらしい知の循環を体現する。探索の面では、修士課程でコミュニティデザインの研究を重ねてきたが、集団には「コミュニティ的側面」と「組織的な側面」があると考え、現在は組織開発の可能性を探究し始めている。
瀧 知惠美 Director / Experience Designer

深化:

「WORKSHOP DESIGN ACADEMIA(WDA)」のリニューアルとして「CULTIBASE」のサービスデザインを、ミミクリデザインらしく葛藤を最大限活用しながら実践する。

探索:
リフレクション研究のネクストステージを探索する。

「葛藤」を行動指針とするミミクリデザインらしいサービスデザインを実践していく。他方で、もともと取り組んできたリフレクション研究の実践と考察をさらにアップデートするかたちで、自分の経験を物語ることをきっかけに創造的活動における自分らしさ(アイデンティティ)のエッセンスに気づくプロセスをサポートする方法を探索していきたい。
水波 洸 Editor

深化:
「衝動」あるいは「葛藤」を結びつけたコンテンツを生成し、発信する。

探索:
ミミクリデザインのメンバーが自身の専門性や問題意識の魅力・意義を対外的に語るための支援方法を探索する。

ミミクリデザインがあらゆる事業の原動力として大事にする「創造的衝動」や、クレドとして掲げる「葛藤」の意義を伝えるコンテンツの生成と発信を継続的に行なっていく。また、メンバーの一人ひとりが異なる専門性や問題意識を持っている中で、それらの魅力にその人自身が気がつき、他者に十分に伝えられるように支援していきたい。
田中 真里奈 Art Educator

深化:
創造性教育の実践の知見を深め、自身の創造性の土壌も耕す。

探索:
 創造性に関する理論を学び、自身の実践を理論と結びつける。
 創造性に関する新たな知見を研究し、実践を行なっていく。

自身の強みである創造性教育をさらに深めていきたい。ビデオ通話で子どもの創造性を育むなど、オンラインでの新たな実践も深めている。造形教育×インプロビゼーションの新たな実践を探求するため、インプロ劇団に所属しての即興パフォーマンスもするようになった。これまでは研究と実践の2軸だったが、探索を行なううちに新しく創作の軸も持ちたくなった。現在は作品づくりへのモチベーションが高まってきている。

以上、17名の深化と探索のテーマをご紹介しました。
ミミクリデザインは、これからも日々アップデートされる研究の成果を基盤に、集団の創造性を引き出し、複雑な課題解決のプロジェクトをファシリテートしてまいります。

また12/22(火) 19:00には、ミミクリデザインの新たな「遊び中・学び仲間」の募集に向けたオンライン会社説明会「ミミクリ& ドングリ〜遊び・学びの探索〜」を開催します。

横断経営を行う株式会社DONGURIとともに、過去の実践と研究や、その根底にある組織的な価値観や風土について、CEOの安斎勇樹とCOOのミナベトモミがお話しします。ぜひお気軽にご参加ください。

各メンバーへのインタビュー記事も公開中。下記マガジンにまとまっていますので、ぜひこちらも合わせてご笑覧いただけましたら幸いです。

2021年もどうぞよろしくお願いいたします。

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