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ハンターハンター長期休載にブーイングしている人に言いたいこと(連載再開は人類の願い)

 冨樫義博先生が「週刊少年ジャンプ」で1998年~連載している『HUNTER×HUNTER』は、私がこれまでの人生で最もすきになったマンガなのですが、何度も休載をくり返していることで有名な作品でもあります。2020年8月に入り、これまでの休載期間の最長記録(2014~2016年の80回)を更新してしまったらしいのです。今後の連載再開の見込みなども今のところ発表されていません。
【追記】2022年11月現在、祝連載再開!!

"冨樫仕事しろ"

 このワードが有名になってしまうほど、冨樫先生は休載率が高い作家。下のチャートのグレーの部分が休載回を示しています。
※画像引用元:【悲報】漫画『ハンター×ハンター』連続休載記録をついに更新wwww : ユルクヤル、外国人から見た世界

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長期休載編

 休載理由は「持病の腰痛が悪化」「精神的な病気」「ゲームをしたいから」など(半ば好き勝手に)いろいろと言われているみたいですが、集英社に電話で問い合わせた方の情報によると、何らか体調を崩しているというのが公式の発表のようです。

長期休載に対する反応

 「はやく続きが読みたい」というのは、読者として当然の感覚だと思います。もちろん多くのファンの反応は「はやく連載再開しないかな~」程度のものですし、長期休載自体をネタにして楽しんでいる人もいて(しかもみんなマジでネタが面白い)、最高です。
 ただ、広いインターネットの世界を漂っていると冨樫先生に対して怒っている人を時々見かけます。リンクを貼るのは避けますが、具体的にはこのような意見です。

- 連載しない冨樫がむかつく、嫌い
- 読者をなめるな、これ以上待たせるな
- あの話で終わりにするべきだった
- はやく完結させろ

 これほどの人気作品になってしまうとアンチや否定的な意見が出てくるのは仕方ないとは思います。しかし、冨樫作品を好んで手にとっているのにもかかわらずこのような心無い言葉を吐くとは、冨樫先生の作品を本当の意味で読めてないんでしょうか……こんなことを言うと「信者」なんて言葉で片付けられてしまいそうですが。
 今回はそんな人に向けて言いたいことをいくつか吐き出して、すっきりしちゃおうと思います。(脳内再生はCV:甲斐田ゆきさんor沢城みゆきさんで)

その1「他人は君のために生きていないのだよ。」

 作家はたしかに読者がいないと生計を立てられませんが、読者の願望を満たすために作品を描いているわけではありません。我々が手にとって楽しんでいるものは「作家がこれまで生きてきたことの結果」だと思っています。冨樫先生は、冨樫義博として生きた数十年間によって身につけた知識、哲学、スキルを作品に昇華しているにすぎません。
 幸運にも作品に巡り合った我々にできることは、その作品によってもたらされる感情と思考を存分に楽しむことだけです。読者から作者に何かを求めること、ましてや「あの時点で終わらせるべき」「はやく完結させるべき」などという要求は本当にナンセンスではないでしょうか。

その2「君ひとりで勝手に嫌ってくれないか?」

 これは主語のすり替えをするなということです。「読者をなめててむかつく」とか「読者をバカにしてるから嫌い」といったように「読者」という大きな主語を勝手に背負ったような物言いは本当にずるいものです。いくら休載が続いても私が冨樫作品をすきであることに変わりはありません。

その3「想像してごらん、わかるだろう?」

 『HUNTER×HUNTER』は過去にネーム(下書き)状態でジャンプに掲載されていた時期もあります。本来は未完成のものを載せるなんてあり得ないことだと思いますが、とにかく続きをはやく!という声になんとか応えた結果なのでしょう。
※画像引用元:過去にはクレームも…ハンターハンターの都市伝説・裏話【5選】

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 私はすべて単行本で読んだので実際にネーム状態の連載を読んだことはありませんが、毎日が〆切に追われて超しんどい状況なんて簡単に想像できますし、これほどたくさんのルールや伏線を含んだ複雑な物語を週刊で連載というのがあまりにキツすぎる……。絵へのこだわりも強い冨樫先生にとって、ネーム段階での公開に対するストレスも相当大きかっただろうと推察されます。冨樫作品を扱いたいのなら、週刊連載のやり方そのものを見直すべきと思わずにはいられません。「他の作者は週刊で頑張ってる」という反論が考えられますが、作風も違えば個々人のキャパシティも違うので、他者との比較は無意味なことです。

その4「もう一度はじめから読んでみるといい。」

 おもしろい作品は、何度でもそのおもしろさを味わえるのがすばらしいところです。二周目でも三周目でも、きっと新しい発見を与えてくれます。物語の続きを知ることが作品への向き合い方のすべてではないのだよ、レオリオ。

創作は人生のおすそ分け

 ご近所さんや親戚からのおすそ分けってあるじゃないですか。創作物ってあれと同じようなものかなと思っています。「野菜がたくさん採れたから分けてあげるよ~」みたいな感じで、偶然&突然手元にやってくるものです。
 私も音楽を作って世に出すことがあるのですが、私の場合、基本的に誰かに頼まれた楽曲を作る仕事ではないので、多少なりとも対価をいただけているのはリスナーと楽曲との偶然の出会いによるものであり、奇跡みたいなものです。すきなものを作ってみたら、それをすきと言ってくれる人が何人かいた。すべての創作活動が続いていくのはそんな感じじゃないかなと思います。だからおすそ分けの内容に対して何かオーダーするというのはそもそも的外れな気がします。

もらえたらラッキー!

 文句をつける人たちが何を言っても冨樫先生が連載を再開するわけではないのと同じように、私が何を言っても彼らが文句をつけなくなることはないでしょう。それでも、そういった心無い発言を見て嫌な思いをしているファンの方を見かけると「私も同じ気持ちだよ~」と勝手に寄り添いたくなってしまいます。
 冨樫先生がなるべく心身健康にご自身の人生を楽しめることが一番で、そのうえで何かを描きたくなったら描いてほしい。冨樫義博の人生のおすそ分けを今後も運よくもらえたらいいなと思います。ビジネスの世界ではそんなぬるいこと言ってられない場面もありますが、私はすべての創作をする人に対してそう思いますし、私自身もできるだけこのスタンスで創作に臨みたいです。

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