15_抗

体調の波が良い方向に傾けば、自然と薬の量は減っていく。
その度に「断薬してみよう」とか考えてしまう。

安定剤と言うのは異常で不審な者をまるで普通かのように見せてくれる薬なので、
長期的に服用しているとどうしても副作用が気になってしまう。
私が飲んでいる主な副作用は眠気とふらつきだ。
ナルコレプシーほどではないが、抗えないほどの眠気に襲われ、仕事どころか思うような会話が、作業ができない。
立ち仕事をしていた時は自然を装い、手や足を物にぶつけて目を覚ましていた。
しかし、座り仕事、特に会議となるとそうもいかない。
そこで思いついたのが、目の前に転がっているボールペンだ。
眠そうになった時、あくびが出そうなときに自分の太ももにペンを刺すのだ。
最初の頃は加減が分からずに血が出る事もあったが、今はもう肌に痣ができる程度に調整できるようになった。
これは気合のスキルとして特技の欄に書けるだろうか。

断薬を決意した日は夜まで何とかなる日が多い。
問題は夕方、日が沈むを見ると不安な気持ちが襲ってくる。
日光を浴びる事は精神的に良いとされているのに、夕日だけは別だと本気で思う。
そして夜になると、「薬を飲まなくては」という思考がちらついてくる。
これは症状としてくるのか、依存症からくるのか、もう分からない。
早めに飯を食べ、シャワーを浴び、歯を磨いて、すぐに床にはいる。

これでもう寝れる準備はできているというのに、ここからが長い。
本来であれば8時間以上眠れる時間はあるというのに、少なくとも2時間は寝たい自分と混乱する自分と格闘する。

電気を消せ!いや怖いぞ、消すな!
今日はこれで終わりか!?明日の負担は減らせるぞ!?
明日の準備は完了か!?確認したほうがよくないか!?

考えれば考えるほど、頭が熱くなってくる。
それでもう白旗を上げてしまう。

押し問答がやがてぼやけて、眠る。

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