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ターンテーブルから遠く離れて

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クラシック音楽を巡るエッセイ
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2022年9月の記事一覧

悪魔のように細心に、天使のように大胆に。トリスタンとイゾルデ前奏曲演奏考

陶酔の深淵最初にワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」前奏曲と愛の死を聴いたのは、高校生の…

耳澄
2年前
6

さよならの向こうの風景 ---エルガー2番(Vol.4)

古き良き帝国の終わり2022年9月19日、私はエリザベス女王2世の国葬を見ながら、その荘重な儀…

耳澄
2年前
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野心的な疾走---エルガー2番(Vol.3)

エルガー2番の録音史ペトレンコ! 2009年5月キリル・ペトレンコが2度目にベルリン・フィルを…

耳澄
2年前
6

後期ロマン派の終焉---エルガー2番(Vol.2)

ラトル→マーラー→エルガーラトルの興味深い発言 サー・サイモン・ラトルのエルガー2番に関…

耳澄
2年前
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エニグマ交響曲---エルガー2番(Vol.1)

序として ---女王陛下の思い出エリザベス女王2世をこの目で見たのはたったの1度、1975年の香港…

耳澄
2年前
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問い続ける鎮魂 ---ヴェルディ:レクイエム(Vol.3)

疑問符のコードヴェルディのレクイエムの最後はハ長調のコードで終わるが、しかしへ短調のV和…

耳澄
2年前
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慎ましい祈り ---ヴェルディ:レクイエム(Vol.2)

慎ましい祈りオペラ的なるもの ドキュメンタリー「カラヤン・イン・ザルツブルク」の中でカラヤンがビデオ編集中にわざわざ英語で「unbelievable信じられない」と呟くシーンがある。 確かにそのシーン、ホセ・カレーラスがウィーンのムジークフェラインザールのオルガン前で歌うヴェルディのレクイエムの「Ingemisco私は咎ある者として呻きます」は「オペラ的」と喩えたくなる誘惑を持つ絶唱だ。 これが私が最初に体験したヴェルディのレクイエムだったかもしれない。 繊細な懇願

弱音に耳を澄ます ---ヴェルディ:レクイエム(Vol.1)

シノーポリの遺作2002年4月、転勤で札幌に住んでいた私は久しぶりの外来オケ、ジェームズ・コ…

耳澄
2年前
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