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♯8 正確な数字と向き合う勇気を

満を持して?2021年3月にワインバーオープンしました。

自分にとっても久しぶりのお客と距離の近い小さなお店は不安よりもワクワク感が強かったですね。

社長からは目標売上400万と言われてます。

キッチン1人とアルバイト1人で400万とかかなり欲張りな売上だと思うけど…

まあまあ目標だから。
現状は100万ほどしか売ってないそうです。

売上4倍とかかなり欲張りですね。
まあまあ目標は高い方がいいからね。

25日営業したとして1日4万ほど売っている計算で、客単価が4000円だとして10人ほど来店してるわけで。

立地はそんなに悪くないので、真面目にコツコツやっていれば250万位はと考えていました。

再オープン初日はなんと誰も来ませんでした。

ウーバーもゼロです。

それから1週間営業して散々たる結果でした。
まったくお客が来ないんです。
うーんなんかおかしいなと。

経理に再オープン前の売上を調べて送ってもらいました。

そしたら売上が40万〜60万で推移してました。

100万ほどとは?

かなり盛られました。
相当暇だったようです。アドバンテージみたいなものはないどころか、完全にマイナススタートでした。フルマラソンを8キロ手前位からスタートしているイメージです。

サービスの質も料理の質も低かったので悪い評価しかなかったのでしょう。

これはかなり厳しい戦いになると覚悟しました。

売上がまともになるのに半年と以上はかかりそうです。それまでに社長が我慢してくれるかな?
いろいろと問題はありそうですが、とにかく一所懸命頑張るしかないのでやれることは全部やろうと。

そんな中でもよく来てれるお客さんとかできると嬉しいし励みになります。
壊れているのかと思っていたウーバーが鳴った時の興奮は今でも覚えています。

待てど暮らせどお客がほぼZEROのなかで、喜んで帰っていくわずかなお客さんが小さな光に見えていました。

しかしながら悪夢は続くわけで、政府から蔓延防止なんたらが発令されます。

みな口を揃えて「マンボーがマンボーが」と申しており、社会から断絶していた当時の私にはお魚にしか聞こえず調べて見たら営業に制限がかかるとのこと。

自分としては何も失うものもないし、政策にも疑問がありましたので営業すればいいと思っていましたが、社長の決断としては閉店という予想外の案が出ました。

まあ社長にはいろいろと懐事情もありますから、本当の閉店理由はわかりませんが、オープンの準備期間の方が長く、営業わずか3週間足らずで閉店しました。
準備期間の方が長いというとてもレアな経験は今となってはよかった(ネタになるので)と言えますが、当時は不満でした。

売上の金額に嘘があったし見切るのも変なタイミングだったので。

この時はっきりと勉強になったことは、ビジネスは数字をベースにかつ正確に出して進めていかないとダメだということです。

ものすごく当たり前のことですが個人飲食店はこのあたりがガバガバな人が多いような気がします。

そもそも元の売上は嘘だし、400万円という売上目標もどっからでできたのか謎です。

1日の集客数や客単価、原価率や固定費をもとに売上を算出しなくてはどこかにしわよせが来ます。
料理人のほとんどは労務費という概念がありません。
なぜなら仕事は終わらないなら寝ないでやればいい見たいな環境で育っているからです。

例えばにんにくを納品するして皮付きと皮を剥いたものがあって、皮付きの方が800円安いとします。
でもこのにんにくの皮を剥くのに時給1000円のスタッフを雇い1時間かけて剥かせた場合皮付きの方が高くつきます。
まあ我々クラスの料理人の下積み時代は時給換算だと300円〜500円とかなのでそんなことにはならないのですが。

あいまいな言葉で、「頑張ったら400万円いけるっしょ!」とかビジネス観点からしてみれば悪手でしかない。

ちなみに最近見た現場での話ですが、仕入れに対して販売価格50%の商品がありました。
ただ仕込みがいらないのでとのこと。
つまり労務費がほぼゼロだからいいよねという考えです。客単価が3000円弱で1日に200万とか売上が立つこともある店舗で週末4日で750万売った日がありました。
その週末に原価50%の商品が4割ほど売れ残ってしまいました。
もう賞味期限が過ぎて販売できないのでとのことです。
結局その商品を数人で解体して使ってました。
必要のない労務費が発生しています。
やればやるだけお金を溶かすことをやっていますよね。

ただタチの悪いことに適当にやって上手くいっている人が多いのも飲食業界です。星の数ほどのお店が消えているので成功率は低くても成功数は多いので、いちいち数字とか野暮だとか、そもそも計算とかできないゴリラとかもいますので。

とにかくきちんと数字と向き合うべきした。
この辺りをきちんと詰めていれば、マンボーだから閉店しますと言われても、いやいやもう少しやりましょうと提案できたかもしれません。
ノープランが故に目の前の数字に踊らされしまいます。

今考えると、自分の行為に恐怖すら覚えます。
何も考えず、考えることをあきらめて、忖度や迎合することで働いていたつけはしっかりと跳ね返ってきました。
めちゃくちゃ馬鹿になります。

この辺りから数字に対して深く考えるようになっていきます。

ただよかった点として、がむしゃらに働いたことで短い期間ではあったにもかかわらず社長に信用されていたのか、場所を変えて新たに店をやろうと言われた事です。

これはむしろラッキーなのでは?

関東No.1あさはかな私は、少しの不安と大きな希望を持って店探しのフェーズに移行します。

2021年ゴールデンウイーク直前の私は再び無職状態となります。

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