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犬派、猫派

あなたは犬派?それとも猫派?
私はずーっと長いこと猫派でした。

なぜって、まず見た目が美しい。
ピンととがった耳やそこから伸びる、ついつまみたくなる毛、完璧な横顔のフォルム、触りたくなる後頭部、ガラス玉のような目、ヒクヒク動くおひげ、揃えられたふくふくの前足にそっと行儀良く乗せられたしっぽ。
何を取っても完璧な美しさ。
気ままで自分の思うままにふるまう自由さ、気高さ。
おまけに仕草が優雅で華麗で、手触りが滑らかで柔らかくて心地良く、ずっと見ていたく、触っていたくなるから。
街で猫に出会うとつい立ち止まって相手をしてしまうし、チャンスがあれば写真も撮ってしまう。

でもここ一年くらいで犬派の気持ちがわかるようになってきた。
今では犬のほうが好きかもしれないとさえ思う時がある。

ここフランスでは小型犬を連れて歩く人が多い。
日本と違って割といろんなところに連れていける。
デパートや雑貨屋、洋服屋などの買い物や公共交通機関、カフェやレストランでも犬と一緒に入れる。
お店でも店主の犬が看板犬のような形でよくお店にいたりする。
最近はそうやって一緒にいろんなところに行けるところ、連れて歩けるところがいいなと思ってしまう。

以前はせわしなく動き回り、せわしない呼吸で終始じゃれついてくる犬がバカっぽく感じていた。
一瞬相手をするのはいいが、ずっとかまってあげないといけない気がして多少鬱陶しい、存在が重いと感じることも正直あった。
猫と違って触っても柔らかくないし、のどをゴロゴロ鳴らしてもくれないなんて思っていた。

でも街ゆく犬を見ていて気付いた。
犬は大体いつも笑っている。(ように見える)
いつも飼い主の隣で実に嬉しそうに散歩を楽しんでいる。
飼い主や知り合いに会う時は飛びついて跳ねながらしっぽを千切らんばかりに振り回して溢れる喜びを全身で表している。
なんてわかりやすくて素直なんだ。
なんて喜びに満ち溢れてるんだ。
こんなに素直に「好き」を真正面に余す事なく表現してくれる相手なんてそういないだろうと思わせてくれる。
可愛らしすぎて見ているだけでこちらまで笑顔になってしまう。

歳を重ねるに連れて人の素直さ、率直さに価値を感じるようになってきた。
歳を取ると繕うことや誤魔化す事が上手くなる。
人間には嫉妬や妬み恨みのような拗らせた感情がある。
動物にはそれがないように感じる。
言葉を理解しないから期待もしない。
「分からない」を前提としていると色々楽だ。
だからこそ犬の純粋で真っ直ぐな裏のない「あなたが大好き」オーラがとても尊く感じる。
丸ごと受け止めて返してあげたくなる。
いや、猫は猫で特定の人にしか懐かない感じや、すりすりゴロゴロ甘えてくる時はたまらなく可愛いんだけどね。

フランスでは犬連れをよく見るから犬飼いの人の方が多いのかと思いきや、ペットの比率でいうと猫飼いの方が圧倒的に多いらしい。
都市部でのアパート内での飼いやすさもあるだろうけれど、気まぐれな人が多いフランス人には気まぐれな猫のほうが合うのかなと思う。


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