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技能者が「補聴器は認知症に効くんですよね!」と聞かれたら?#017

難聴対策は認知症の予防になるの?

2021年1月25日、NHKのあさイチでは難聴関連の特集が放送されました。

その内容はマスクによる聞き取りづらさや、騒音性難聴とWHO基準の騒音のように「うんうん、その通り!」と頷けるものもありましたが・・・

「それって本当??」とか「あんまり聞いたことないなー」というものまで幅広く紹介されていました。

僕が特に気になった話題は”耳鳴り”と”認知症”の2つです。

耳鳴りについては、前回の中川さんの記事でNHKより詳しい最新情報を解説していただきました。

今回は、認知症と補聴器について、認知症のお客様を接客した体験談を交えながら、みなさんと一緒に考えていきたいと思います。

「あさイチ」でアナウンサー(と医師)が言っていたこと

まずは番組をご覧になっていない方のために、番組で紹介されていた認知症関連の部分を紹介します。()内は、大塚の感想です。

①「The Lancet」という世界的に権威がある医学誌の中で、意図することで改善できる、12の認知症リスク要因が報告されました。
(へー、そうなんだ)

②そのうち影響が最大のものが、中年期以降の難聴。
(なるほどねー。)

③難聴を減らすことで、認知症を予防・遅らせられる可能性がある。
(そうかもねー。認知症にも種類があるんでしょ?よく知らないけど、アルツハイマーとか、レビー小体型とか。全部まとめていいのかな?)

④認知刺激が減ることで、難聴は認知機能の低下をもたらす可能性がある。
(これは分かる。あれ?でも認知症と認知機能の違いって何だろう?)

⑤ドクター
「歳を重ねると、徐々に難聴になる。歳を重ねると認知症になる可能性が高まる。

その理由としましては会話しなくなってしまったり、コミュニケーションを取らなくなってしまいます。脳への刺激が減ってしまいます。
したがって、そう言ったことが原因と考えられていますが、詳細な詳しいことはわかっていません。」

(やっぱり、確実なことはわかっていないんだー)

⑥そうした中で、推奨されたのが補聴器の使用!
(商売としてはありがたいけど、研究データはいつのどんなデータなんだろう?専門医が少ない国だと、伝音性難聴の見落としの話も聞くんだけど、、、。)

⑥アメリカで補聴器の使用後、即時記憶と遅延記憶の低下が少なくなった。
(症例数が出ないなー。本当かな?)

⑦フランスの報告では、補聴器を使用していた難聴の人は、難聴のない人と認知症発症率に差がなかった。
(一昔前に補聴器メーカーがよくPRしてたけど、最近は言わなくなった研究だ、、、本当かな?)


(いちゃもんつけるような感想ばかりですみません。もう少し続きます。)


⑧補聴器、ただ使えばいいというわけではないんです。「補聴器を使った聴覚トレーニングの様子」が必要なんです。
(聴覚トレーニングが必要な人はもちろんいるよね)

⑨補聴器をつけた状態で、聞こえた言葉を繰り返す訓練のVTR。ただしテロップで「認知症の患者ではありません」と。
(今のテロップなんだ!!?)

⑩ドクター「訓練によって、会話をより脳で理解していく。会話の内容を聞き取る能力を高めることが目的。難聴者のコミュニケーションが円滑になることが、認知症の予防になると考えている」
(補聴器が認知症に効くって言ってないよね。コミュニケーションが円滑になることが、認知症の予防って言ったな・・・)

あれ?誰も補聴器が認知症の予防に有効って、断言してなくない?・・・そういう雰囲気作ってるだけじゃない??

もしかして『補聴器を使えば、認知症の予防になる』というのは誤りで

正しくは『補聴器を使って(上手くいけば) コミュニケーションの円滑化につながり、コミュニケーションの円滑化だけが認知症の予防につながる(可能性があるかも知れないし、可能性がゼロかも知れない)』
ってことなのでは???

難聴でコミュニケーションが減ることは事実だと僕は思います。

僕だって補聴器を販売してますから、補聴器が売れる話題は大歓迎です。

でも補聴器を買って使っても、家族や友人と疎遠で会話が増えない人は実際にいます。

そういう人の場合、補聴器を使って聴覚トレーニングしたところで、社会的孤立から脱出できません。

最高級の補聴器を買うより、たとえば疎遠になっている古い友達に美味しいお寿司でも御馳走して、縁をつなぎなおすことが大切になるような気がします。

認知症と難聴の関係、日本の医学会は?

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