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【レコ記⑩】で、モッズって何?

 The Fie-Feeというバンドをやっていると、タイトルの疑問をたびたび投げかけられます。今日は「モッズとは何か」というテーマについて、できるだけ簡潔にまとめたいと思います。

1.「モッズ」コートはみんな知ってる

 今、一番モッズという単語を目にするのは「モッズコート」だと思います。↓こんなやつですね。正式には「M-51」という名前の、米軍が採用していた軍用パーカです。日本では「踊る大捜査線」の主人公・青島俊作が着用していた事でも有名になりました。

私もこの本家「M-51」を1着持っていますが、アメリカサイズなのでXXSでも大きすぎました。XXXSを買うべきでしたが、それでも大きすぎたかもしれません。この軍用パーカがモッズコートとして呼ばれる理由になったのが、今回紹介する「モッズ」という人々・文化です。

2.モッズの特徴と名前の由来

 モッズと呼ばれる人々は、1950年代後半~1960年代にロンドン周辺で発生しました。彼らの主要な特徴を上げると以下の通りです。

 ①R&Bやソウル、スカ等をベースにした当時最新の音楽を好んで聴く

 ②オーダーメイドの3つボタンスーツをビシッと着こなす

 ③Vespaを代表とするスクーターでの移動が主

 ④夜な夜なクラブに集まり、ダンスとファッションを楽しむ

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「自慢のスーツがバイク移動で汚れては大変だ」ということで、前述のモッズコート(モッズパーカ)が移動時の上着として彼らの中で流行したようです。なお、モッズという名前は「Modern」(モダン/今風な)という単語に由来しています。今どきのイケてるやつらみたいなノリでしょうか。後にこのモッズムーブメントに乗っかって、The BeatlesやThe Whoといった偉大なバンドが世界に飛び出していくこととなります。(その2バンドがモッズだったかは議論の的ですが、乗っかったことに間違いはありません。)

3.ロッカーズとの対立

 モッズと対極的な存在に「ロッカーズ」があります。モッズがスーツなら、ロッカーズは革ジャンにリーゼント。モッズがスクーターならロッカーズはネイキッドバイク。同時期に流行した2つのムーブメントですが、彼らはとにかく仲が悪かった。実際にブライドン(イギリスの有名な観光地)で起きたその2勢力の抗争をテーマにしたのがThe Whoの「Quadrophenia」(邦題:四重人格)というアルバムで、後に映画化(邦題:さらば青春の光)もされています。↓

この映画、原作者のピート・タウンゼント(The Who)が「モッズの生活を後世に伝える教科書として作った」というだけあって、当時の様子が非常に細かく描写されています。このnoteより100倍分かりやすいです。

4.パンクとの親和性

 70年代に入ると、モッズの流行は衰退して行き「パンク」の時代が来ました。ただし、このパンクとモッズの相性はバツグンでした。もともと世の中のはみ出し者で構成されていたモッズなので、社会への不満をぶちまける音楽であるパンクにスムーズに移行できたのでしょう。パンクのファッションは、ラモーンズに代表される革ジャンにジーンズのスタイルが主流でしたが、一部、モッズスタイルのままパンクの音楽を演奏するバンドが登場してきました。その代表格が「The Jam」というバンドです。

やっていることは直球のパンクですが、見た目はモッズスタイルを貫いています。このThe Jamを筆頭とするしぶといモッズ勢によって、70年代後半に起きた再ブームは「モッズ・リバイバル」と呼ばれています。余談ですが、The Fie-FeeのOpening SEには、このThe Jamのラストシングルである「Beat Surrender」を使用しています。超名曲です。

5.日本でのモッズ

 日本にも、モッズは根強く残っています。モッズスタイルを貫いているバンドとしては、「THE COLLECTORS」が有名でしょうか。名前がそのままの「The Mods」は、デビュー時はモッズらしいスーツスタイルで写っている写真も見られますが、中期~現在はロッカーズスタイルに移行していますね。逆に、「ザ50回転ズ」はラモーンズの影響を公言していますが、衣装はモッズよりなジャケットスタイルを貫いています。甲本ヒロト、真島昌利の二人もTHE BLUE HEARTSを結成する前は、それぞれモッズとして活動していた時期があることが知られています。

このように、モッズスタイルそのままでなくても、何らかの影響を受けているアーティストは多い(特にパンク分野で多い)印象です。ロッカーズ程の分かりやすさがないので目立ちませんが、ずっと一定数のファンが居り、定期的にブームが再燃しているのが現在のモッズと言えそうです。

結局長くなりましたが、以上、モッズについての紹介でした。

6.本日の制作状況

 昨日のドラム&ベースレコーディングで良い刺激をもらったので、ギターとボーカルの練習を必死にやっています!

逆に言えばそれしかしてないので、日誌として書けるネタがありません。今回モッズについて説明することにしたのはそういうことです!

読んでいただき、ありがとうございます。

追伸:さも既にある言葉のように「モッズビート」なんて単語を曲名に使っていますが、あれは造語です。実際には「マージ―ビート」や「ブリティッシュビート」と呼ばれるものをイメージしてそう名付けました。


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