17_声

PTSDと正確に診断されたわけではないけれど、僕にはどうしようもなくなってしまう弱点が存在する。
それが声。主に罵声や怒声に使われる強い声。
聞こえただけでもう身体が震える、心拍が上がる、頭が痛くなるなどなど。
しかも内容はどんな事でもだ。冗談を冗談と捉えられない性格が災いして、何でも反応してしまう。
街を歩けば必ず誰かの罵声や怒声が聞こえてしまう。
工事で先輩らしき人が後輩に「どんくさいんじゃ!」とか、
電話に向かって「ふざけんじゃねぇぞ!」とか、
コンビニで、スーパーで、飯屋で、駅で、どこでも。
ただ、街ではありがたい事に他の音もざわざわ聞こえるので、何とかなるだろうと自分の中で余裕ができる。

ただ、家ではどうしようもない。
夜中の静寂は恐怖の音。
いつ何が聞こえてくるか分からないと常に頭で考えてしまう。
音楽をガンガンにかけても、スッと聞き分けられてしまうし、ガンガンかけている自分がまるで逃げているようで情けないと思ってしまう。
まだ自覚はないが、おそらく同世代よりも耳は聞こえづらくなっているだろう。
なにせ寝ている時もイヤホン、ヘッドフォンをしてヒーリング音楽やASMRを聴いているのだから。
でもそうしないと寝られないのだ。
薬を飲んで、脳をとろけさせて、聞き分けられなくして、目の前の音楽に集中する。
そうして今日も寝れる。
睡眠の質はよくないだろうけども。
それでも仕方ないでしょう。

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