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2021.03.20 はたらくことについて

時間が惜しい。

ここ最近、いや、ここ1、2年で急速にそう思うようになった。

時間を奪われていると言う類のストレスを感じているのか。

なんだろう、多分、メンタリストの人とか頭のいい人たちのコンテンツをYoutubeでよく見るようになってからかもしれない。

科学的根拠を持ってるので疑いようがないし、私はそう言った動画のおかげで禁煙が成功している。ありがとう。頭の良い人。

だけど、自己研磨とかスキルアップしなくてはという何か念のようなものが強くなっていってるように思う。

時間を無駄にしたくない、さもないとダメ人間になってしまう。人生変えたい。中途半端な事をすると自己嫌悪に陥る。

彼らは画面の中で早口で話をしている。

「こういう奴はダメ」「無能なのはこういう・・・」

「そういう人たちはそれ以前の問題で・・・」

ふと気づく。

あれ?私 ・・・対象外?
実は蚊帳の外に居たコトに気づく。

そう言う意識が高い動画を見ていたから自分もそうだと錯覚してしまう。


私は今人生初の会社員をしている。27歳。

通勤時間はドアドアで1時間ちょっと。

8時間労働。休憩1時間。週休2日。

平日は、通勤時間と帰ってからの2〜3時間がフリータイム

働きすぎだ。
自由時間、少なすぎる。

社会人にとっては当たり前なのかもしれない。

しかしながらみんなの当たり前が私に当てはまるかどうかは別の問題だ。
この前提は譲らない。

私は、そこまで頭はよくないと思う。それからお金持ちではない。てか割と貧乏。

実家は出ている。大学は奨学金(と言う名の借金)400万円と親も仕送りを出してくれて、2016年に卒業した。

院に行きたかったが、これ以上借金を作るのが恐ろしくって、やめた。
週5日働くのは、2018年くらいから。

大学を出ても就職はせず、実家で半分ニートのような生活をして、老犬の介護をしたり、祖母宅の一室をアトリエ兼倉庫にしてもらい、制作をしていた。

就活はしなかった。

とにかくスーツを着たり、就活をして思ってもない事を言ったり、意味不明な責任を負わされるようなことも、そう言った空気を纏った大人も、好きじゃなかった。

自由気ままに暮らして、作品を作って世の中に出すって事がしたかった。

しかし共働きで会社員として生きてきた父母にとっては私は異質である。

私が美大に入り下宿し始め、家族が居た今までの生活圏から離れ、別の世界を知ってから、話の接点を探す方が難しくなった。

卒業して実家に戻り、その間もおそらく何度か、気まずい空気にはなったと思う。実家にもいづらくなってたまらなくなって、実家を出た。

とある売れっ子アーティストの作品を作るバイトをし始めた。
週3〜4日のバイトで暮らしていたが、アトリエも借りていてはどうも暮らせない。

仕方なく、週5日メリメリ働き始めた。ついでにアトリエ兼住居のシェアハウスに引っ越した。生活は以前より安定した。

でもその頃から、その労働が人生の表に、私の日常のメインに繰り出してきた。

しっかりとサイクルに嵌まってしまうと、抗ったり疑うよりも、より従順になって優秀ぶっている方が、どうも楽なのだ。

私はめちゃくちゃ働いた。働くのは嫌いじゃない。その場所にいる人たちも似たような人たちで居心地はよかった。

自分の作品はほとんど作らなかった。

仕事でいくら一生懸命に働いても、それは私の作品ではなく、他人の作品。

いつの間にか、大きなものに自分のワクワクドキドキなクリエイティブなマグマが、自分のものではなくなり、大きなものに管理されるようになっていた。
悔しい。

その時点で、一人で何かを作り続ける自信がなくなっていた。

一人で作るのが辛いなら、いっそ別の事をと始めたのが舞踏だった。

知り合いに誘われ稽古に通い始めた。

集団で稽古をするので、孤独な制作に行き詰まっていた私にはありがたかった。

隔週1回、元気がなくても、とにかく稽古へ行けば良い。あとは体をその時間に放り投げる。

今思えば、考える事も放棄したかったのかもしれない。

舞踏の稽古ではかなり重要な体験をした。舞踏や制作についてはもっと深く話したいので、別で書こうと思う。

それから2年くらい、同じ生活を続けた。

制作の代わりに踊りに夢中になり、年に1、2回公演に出たりもした。

しかしまぁずっと貧乏なのは特に変わらず。

アルバイトでは年金も税金も払えない。奨学金の返済は満額ではなく減額返済ですらギリギリ。年々取り立てが厳しくなっていると言う噂で、税金よりこっちを延滞する事の方が恐ろしい。

とはいえ、そう言うじりじりとした貧困に負け続けた結果、

もう週5日働くのがデフォルトになって、紆余曲折して最近とうとう会社員になった。

給料はさほどよくないが、社会保障は心強い。ボーナスのおかげで年収は上がる。

しかしもうすでに息が苦しい。

というか年々きつくなってきている。フツー逆なんだが。笑

もうこれ以上の労働力の切り売りとは無理なのかもしれない。

何より時間が最も大切であるとかの有名なメンタリストも言ってたような気がする。

関係の終わりだ。
いずれ別れはくる。
別れは静かにやってくる。

2020年度末。

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