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子どもを持たない覚悟


「子どもを産むには覚悟がいる」なんて言葉を耳にする。
当たり前だ。
そりゃあそうだと思う。

だけど「産まない、持たない」という選択にも覚悟がいる。
これまで子どもを産まないことに覚悟が必要だなんて
そんなこと思いもしなかったけど、
実際自分が体験してそう思った。

「子どもを産まない、持たない」と決めたわたしたちのこと。
忘れたくなくて書いておこうと思う。




現在31歳のアラサーです。
彼とは付き合って2年。
今年2月から同棲を始めて、付き合って2年記念日の9月にプロポーズしてもらい結婚することになった。

入籍日や指輪、結婚式のこと…
いろんなことを話すなかで
「子ども欲しい?」という話に自然となった。

これに対してわたしは「今すぐではないけど、いずれ欲しい」
彼は「欲しくない」だった。

これまでも子どもについては何度か話したことがあって、彼が子どもを持つことにあまり賛成ではないことは知っていた。

子どもの話をふると
「まあ今すぐはいいかな〜」とか
「正直そんなに欲しいと思わないかな〜」とかそんな反応で、
ああそんなに考えてないんだなあ、
欲しくなさそうだなあ、とは思っていたけど
今回ちゃんと話して、
初めて「いらない。欲しくない」とはっきり言われた。

わたしはというと、彼と出会う前は
そもそも子どもを持ちたい以前に結婚願望すらもなかった。
恋愛に疲れていたし、もう誰とも付き合わなくていいやとすら思っていた。
一人で生きていく気満々だった。


だけど彼と付き合うようになって
「ああこの人と結婚したいな。ずっと一緒にいたいな」と思うようになり、
結婚が決まってからは「この人との子どもはどんなに愛しいだろう。自分たちの子どもが欲しいな」と思うようになった。
彼がそう思わせてくれた。


彼は基本的に、いろんなことをわたしに譲ってくれる。
生活のこと、引っ越しのときの住まいのこと、結婚式や指輪のこと…
「こうしていきたい、こうしようよ」とわたしが提案すると
「そうだね、そうしようか」と言ってくれる。


子どものことだって、いまは欲しくなくても
またいつもみたいに「そうしよう」って言ってくれると思ってた。
彼と正反対の意見になるのは初めてのことだった。

これが車が欲しいとかって話なら、
使いたいときはレンタカーやカーシェアでいいんじゃない、と中間で落としどころを見つけることができるけど
子どもを持つ待たない、産む産まないには中間というのがないから、結局はどちらかが譲らないといけない。

そしてその選択のどちらが正しいわけでも、間違っているわけでもない。
世間的にとか、親がどうこうとかでなく
二人の正解を見つけていきたいと彼と話していてすごく感じた。

話し合いをする中で
「ミミちゃんのことはすごく好きだ。結婚したい気持ちはずっと変わらない。
でも何度考えてみても子どもだけは欲しいと思えない。
もしミミちゃんが欲しいなら、別れるしかないと思う」と言われた。
結婚する前に言っておかなきゃと、ずっと考えていたようだった。
申し訳なさそうに、苦しそうに言われたけど
彼に迷いはなかったし頑なな意志があった。


そこまで言われて初めて、ああこの人と結婚したら自分は一生子どもを産むことも育てることもないんだなあと思った。


正直ショックだった。



それまでは、まあ子どもが好きじゃないんだろう。
なんだかんだ言っても産まれたら可愛がるだろう。くらいに軽く考えていたので
彼の意見がここまで固まっていることにも驚いたし、子どもを持つか持たないかについて
こんなに真剣に考えてくれていたことも初めて知った。

彼がここまで言うなら、
あなたは育児にまったく参加しなくていいし、
もうワンオペ覚悟でわたし一人で頑張るよ!
だから産ませてくれ!
と言おうかとも思ったけど
育児って絶対そんな簡単なものではない。

わたしが育児に家事に仕事に追われてるのに
彼だけ好き勝手していたら
手伝ってよ!と絶対思うだろうし、
手伝ってもらわざるを得ない状況が絶対にある。
しかもそうやって二人で協力してたって
両親や周りに助けてもらうこともあるだろう。

実際妹の育児を間近で見てたり、
職場の人が子どものことで遅れて出勤したり
早く帰ったりというのもしょっちゅうなので想像はつく。

一人で育てるなんてわたしにはできない。
仮にできたとして、育児にまったく協力しない夫をわたしはどう思うだろう。
愛し続けられるだろうか。
正直同じ家で暮らしていける気がしない。

結婚して同じ家に住んでて、
二人とも仕事してるのに
「子どもは勝手に産んで育てるから、あなたは何もしなくていいよ」なんて
あまりにも非現実で口に出すだけ無駄なことだった。


