母のおみそ汁

原田マハの『スイート・ホーム』あしたのレシピには、
こんなシーンがある。

「私の朝に、目覚まし時計は必要ない。
どんな夢をみていても、目覚める直前に、
やさしい、あたたかいおみそ汁の香りが漂ってきて、
私の鼻が敏感に反応するからだ。
ちょっとつらい、悲しいような夢をみていたとしても、
なんだか幸せな気分に変わって、
ふっと目を覚ますことができる。
いつも、ふんわりとなつかしい気持ちで朝を迎えるのは、
母が作るおみそ汁の香りのおかげだ。」

私の思い出のおみそ汁は、
母のレパートリーのなかでもベスト1に輝く、
「たまねぎとじゃがいもとわかめのみそ汁」だ。

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たまねぎのあまさ、じゃがいもの濃厚さ、わかめのふんわりとした磯の香り、
この三種の味わいとみその風味が相まって、絶妙なバランスを迎えるみそ汁。

母は料理が(特に玉子焼きが)あまり上手な方ではなかったけど、
毎朝のようにおみそ汁を作ってくれて、私は目を覚ましていた。

特に、この「たまねぎとじゃがいもとわかめのみそ汁」は、
山育ちの母が、海のそばで作った最高のみそ汁だったと思う。

母は慣れない環境で、子育てしながら、頑張っていたんじゃないだろうか。

母がつくるみそ汁を、あたりまえのように、のんでいた頃は、
そのありがたさに気づかなかった。

今、こうして、過去を振り返って、
自分のために朝の仕度をするようになってから、
やっと気づくありがたさ。

朝は、この数日、ヨーグルトとミルクティーだけだった。
久しぶりにおみそ汁を作ってみようかな。

最後まで、お読みいただき、ありがとうございます。 これからもよろしくお願いいたします。