♯2 キッチンデビュー?
みなさんおはようございます。
1999年 1月
ついにキッチンに入ることになりました。
まあ特にここまでは大きな問題もなく、1人めでたく卒業されましたので、私がキッチンに入ることになりました。
最初はデザートを作るセクションでしたね。
なんでも「まず初めはデザートからやるほうがいい」とのことでした。
なるほど!
まずサービスマン経験をつみ、次にパテシィエとしてさらに経験をつめるのかと。
もはやフランス料理のゴールデンコースを歩ませていただいてるみたいですね。
これも前回と同じで、もちろん会社都合ではあります。
だまされているのかと聞かれればそんなこともないとは思いますし、貴重な経験だとは思いますが。
後付けであることは間違いないんですけどね。
ちなみにフランス料理のキッチンのセクションを簡単に説明いたします。
大きく分けるとデザートとそれ以外に分かれます。
ご存知の通りデザートを作るひとをパテシィエなんて呼びますが、専門職でもあるように大きなレストランなんかだと、デザートしか作らない人も当たり前のようにいます。
それ以外のセクションなんですけど。
こんな感じだと思ってください。
これをベースにお店の規模や形式が変われば細分化と合成化がおこなわれていきます。
前菜を冷前菜と温前菜に分けたりとか、お魚とお肉が一緒になったりとかですね。
三つ星レストランなんかだと40人とかいるので、セクションも多いし、シェフやスーシェフになるとメニュー開発と料理チェックが仕事の中心になってくるそうです。
小さなお店で、キッチンが2人しかいなければセクションは二つになるので、前菜と付け合わせとデザート&お魚とお肉とソース、みたいな感じになりますよね?
そのほかにもパンを作る人とか洗い物とかもありますが、とりあえずこのつに分けていただければわかりやすいと思います。
私の働いてたビストロでは
前菜が2名
お魚とお肉とソースと付け合わせを 2名
デザート 1名
ホール2名
となっておりました。
前回の記事で書きましたが、ホールは3人でやっていましたよね。
でもホールのスタッフは2名しかいないんですよね。
つまり営業中はホールに1人援軍に、いかないといけないんですよ。
だれかわかりますよね?
私は全然わかってなかったんです。
つまりキッチンでの仕事は仕込みだけなんです。
実はこのお店デザートのスタイルがワゴンデザートなんです。
これを「シャリオデセール」なんて言ったりします。
まあワゴンと呼びましょう。
このスタイルはお客様の前にワゴンにのせた、ホールケーキなどをお見せして、「どちらになさいますか?」
というスタイルです。
みなさんも何度かご経験あると思います。
デザートじゃなくても、料理の食材を見せていただいてから選んだこととかありませんか?
なので、デザートをワゴンに乗せて、お客様にデザートの説明をして、オーダーを聞いてカットして提供するまでがこの店でのパテシィエの仕事ということになります。
なのでお客様が来店されてからメイン食べ終わるまでひまですよね?
なのでそれまではごく普通にホールの業務をやります。
これは手伝うとかじゃなくて、むしろ最前線なんです。
ホールの2名は大先輩なので、1組目のお客様のオーダーは100%私の仕事になりますから。
で、この店の暗黙のルールみたいなもんなんですけどメリハリを大変大事にされてたので、例えば休憩はきちんと取らないと怒られます。
それと、営業中に仕込みなんかは基本的に禁止されてます。
なのでディナータイムにあまり予約もなく、あきらかに暇なのがわかっていても、仕込みはできません。
だからもうほとんどホール業務メインで、デザートを手伝っているぐらいの感じなんです。
私が入社して人ホールがプラス1だったので、前任の方はホール業務をしていなかっただけで、もともとはそういう働きかたをしていたことに私はまったく気がついていなかったんです。
かなりのバカですね。
年明けからデザートだけを作ってればいいと本気で考えてましたから。
デザートなんて何ひとつ作れないくせに。
これは若さゆえのあやまちなので、ゆるしてあげましょう。
このとき忘れもしない事件がおきます。
マロンムース事件です。
たまたまなんですけど、学生時代の後輩が私の働いているとこに食べに来てくれる日がありまして、予約をいれてくれました。その後輩はパテシィエなんです。
その日のランチタイムが終わり優しい上司の方にマロンムースの作り方を教えていただいておりました。
手順としては、
栗のペーストと生クリームとゼラチンを合わせるだけなんです。
ゼラチンを温めて栗のペーストと合わせて、生クリームは8分だてにして合わせる、型に流す、以上です。
ちょっとしたコツとか入りますけど、簡単です。
プロなら簡単の部類です。
で、一緒に教えていだたきながら作っていたのですが、生クリームを合わせるとこで、上司の方にお客様が訪問してきて、
「大丈夫だな?」
と言われて、
「はい、大丈夫です」
と言いました。
おそらく生クリームを泡だてておけとのことだと思います、それまでには戻るつもりだったのでしょう。
しかし私はここでやらかします。
実はマロンムースを作るのは2回目だっんです。
1回教えてもらっていて、2回目だったので作るとこをみてもらいながら教えてもらってたんです。
なので「後は混ぜておけよ」とのことだと勘違いしてしまい、生クリームを泡だてないで混ぜてしまいました。
作ったことがあるかたならわかると思いますが、
これ完全に失敗です。
とりかえしはつきません。
混ぜても混ぜても前回と同じようになりません。
そこに上司が戻ってきました。
「これ、ちゃんと生クリーム泡だてたのか?」
その時に一瞬ですが、時間が止まったのは忘れられません。
もちろんMAX怒られました。
そのあとどうなったかは覚えてません。
激おこされた直後に、パテシィエの後輩が来るという、もうその子にも苦笑いというか、どうすれば良いのかわからなかったことだけは覚えてます。
こうして徐々に、天才料理人だと思ってた私のメッキが剥がれていきます。
次回は新メンバーを紹介します。
読んでいただいてありがとうございました。
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