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米特殊部隊制式ピストル・グロック19はなぜ採用されたのか?

特殊部隊らしくない「コンパクト・ピストル」

現在、アメリカの特殊部隊が制式採用しているサイドアームはグロック19(G19)である。陸軍のグリーンベレーが採用したのをきっかけに、陸軍レンジャー、海軍シールズ、海兵隊MARSOCにおいて広く使用されているのがG19なのだ。だが意外にもアメリカ特殊部隊制式ピストルであるG19についての正確かつ詳細な情報は少ない。これはおそらく、グロック19といえば「銃の初心者や女性でも扱いやすい、セルフディフェンス向けのコンパクト・ピストル」というイメージが強く、マッチョな特殊部隊とは結びつかないため、グロック19に関心が向かないことが理由だろう。特殊部隊採用のピストルといえば、SOCOMピストルに代表される、ゴツくて派手なピストルをイメージする人が多いようだ。
インターネット上には特殊部隊がグロック19を採用していることを揶揄する情報も多い。曰く「軍が予算をケチったから安いグロック19を買った」「実は特殊部隊の隊員達はグロック19が嫌いなので、私物のピストルを使っている」「プロの特殊部隊員はM1911A1やSIGやG19ではないグロックを好むものだ」といった根拠の無いものだ。特殊部隊がコンパクト・ピストルの地味なグロック19を制式採用していることが気に入らない人が書き込んでいるのかも知れない。
もちろん、これらはすべてデタラメで事実ではない。

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