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着物を売るよ②

眠っていた箱を開けることにしました。その記録です。

「着物を売るなんて二束三文よ」とはよく耳にしていた話。もう20年ほど前、一度着物を処分したことがありました。その時は、リサイクルショップに引き取ってもらいましたが、本当に二束三文でした。

メルカリの方がいいよと聞いたりもしましたが、一気に処分したい気持ちだったので買取業者にお願いすることにしました。たしかに、メルカリだと自分の好きな値段をつけられるし、時間がかかったり手間も増えるけれど受け取る金額が多い方がいいならメルカリ、オークションなどがよいと思いました。

私が今回選んだ業者はテレビCMなども行っているA社です。うちにはテレビはありませんが、友達に聞くと「知ってる。コマーシャルやってるね」と口を揃えて言うので有名なんだなと。

選んだ理由は、ネットでの評価がまあよかったから。他の業者に比べて買取価格が高いと載っていたからです。そういうの、結構信じちゃいます。

まず、ネットで買取の申し込みをします。名前と住所と電話番号を登録した気がします。すると、その日のうちに折り返し連絡が来ました。訪問日の約束をするためです。

そして当日。担当の方に来ていただきましたが、約束の時間から遅れること30分。あ、もちろん事前にご連絡を頂きました。けれど、別のマンションへ間違って訪れてしまったらしく、部屋のドアを開けても「誰もいない」ということが!さらに10分ほど遅れて到着です。

いろんな説明を聞きました。もう何十回何百回も話したんだろうな、という感じ。事務的に説明して頂きました。驚いたのが「細かい配慮」が結構多かったことです。

買取の訪問って、過去のリサイクルショップしか経験がありません。その時は、動きやすい服装をしたお兄さんがガサガサやって来ました。あ、一人です。今回は、スーツを来た「セールス!」という感じの20代後半かなという男性社員さんがお越しに。

こんなご時世だから手指消毒も万全!お茶などは丁寧にお断りされていました。「え」と思ったのは「お家にある細かいものが入ってはいけませんので、カバンをお預かり頂けますか?」と言われたことです。査定に必要なものはテーブルに出し、カバンは私が座っていた後ろ側に置いてありました。過去に、なにかトラブルになってこういう配慮が必要になったのかな?なんて考えてしまいました。


さて、私が今回処分しようと思ったのは着物の他に「30年ほど前に買ったブランドのボストンバッグ」「20年、30年前に買ったブランドのスカーフ」「毛皮のコート」です。どれも好きだったけれど、ここ数年一度も使っていないものばかり。きっとこれからも使わないなと思ったからでした。

さて、ここから査定に入っていきます。ちょっとドキドキです。

訪問の場合の査定方法ですが、お越しくださった担当の方が査定するのは「最低ライン」だそうです。一点一点細かく写メを撮り、それを「本部の査定員」に送信。現場(うちのいえ)での作業を同時進行で、本部でも査定を行うのだとか。

買取業者にいくつもの「品物を卸す(?)販売するルート」があり、商品の流れを考えて買取価格を決めるようでした。

例えば着物の場合、有名な作家の着物は高く売れます。百貨店などにも販売ルートがあるようで、そういった「確実に高く売れる品」の場合は当然高値がつきます。けれど、そうでない場合は「舞台衣装」(舞台といってもどんな舞台なのかは不明)など「練習着」として使われるそう。こちらの場合は安値になります。

ひとつひとつの説明に「へー」「なるほど!」と感心しまくりの客(私です)になっていました。知らない世界のことを知るって面白いですよね。

他には、毛皮などは極寒地域(カナダやアラスカって言ってた気が)へ売られるみたい。ファッションというより実益ですね。毛皮って本当に本当に暖かいので、大いに役立ちそう!毛皮も喜ぶと思います。行ったことのない国で、見ず知らずの人が袖を通してくれると思うとワクワクしました。毛皮も安値だったのですが、まだまだこの毛皮が生き続けると考えると値段はどうでもいいから是非引き取ってくださいと思いました。(ちなみに、毛皮のお値段が発表される前、査定員さんの「本当に引くような値段ですがいいですか?」という前置きがありました)


こんな風に、一点一点を見ているうちに徐々に本部から「査定額」の報告が入っているようでした。「あ、これは思ったよりもかなり高く売れそうです!」なんて、査定員の方も嬉しそうに教えてくれたり。これも「マニュアル」なのかと思ったりしましたが、結構好感度が上がりました!単純です!

ネットでこの会社の評判を調べた時に「貴金属はないか?まだ眠っている者はないか?としつこく聞いてくるのが嫌だった」という口コミをたくさん見つけました。これ、実際にありました。でも、そんなに嫌だとは感じなかったんです。それは、電話をかけてもらった時に「前もって伺うことがあります」という一言があったから。そして、そんなにしつこくは聞かれなかったからでした。

「嫌だった」と感じたひとは、この一言以外に何か「嫌だな」と感じた点があったのかもです。人って、相手に不愉快なことを感じたり違和感をもったりすると、評価を落としたりしますからね。私も人に心を閉ざすタイプなので、こういうこと結構あります。ですが、今回は違いましたけど。


話を戻します。「こんなの売れないなと思うようなものでも、デザインがオシャレだったら売れるアクセサリーも多いんです。何かありませんか?」と聞かれました。「あるある!」実際にメルカリに出したけど無反応だった指輪たち。デザインは特に洒落ているわけではありませんが、どれもシンプルで使いやすい。ただ、わたしにはもう若すぎて身につけることはない指輪たちが。

この指輪は思いがけず引き取ってもらえることになり、値段は4つで6000円だったけど、査定員さんが聞いて下さらなかったら出さないものだった。ありがたいな、と思いました。

それで、気になる着物の引き取り価格です。はっきり言って「二束三文」そのものズバリでした!絶対メルカリの方がいい!!!って思いました。なので、時間と手間がかかってもいいと思う人は、着物はメルカリやオークション、他にはガレージセールのような方法で売るのが良いと思います。(作家ものの場合は別かも)

着物9点、Vのボストンバッグ、Cのトートバッグ(かなり古くてボロボロ)、Hのスカーフ4枚、ノーブランドの指輪とペンダントトップ5点の買取で合計38000円でした。38万円ではありませんよ(笑)帯がかなり高価なものだったのですが、ほぼ0に近いお値段でそれにはショックを隠しきれなかったけどね。


今回買取をしてもらいましたが、予想を大幅に下回った結果となりました(笑)でも、全体の感想としては「売ってよかった」です。さっぱりしました。

物って使わないと「ない」物と同じだと思うんです。毛皮が良い例で、うちにあっても、その存在は忘れられたままです。だけど、必要な場所で必要な人の手に渡ると絶対息を吹き返します。

人もそうですよね。自分の存在を忘れられるほど、孤独で悲しいことってないんじゃないかな。だからきっと、引き取ってもらえた物たちもそうだろうな。そこに「もっと高く買ってよ!」という気持ちを乗せたくないな、って感じました。いいひとぶってますが、私は本来ケチでお金に執着を持っています。だけど、今回はなんかそんな風に思えました。

以上、着物を処分した記録でした!


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