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デザイナーのキャリアをデザインする第一歩

こんにちは、まいるどしゅーがーです。今回はデザイナーのキャリアについての投稿です。

一つ目、二つ目の投稿でも書かせてもらいましたが私は今デザイナーの育成に取り組んでおり、現在3人の新米デザイナーに対してスキルアップ・キャリアアップ支援を行っています。その3人にまず何をやったかというと「目標設定」です。90分という割と長めの時間を確保してもらい、何を目指すか?を決めるところから私の育成は始まります。

手段が目標になっていないか?という話

目標設定はコーチングメソッドも絡めて行っているのですが、そこで重要になってくるのが「自身のなりたい姿、目指すべき姿」が何か?ということです。目標設定、というくらいですから、目指す場所がなければ私も支援のしようがありません。当たり前のように聞こえるかもしれませんが、これがなかなか体力のいる作業です。

3人に共通していたのがやりたいことはあるが、その先の姿が想像し切れていないという点です。とはいえそれを想像してもらうのでコーチングであり目標設定ですから、90分という多少なりとも長めの時間を確保してもらいそれについて話し合ったわけです。

まず何から始めたかというと「デザインをやりたい」という気持ちの深掘りです。要するに「何でデザインをやりたいの?」ということです。今回の3人とは別に、以前私はこんな質問をもらったことがあります。

「UXデザインをしたいんですがどうしたらいいですか?」

この質問を受けた時、私は少し困ってしまいました。その時のtwitterへの投稿がこちら↓

要するにUXデザインというのは手段であって、その手段によって何をしたいのか?何を実現したいのか?が無いとなかなかアドバイスがしづらいのです。

冒頭の3人も、程度の差はあれ似たような状態でした。デザインという「手段」そのものに興味関心があり、それに対する熱量はある。しかしその先にやりたいことが想像し切れていなかったため、それを深掘りするところから始めました。

具体的には、

「デザインによって何がしたいか」

「思い描くデザイナー像があるか(身近な人など)」

「デザイナーという仕事が人生においてどういう位置付けか」

というような質問をし、それはなぜか?をさらに繰り返し、まずは「目指したい未来の姿」を形作ることを試みました。具体的な人物名を挙げる人もいれば、幼少期の体験なども混えて自身の価値観と照らし合わせて考えた人もいます。初めは「あまり想像がつかない」と言っていた人も、話していくうちに私の想像を超えて、自身の言葉で話し始めます。「あ、こういうことだったんだ」というようなコメントも何度かもらえました。

最後まで抽象的な目標に留まる人もいましたがそれは悪いことではなく、まずは目の前のスキルを磨いていき(前回の記事における「know」を広げていき)、その結果目指したいものがより明確になったらその時また軌道修正をしよう、というように伝えました。目標設定は別に何度直してもいいものと思っています。決まった目標に対するアクションの進捗管理と軌道修正が私の役割です。

目標が決まればあとは逆算で、

・現在の自分とどれくらいのギャップがあるか

・そのギャップを埋めるためにはどんなスキルが必要か

・そのスキルを身に付けるためにまずは何をするか

まで落とし込めたら1回目の目標設定はひとまず終了です。最終的に3人とも、数日〜数週間後までにこれを制作する、これをアウトプットする、などまで落とし込みました。ここで重要なのが、本を読む・動画を見るなどの「インプット」のアクション設定だけでなく実際にバナーを作ってみるなどの「アウトプット」のアクション設定を必ずするということなのですが、その話はまた別の機会に。

目標のないアクションは、行き当たりばったりの登山

なぜここまで目標設定にこだわるかというと、目標がないと具体的アクションに落とし込めないからです。いや、無理やり落とし込むことはできるかもしれませんが、そのアクションに意味を見出せず、またとても非効率です。例えば「デザインスキルをアップする」といったような「手段」に重心の寄った目標にしてしまうと、その学習範囲の広さにあっちもこっちもやらなきゃという状態になり、目の前の軌道修正に終始した結果全く進んでいなかった、ということになりかねません。

登山を想像してもらうとわかりやすいかもしれません。山を登るには、登る山を選び、知る必要があります。目指したい山頂があってこそ、そこに至る道筋を考えられ、そのために必要な装備も用意できるのです。

明確な目標がないということは、とにかくいろんな装備を身に付けパンパンの荷物で、その場その場で進む道を選ぶようなものです。想像しただけで疲れそうですし、あまり楽しそうではありません。しかも「気付いたら山頂から遠のいていました」ということもあり得そうです。そのため件の3人には今回多くの時間を費やしてもらい、明確にその山を見据える時間にしてもらったわけです。

目標設定はこんな人と一緒にやるべし

さて、この目標設定ですが、自分一人でやるにはなかなか難しいのではないかと思います。予想以上に体力のいる作業です。私は問いかけをするだけで、基本的に喋るのは目標設定をする人自身です。普段あまり考えていなかったことを考えるわけですから、言葉が続かないことはしょっちゅうです。

