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タワマンの寿命が尽きるとき

こちらの連載を読んでいる。

タワーマンションを対象として、規制緩和を経ながら、どのように変化してきたのか、長編でまとめられている。

例えば、その2では、
タワーマンションの基準階平面における、住戸とコアの配置や規模との関係から、プランの変遷に触れている。

基準階が大規模化すれば住戸の奥行きには限度があるので、必然的に吹抜を内包する平面形となる。

吹抜に面した廊下は従来の板状住棟と同様に外部廊下とすることができる。

一方、この吹き抜け部分に機械式立体駐車装置を設置するならば、内部廊下となるものが多い。コアを中心に4面に住戸を配置すれば、北面住戸が発生するものの、限られた面積の中で最大限の住戸面積を確保できる。

主な変化に関する抜粋

1998年の法改正により住宅の居室は必ずしも日照を受ける必要がなくなった。

1997年の法改正により、共同住宅の共用廊下や階段は容積率制限の対象から外れることになった。

2001年の通達により、それまで高さ31m超の高層建築物の計画で求められていた防災計画指導、すなわち行政の外郭団体で組織された有識者による委員会で防災計画の審査を受けることを義務付けた通達が廃止された。

そのほか、新都市ハウジング協会の取り組みとして行なったタワマンの管理費に関するアンケート調査も面白い。

平均的な一カ月当たりの管理費は300~400円/㎡、修繕積立金も同程度以上で、年次的に漸増傾向にあるが、住戸数との関係については、戸数が増えれば金額が安く済むというわけにはいかないものであることがわかる。
たとえば70㎡クラスの住戸では毎月40,000~50,000円が住宅ローンのほかに必要になる。

このバルコニーがない部分の窓は、ゴンドラなどでの高所作業が必要となるので清掃費が嵩む。

この章の最後のまとめも刺激的だった。

多くのマンションでは、購入時の見かけの費用を抑えるために、5~10年毎に修繕積立金の単価を増額する段階増額積立方式を採用している。
15 年周期で大規模修繕を行うとなると、短い場合で5 年毎に修繕積立金の単価を上昇させねばならない。かといって、大規模修繕を見越して当初より高額な積立金を徴収することは難しい。

管理会社の更新契約時には、管理組合から管理費や修繕積立金の圧縮が提案されることも少なくない。何度も管理会社の変更を強いる管理組合もある。
もはや、正常とはいえない維持管理を余儀なくされるタワーマンションも存在するのである。

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