#10 ミレニアム

みなさんおはようございます。

2000年の1月

99年の年末年始はすごい盛り上がっていたような気がします。

私は料理人になって一年が立とうとしていたころです。

家と会社の往復で1日が終わり、週に1度の休みなんて寝て終わりです。

なんだか友人とも疎遠になり、世の中の流行なんてよくわからなくなってくるんですよ。

パソコンが暴走するとか、核戦争が起きるとかいろいろ言っていたような。


そんな感じの年末年始を過ぎて私も前菜のセクションにつくことが決まりました。 


前菜 (ガルドマンジェ)
 
簡単に説明すると、お惣菜屋さんです。
 
営業前に料理を完成させておき
営業中は盛り付けていく
こんな感じです。

ビストロでは基本的に前菜の後メインの2皿構成なので、料理が出た後はいろいろなところのサポートもします。

小さなお店なので、デザートや洗い物はもちろん
レジなんかも手伝っていました。

しかしキッチンに入って1番最初の難関はやはり
「まかない」です。

スタッフの食事当番です。

誤解されてるかたもいるみたいなんで説明します。

レストランはお客様に出す料理を食事として食べることはほとんどありません。

味見や試食はしますが、お腹を満たすために食べることはありません。

お魚やお肉や野菜などの端材を捨てないで
とっておき、まかないにまわします。

食べる側も作る側も好きなものを
食べたり作ったりしてないんです。

だからと言っていつも同じようなものばかり作っていると愚痴られます。

毎日食べるからあたり前ですよね。

正直この「まかない」でメッキが完全に剥がれたといっても過言ではありません。

まず自分の引き出しがまったくないことに思いしらされます。

なので料理の本とか買いますよね。
私も栗原はるみさんの本とか買いました。

しかし、食材が限られているのでなかなか参考にならないんです。

応用力もないから当然です。

ここはまさにセンスが問われるときなんでしょうね。


寝ても覚めても「まかない」ことばかり。

仕事はもちろん他にたくさんありますし、雑用もたんまりです。

グランメゾン東京で芹田君がまかないを作るシーンがあって、あんまり美味しくなくてみんな残してしまうんですけど、私は思いました。

ぬるいな、ぬるすぎると。

スペインにパンをスープの具材として食べる料理があって、これだ!とやってみたら、全員残して
その後営業中にマジで説教とかされてました。

「なめてんのか?」

こっちは真剣にやってますよ。


学生なら、結果のみで怒られることってあんまないですよね?
一緒懸命なくやったことに対し、
それを怒ることもなければ、
馬鹿になんてしたら、逆に怒られるますから。

社会は違います。

結果のみです。

結果が悪ければ、過程も批判されますし、
なんなら精神も批判の対象です。

パンスープも適当に作ったことを怒られましたから。

きちんと調べて、レシピも写してきたんですけどね?

そこで気づいちゃいました。

自分は料理人むいていないんだ…


「まかない」以外の仕事もうまくいかず、
魚をおろさせれば遅くて下手
マヨネーズは分離する

もう楽しいは0で、
キツい、怖い、眠いしか感情がありませんでした。

 

この店で料理作ってて褒められた記憶ないですから。


今思うとなんで辞めなかったのかよくわかりません。


ありがとうございました。






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