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閉業温泉の記憶 寺浦温泉

佐賀県唐津市にあった温泉旅館です。
古いながらもよい温泉だったのですが、2012年に運営に暴力団が関わっていることが問題になり、営業を休止、そのまま廃業されてしまいました。
一時は九州温泉道にも登録されていましたが、残念な結果となってしまいました…。
以下、当時の報道された記事の引用です。

 佐賀県唐津市肥前町にある温泉宿泊施設「寺浦温泉」を指定暴力団山口組弘道会系組幹部が社長を務める会社が運営していたことが関係者への取材で分かった。土地や建物は県から許可を得て海砂を採取している「唐津湾海区砂採取協同組合」(同市)が所有し運営会社に無償貸与していたという。不透明な経緯もあり、佐賀県は購入のいきさつなどを調査する方針。
 佐賀県観光連盟(事務局・同県観光課内)はホームページ(HP)やパンフレットで寺浦温泉を「いけす料理が楽しめる隠れた人気スポット」などとPRしていたが、HPから紹介ページを削除した。

 県観光連盟などによると、寺浦温泉は玄海国定公園の仮屋湾の一角にある。同市の男性(故人)が運営していたが、02年、経営悪化で競売にかけられた。
 登記簿などによると、弘道会傘下組織「西部連合」(福岡市)関係者が04年に温泉の土地・建物を買い取り、運営会社の社長や監査役に西部連合幹部が就任した。
 温泉の土地・建物はその後、西部連合の関係者から関連会社に渡り、06年に唐津湾海区砂採取協同組合が購入した。08年に西部連合の関連団体に売り渡したが、3カ月後に買い戻していた。毎日新聞の取材に対し、組合は購入額を明らかにしていないが、決算書類などから、08年の買い戻し時の購入額は3億円以上とみられる。

 組合は、買い取った施設を運営会社に無償で貸与していたという。運営会社は昨年1月に唐津観光協会を退会し、現在は温泉を休業している。
 佐賀県条例は不動産取引の際、暴力団事務所などの開設防止に努める責務を不動産所有者に課しているが、暴力団への利益供与を禁じる本格的な暴力団排除条例の施行は今年1月から。組合は「購入時は相手が暴力団関係者と把握していなかった。暴力団への利益供与は一切ない。誤解を招かないように施設はすぐに売却したい」と説明。組合代表理事の三浦重徳・唐津市議は「弁護士に任せているので何も分からない」と話している。
 運営会社社長の西部連合幹部は昨年2月、長崎大学病院改修工事を巡って準大手ゼネコン社員に関係会社を下請け参入させるよう迫った強要未遂容疑で福岡、長崎両県警に逮捕され、福岡地裁で懲役2年、執行猶予3年の判決を受けた。福岡県警捜査関係者も温泉への組員の出入りを確認していたという。
 佐賀県観光連盟は「施設が暴力団と関係があるとは知らなかった。今後は観光情報をHPなどに載せる場合、業者が暴力団と関係がないことを示す誓約書を提出してもらうことも検討したい」とコメント。県商工課は「組合に話を聴いて施設を購入した経緯を確認したい」と話している。

毎日新聞 2012年1月3日 13時19分

温泉に罪はないんですけどね…。
ということで、最後に訪問したのが2011年のことでした。
入り口はかなり年季が入っています。

入り口

エレベーターが本当に昔のタイプのやつで(ボタンがでっぱっているやつ)ガッコンガッコン動いて、ちょっと恐ろしかったです。
温泉は下にありました。お食事処も下にあったようで、ちょうどお昼下がり、夕食の準備をしているのか、いい香りが漂っていました。

内湯

内湯しかない、シンプルな造りです。
湯は少しぬるめ、おそらく加温しているのではないかと思われます。
想像以上にヌルヌルな温泉で、少し潮の香りもします。
温泉なのか、海のせいなのかはよくわかりませんでした。

逆から

なにせ窓は開けっ放し、そのあたりにカニやらフナムシやらが自由に歩いています。さわやかな海風…。ならばいいのですが、湿度は高め、ちょっとぬめっとする感じの海風でした。

分析表

炭酸水素塩泉ですね。なかなかいいお湯です。

足元にカニがいました

外を覗くと、不自然に松の木が1本ありました。
どうもタイルの感じから、以前は露天風呂があったのではないか。という雰囲気です。埋めちゃったんでしょうね。

露天風呂あと?

ちょうど干潮の時間だったようで、干潟が一面に広がっています。かなり湾の奥なので、干満の差が大きいんでしょうね。

干潟が広がります
いい天気

また入れる機会があれば入りたかった温泉ですが、もう入ることは難しそうですね…。
いろいろな理由でなくなる温泉はありますが、ここのなくなり方は少し残念です。
貴重な佐賀の温泉の紹介でした。

このあたりにありました。最寄りバス停は「寺浦温泉」でしたが、現在は「寺浦」に変更になっています。


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