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白日夢(写真と詩歌物語)

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気になる詩歌・小説・随筆・言の葉に写真を添えて。
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あこがれし

『明日食べられるのだ、と牛は言った』

もし自分が、死んだあと誰かに食べられるさだめなら。 最後には誰かに食べられる命だとしたら。 どんな心持ちで生きていくのだろう。 まあ、たぶん。 たいていの牛や豚や鶏は、 そんなさだめなど知らずに生きているのだろうけれど。 でも自然界には、 喰うか喰われるかで生きているもの達もいるのだから、 そんなイキモノたちは、 自分もいつか喰われるのだろうと知っているのかもしれない。 いつ、どんなふうに、命を終えるのか。 無になるのか、どこにいくのか、生まれ変わるのか。 そんなふうに思い

門番は言った。

春のスイッチ(短歌写真)

「あめあがり」(こどもの詩)

ママ みて みずたまりの なかに おひさまがいるよ もってかえって いい? 2021/10/14 #読売新聞 #こどもの詩 相模原市  たけのうちこども園4歳  長谷川蒼生 

うたたねに

ノイズ

古いAMラジオで聞く歌は、どこか哀しい。 雑音のまじる、ざらついた音。 途切れる、メロディ。 不確かな、コトバ。 明日を唄った歌にも、恋の歓びを唄った歌にも、 ノイズのような哀しみが、 ちりちりとまばらに混ざってる。 青い空の下に持ち出して、 AMラジオで歌を聴く。 高く明るい空までもが哀しく見えて、 ふいに、密やかに決意する。 生きなくちゃ。 明日も生きていかなくちゃ。 決意は、哀しみの中から生まれるのだ。 ノイズのような哀しみの中から。

かみさまへのてがみ

かみさま  どうして よる おひさまを どけてしまうのですか? いちばん ひつような ときなのに。 アメリカの子ども達が書いた、神さまへの手紙。谷川俊太郎さんの訳によるこの本は、初版が1977年。好評につき続編が刊行されて、年月を経て90年代には新装版も。 こども達の手紙は、とても素直で率直で、普遍的。でもだからこそ、いつ読むかで感じ方が変わってくる。微笑ましいはずのことばが、時にちくっと刺さったり。 かみさま ひとつしりたいことが あります。 あなたはじぶんのしている

入れ替わる

午前五時 すべてのマンホールのふたが吹き飛んでとなりと入れ替わる            (笹井宏之 『てんとろり』 成層圏 より)