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やりたいことを叶える人と、叶えられない人の違いは何なのか?

3年ほど前、声優になるための塾のようなものに通っていた。

もともと養成所には通っていたものの、ちょっと保険をかけたくなったのである。

声優になるには、大抵が事務所が直で運営している養成所に入って1-2年ほどスキルを磨き、オーディションを突破して事務所の所属なり準所属なりになるのが一般的なルートだ。

一方で、1-2年かけても余裕で落ちる。養成所には何十人、何百人と生徒がいるなかで、オーディションに合格するのはせいぜい1人か2人。

落ちたら「お疲れ様でした!」とサヨナラされるか、「もうちょっとやってみる?」とさらに年数が加算されるだけだ。

そのほかのルートとして、専門学校というのがある。専門学校では、さまざまな事務所のオーディションを一気に受けられるチャンスがあるが、事務所ではなく養成所合格のパターンも多く、またさらに1-2年スキルを磨かなければならない。

そしてやはり、事務所のオーディションに落ちれば振り出しに戻る。そのなかで、塾は掛け持ちで通うのにおあつらえ向きの存在だった。

当時、わたしは養成所に通いながら専門に通い、塾に通うというトリプルスクールをしていたのだが、このオーディション期間は本当にキツかった。

なんせ受けたのは40-50社だ。毎日毎日事務所がオーディションをしに来てくれるのはありがたいが、みんなそれぞれ本業があるなかで必死に準備をし、事務所分析をして、それに併せて自己PRやボイスサンプルを用意する日々は大変ハードで、何度も心が折れかけた。

受かるときは受かるし、落ちるときは落ちる

その経験を経て感じたのは、「受かるときは受かるし、落ちるときは落ちる」ということだ。

毎日のように合否が届くのをドキドキしながら見ていたが、次第にそれにも慣れてしまった。それは、「そういうものだ」と悟ったからなのかもしれない。

スキルフルな人でも落ちるし、個性やキャラクターがフィットしなければ落ちる。ポテンシャルで受かることもあるし、「なんかわからんけどおもろい」で受かることもある。

なかには「なぜあの子は落ちてわたしは受かったんだろう…」と思うようなシーンも多々あった。逆も然り。

結果的に「全員どこにも引っ掛からなかった」はなくて、みんなそれぞれの結果を持ち帰っていった。自信をなくした日もあれば、自信がついた日もあったと思う。

何が言いたいんだと言えば、落ちるのを怖がって応募していない時点では、そもそもスタートラインに立てていないということだ。

だって何もしてないのだから。家で音読をしているだけとか、歌を歌っているだけじゃ、ただの一般人なんよ。

「◯◯がやりたいんだよね」と夢を語りながら何もしないのは、自分の市場価値を知るのが怖いからだ。現実を見るのが嫌だからだ。

何も始めていない段階なら、いくらでも妄想できる。スター声優になって人気アニメにバンバン出て、キャーキャー言われる未来とか。

でも、ひとたびオーディションに挑戦したり、養成所の戸を叩いたりしてみると、現実を知ることになる。自分よりうまい人なんてごまんといて、箸にも棒にも引っ掛からず、不合格通知を受け取る日々が始まる。

自己肯定感はクソ下がるし、オーディションにかけた準備も努力も無駄なように思える。当たり前だけど楽しくないと思う。

でも、それをやらなきゃ始まらないのである。

自分の強みを知ることも、改善していくことも、チャンスを掴み取ることも。

結局わたしも、運良く事務所に拾ってもらい、ちょっとだけ吹き替えに出演させてもらって、「たくさんオーディション受けて良かったな」と思ったし、実際にやってみたことで現実を知って、「うん、ライターのほうが向いてるわ」と気付けた。

夢はちょっとだけ花開いて終えてしまったけど、ちゃんと真っ向から向き合ってやり切ったことを、後悔したことはない。

「意外と応募すればいける」はガチ

そんなことを思い出したのは、わたしが現在取材ライティングを教えているマーブルスクールの卒業生から、ガンガン仕事を取ってきている話を聞いたからである。

しかも、すーごいニッチなジャンルだ。動物メディアや神社メディア。よくぞまぁ探してきたよ。スキルはまだ荒削りかもしれないけど、愛と知識量でがっちりカバーしているのもすごくいい。

「自分の好きなジャンルでメディアを調べて、応募したら、受かって、今日記名記事が出たんですよー」と語る彼女には勢いがある。

そうなのである。意外と応募すればいけるのだ。

もちろん、スキルが足りなければ落ちるし、雰囲気が合わなければ落ちるし、タイミングが悪ければ落ちるし、100%合格とは言えないが、そんなん怖がってたら一生書きたいことなんて書けない。

逆に、未経験でも好きな気持ちが強かったり、ポテンシャルを感じてもらえたり、やる気を買ってもらえたりと、受かることだっていっぱいある。

最近わたしはオーディション番組「プロデュース101」を観ていたが、経験者だろうが未経験者だろうがガンガン落ちるし、逆に田舎から出てきた歌もダンスもできなかった子が上位に上がったりしている。

彼女たちはもちろん、オーディション期間中に努力をした。でもそれ以前にやったこと。それは何より、エイッと応募したことなのである。

チャレンジで「失うもの」は何なのか

なのに、何を恐れてるんや。

「スキルが上がってから」「準備ができてから」を待っているよりも、スキルを磨きながら応募したほうがいいし、別に何回でも応募すればいい。

最近わたしはライターさんに仕事をお願いすることもあるので、みんなからもらったポートフォリオにも目を通しているのだが、

「この人の経歴が活きそうだからこの人にお願いしよう」
「イニシアチブを取ってほしいから、歳上の人にお願いしよう」
「この領域は、この人が詳しそう」
「担当者と相性が良さそう」

…と、毎回選定理由はバラバラである。相性もあるし、タイミングもあるし。

一概には何とも言えないけど、たとえ縁がなかったとしても、合致する仕事を見つけたときに振るかもしれないし、まだスキルは未熟だけど、もうちょい上がったら頼もうかな、なんて思っていたりする。

もし残念ながら落ちてしまったら、選考理由を聞いてみて次の対策を練るのだってありだ。私も聞かれたら全然答える。

たぶん、「え、そんな大したことない理由なの?」と思うかもしれないけど。そんなもんである。

だから、やりたい仕事を見つけたら、手を挙げない理由がないと思う。

何度も落ちて、「ダメかもしれない」と傷ついて、自己肯定感が下がって、ライター向いてないんじゃないかと思う夜もあるかもしれない。

でもそれこそ、駆け出しなんて失うものがひとつもないので、どんどん当たって砕けてしまえばいい。

わたしもこれまでいろんな仕事をやってきて、「何だこの仕事…」とびっくりするようなこともあったし、連絡が途絶えて「いろんな人がいるんやな」と悟りを開いたこともあるし、低単価すぎて逆に「自分はこのぐらいの値段じゃなきゃヤダな」と相場を理解したこともある。

いろいろあるけれど、どれもいろんなことにチャレンジしたからこそ知ったこと。

「応募すれば必ず受かる」「絶対にいい仕事に出会える」確実な道なんてないけれど、まずは勇気を出して、戸を叩くことから始めるといいんじゃないかな。

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この記事は、わたしが運営するMarbleコミュニティより、 #マーブルアドベントカレンダー の参加コンテンツです。ハッシュタグを辿って、ぜひみんなの記事も読んでみてね!

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