自己内省に慣れている人であればあまり苦労しないかもしれませんが、そうでない人の方が多いのではないでしょうか。深く自己内省するタイミングは受験や就活くらいしかなかった、という人も少なくないのではと思います。そのため目標設定はコーチングの素養を持った人と一緒にやることをおすすめします。身近にいればその人に頼むのがいいと思いますし、いない場合はコーチングサービスを利用するのも一つの手かもしれません。「いや、自分でやってみたい!」という気概のある方は以下の書籍がおすすめです。コーチングは自身に対しても行うことができます。

一方で、デザイン初学者の場合はやはりデザイナーの人に頼むのがいいかと思います。少なからず専門的な職種ですから、そのスキルアップ方法やキャリアステップなどに精通していないと具体的なアクションプランに落とし込めない可能性があります。

この目標設定は、相手の深い部分にある意志や価値観を引き出す「コーチング」と、具体的なスキルアップ・キャリアアップの方法などをアドバイスや指示する「ティーチング」という異なるメソッドを両方含んでいるため、その両方に明るい人でないと難しい、ということです。

登る山が「デザイナー」という職種ではない場合もある

これまでの話で出てきた3人は私の会社の後輩で、明確にデザインする対象(Web)があるわけですが、極端な話デザイナーという職種にこだわらなくてもデザインはできます。こう書いてしまうとややこしいのですが、デザイナーとは職種ではなく姿勢であると私は考えます。

どなただったか忘れてしまったのですが、著名なデザイナーさんがこんなことを言っていたのを今でも覚えています(言葉じりとかは大体で)

私の人生で初めての「デザイン」は、暑い日に荷物を運んでくれる配達屋さんのために、氷を入れてよく冷えた水を用意していたことだ。

デザイナーと聞くと「Web」や「グラフィック」や「ファッション」や「インテリア」など、その対象物とセットで語られる場合や想像される場合が多いと思うのですが、デザインというものは少なからず誰でもやっていることです。例えば「この時間帯はエスカレーターより階段の方が早い」というのも行動のデザインですし、「お風呂を貯めている間に歯を磨いてしまおう」というのも時間のデザインです。以前読書会というものに参加させてもらった時、同様の話をしたらこんなコメントが返ってきました。

「自分は営業なんですけど、コミュニケーションのデザインをやってるってことですかね?」

全く間違っていないと思います。自社のサービスやプロダクトが貢献できそうな企業を探し、響きそうなメールを書き、アポを取り、そこで話す内容を準備し、アドリブも混えつつ、相手の反応も見つつ、最適な営業をする。まさにコミュニケーションのデザインです。

このように、デザイナーと名乗らなくてもデザインという手段自体は誰にでも使えます。ここを理解していないと「それじゃあまず、Photoshopの使い方から覚えましょう」と言われてもしっくりこない場合があるかと思います。登る山が「Webデザイン」に関わる場合はPhotoshopの知識・スキルは必要不可欠ですが、そうでない場合は全く必要ないかもしれません。自分がやりたいのは、本当にWebなのか?と問い直してみるといいかもしれません。

目標設定のもう一つの効果

さて、ここまで書いてきましてが、偉そうに言っておいて私自身も明確に登る山を見つけてからデザイナーになったわけではありませんでした。デザイナーになったのは単純にその時働いていた会社がWebに関わる会社であったことと、「自分の手で作りたい」と思ったからというだけです。

しかしそうしてデザイナーとして生きていく中で、少しずつ登りたい山が見えてきました。それによって明確に登る山を変えたな、という瞬間が何度かありましたし、それによって学ぶ領域も割と大きく変わりました(今ではビジネスや事業について勉強しています。いわゆるビジネスデザインですね)。

その中で思うのが、山の登り方を知っていると、別の山に変えたとしてもその登り方を流用できるということです。登りたい山を見つけ(=目標設定)、それを登るための装備(=スキル)を用意し、実際に登る(=スキルアップ)というのを経験したことがあるというのは大きな財産です。目標がはっきりせず、山をきちんと登った経験がないと、山を変えたとしてもなかなか登ることに苦労するのではないかと思います。そう言った意味でも山を決めること=目標設定はファーストステップとしてとても重要なのです。

最後に

いかがでしたでしょうか。デザイナーという職業はその言葉の解釈も多くあるため、なかなかその先を想像しにくい部分もあるかと思います。しかしだからこそ、そこを想像することで周囲との差別化もでき、さらにキャリアステップに意味を感じられ、いきいきとその道中を楽しめるのではないかと思います。山頂を見据えた登山。なんだかワクワクしてきませんか?私も引き続き、3人の新米デザイナーを時に軌道修正しながら一緒に山を登りたいと思います。先導するのはあなた自身なのです。

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デザイナー育成に挑戦中の新米教育係(三十路)。数百万人が利用する自社サービスのWeb領域にリードデザイナーとして関わっています。大きい声を出すのがとても苦手。今日もボリューム抑えめでお届けします。twitterやってます→@whispervoiceday
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