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おっさんだけど、仕事辞めてアジアでブラブラするよ\(^o^)/ Vol, 45 対価

タジキスタン ペンジケント 日目 
2023.0815 Tue

『ムジナ』という漫画をご存じでしょうか?
かのギャグ漫画家“相原コージ”氏渾身の忍者ラブストーリーです。

世は戦国時代。
忍びの里に生まれた主人公“ムジナ”。首領の“使い捨ての駒”にされる運命を嘆き、自身の自由のため、忍びの里から“抜け”ようと画策します。ひそかに思いを寄せる里の娘“スズメ”を見捨ててまで忍びの里を“抜け”ようとしたムジナですが、一転、スズメを助けるために忍びの里に戻ります。
そのときのムジナのセリフがこれです。
「自由なんかいらねえ…」

昨日、わたしは自由を手に入れました。
1万6800円で手に入る自由。そう、自転車を買ったのです。
サマルカンドの広場で自転車を乗り回し、心の中でわたしは叫びました。
「おれは自由だ! 自由を手に入れたんだ!」
もうこれで、バスを待つ必要もない。鉄道のチケットを買いに行く手間もいらない。タクシーの運転手と交渉する必要もない。狭い座席に閉じ込められることもない。
走りたいときに走り、止まりたいときに止まる。休憩も食事もトイレも、自分次第です。
もしも気に入った村があれば、予定を変更してその村に連泊しても良いし、逆に興味のない観光地はすっ飛ばしても良い。すべて自分次第、自由に行動できるのです。

自転車購入にあたり、いえそれ以外にもいろいろお世話になった、T.I.Cの面々。
日本を好きでいてくれる外国人って、やっぱりありがたいし嬉しいもんですよね。

そしていま、時刻は22時半に差し掛かろうとしています。
わたしはこう叫びたい。
「自由なんかいらねえ…」
めちゃくちゃにしんどいのです、自転車を漕ぐのが…。
荒れた路面のせいなのか、向かい風のせいなのか、ベアリングの精度なのか、車重の重さなのか、不必要に太いタイヤのせいなのか、それとも私自身の貧脚のせいなのか…。
まあ一番の理由はわたしの貧脚のせいなのですが、それにしても前に進まない。坂なんてマジで上らない。
朝10時に出発して、国境越えがあったにせよ、途中でビールを飲んだにせよ、ペンジケントに到着したのが20時近くですよ。しかも、走行距離60km強しか走ってないんですよ!

ビールを飲んだのは、100%わたしの責任ですな。
でも、一応ムスリムの国で、生ビールを道端で売ってるんですよ! そりゃ飲みますよね?

シェアタクシーの交渉もします。バスだって待ちます。電車のチケットも予約します。予定通りに行動します。
自由なんかいらねえから、わたしはラクな旅がしたいです!

とりあえず明日ですな、明日。明日、また考えますわ。

「ブドウ1房もらえませんか?」と聞くと、「持ってっていいよ」と言ってくれたお母さん方。
売り物のはずなのに、親切すぎて訳がわからなくなりました。


「とりあえず横になりなさい」と寝床を準備してくれたお母さん方。
おかげで気力・体力ともに回復しました。


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