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15年 ―久世光彦様―

今朝、レストランでメニューを見ていた。
夢の中で。
でも、向かい合っていた、あの男(ひと)は、誰。

店の造りや雰囲気は、そう、久世さんにカレーをご馳走して頂いた赤プリのレストランによく似ていた。うん、きっとそう。けど、真剣にメニューをみていたその顔は、私より若かったような気もして。

と、夢の名残をまといながら、ぼんやりSNSを眺めていると、流れてきた友人のポストに、あ、と思う。
『我が師匠・久世光彦の命日。もう15年、来年は十七回忌。』

そうか。今日は、久世さんの。

夢の中で向かい合っていたのは、やっぱり久世さんだったのかな。
15年前の久世さんと、15年後の私。
久世さんはあの時のまま、そのままの姿で。
向かいにいたのは、あの時から15も年をとった私。
そういうことだったのかな。

それなら、もっと話せばよかった。あの頃はいつも緊張して久世さんのコトバに頷くばかりだったから。15歳分、年が近づいた今ならば、話せること、訊けることもあったはず。

久世さん。
また、会って下さいね。
夢の中で。
私ばかりが年をとるのは、悔しいけれど。

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