そして何より、彼が望んでいないのに
無理に産むことはできないししたくなかった。
「出産と育児」という大事なことを
一番大事な彼の意見を無視して
わたしだけの欲求で突っ走って、
そんな風に妊娠できたとして
わたしは満足なんだろうか。

そうやって考えていくうちに
彼と結婚するなら子どもを産まない覚悟を決めないといけないことを実感した。


それでも、

わたしはいま、結婚したいし子どもが欲しいと思っているので
ここまで話し合って、彼が言ったように別れて別の誰かと付き合うこともふと考えた。
別の人となら自分の子どもを持って家族を作れるかしらと思いもした。

だけどわたしはやっぱり彼だから結婚したいと思ったし、彼との子どもだから欲しいと思ったのであって
彼じゃない別の誰かに同じことを思える気がしなかった。
同じく相手からも結婚したいとまで思ってもらえる気がしない。

これまで彼との前にも何人か付き合って、
多分この年齢なりに恋愛はしてきた。
だけど他の誰とも具体的な結婚の話にはならなかったし、
プロポーズをされたこともしたこともなかった。

同棲するまでの踏み込んだ関係にもならず、
せいぜい旅行するとか、お互いの家を行き来するくらいの関係性で
具体的な結婚の話が出ることもなく別れるを何度も繰り返した。

一度だけ、この人と結婚したい!!と本気で思う大恋愛をしたけど
その人とは結婚どころか付き合ってるのかすらもわからないような関係だった。



だからこうして彼と一緒に暮らして、
結婚したいと思えていること、
今後も一緒に暮らしていきたいとお互いに思えてることは当たり前ではなくて、
そんな人に出会えるのも多分人生で最後だろうと思ってる。

そんな一生に一度の彼を手離してまで子どもが欲しいかと考えたとき、こたえはやっぱりノーだった。

人によって結婚する理由はそれぞれだと思うし
「子どもが欲しいから結婚する」という人も多いと思う。
わたしの友達にも子どもが欲しいから婚活を始めた子が何人もいる。
それはそれで立派な結婚理由だと思う。


だけどわたしは、彼とこれからも幸せに暮らしたい気持ちが一番の結婚理由。
その彼が子どもを望んでいないのであれば
わたしにも子どもを産まない、持たないという覚悟が必要だった。

そして話し合ったその一日でよし決めた!と思ったわけではなく
話し合ったその日からじわじわと
もう子どもを産まないし持たないんだなと思うようになっていった。


正直決意とか覚悟なんて言い切れるほど
子どものことをいらないと思い切れてはいないし、諦められたわけでもない。
まだどこかで欲しいと思ってる気もする。


だけど不思議なのが
産まない、持たないと思い始めてから
少しラクになってる自分もいた。


子どもを欲しいと思って産む気でいたときは、
35歳までに産まなきゃというのが何となくあって、
それまでにお金を貯めなきゃ、育休とりたいから仕事で基盤を作らなきゃ、旅行もしばらく行けないだろうから行きたいところには行っておかなきゃ、、
と「あれをやらなきゃ、これをやらなきゃ」って焦っていた気がする。
35歳まであと3、4年…意外と時間がない。

でも子どもを持たないと決めたらそういう焦りがなくなって、好きに自由に生きていいんだと思ったらすごくラクになった。

お金は大人二人生きていくくらいなら何とかなるし、仕事もこれまで通り続けたらいいし、
旅行だって行きたいときに行ったらいい。


子どものいない二人の生活を想像すると
意外にも楽しそうで幸せそうで、
べつに悲しそうでもなかった。
というかいまの生活がそのまま一生続くだけなので
ああそれもいいかも、自由で平和でわたしたち二人にはその方が合ってるのかもとだんだん感じてきた。

いまだって完全に吹っ切れてるわけではないので
もしかしたらこの先、子どもが欲しいと思うかもしれないし
この選択を後悔することが少なからずあるかもしれない。

でも後悔するかしないかって結局この選択をしたあと、どう生きるかによると思う。


子どもを持たないことで得られるメリットや幸せもそれなりにあるわけだから
美味しいものをたくさん食べて、行きたいところに行って、大人二人なんだしリッチな宿にも泊まったりして、
そうやって彼とたくさんの経験をして
仲睦まじく幸せに暮らしていけたら
それがわたしたちの正解な気がする。

覚悟が決まったとは言えないけど
わたしの人生に彼がいてくれたらそれだけで花丸なんだし、子どもはまあいっか!
と思えている。


ずっとずっとこの気持ちが変わらないようにしてよね!
彼と珈琲を飲みながら思った冬の日。
後悔のないように、二人でよかったと思えるように
毎日を大事に、楽しく暮らしていこうね。


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