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あのとき辞めないでよかった

10月もそろそろ終わりますね。

昨年の今頃、私は体調を崩しました。

最初はちょっとした腰痛だと思っていましたが、だんだん足に響くようになり、立っているのがしんどくなりました。

そのうち立ってるのも座っているのもしんどくなりました。

身体が楽なのはお風呂に入って寝るときだけ。

朝も5時くらいから痛みで目が覚め、起きるのに2時間近くかかるようになりました。

制服のブラウスにアイロンをかけるのもつらい。


店でもずっと足をさすっていました。



身体の痛みは心を蝕みました。


ある日、いらしたお客様のグループが、

1杯のコーヒーすらお代わりなしで3時間滞在されました。


さすがに辛くて

「ご滞在も長くなっておりますが、お代わりはお願いできませんか?」とお願いすると、


「じゃ、帰ろうか」と言って帰られました。


次の日、別のグループが来られました。

その組は4時間滞在されました。


もうお代わりをお願いする気力はありませんでした。

お客様が悪いわけではない、

私の作った「居心地のいい」はずのカフェのなれの果てでした。


自分の中で何かが切れました。



でも、なぜか

「辞めよう」とは思いませんでした。


「辞めよう」ではなく


変えよう」と。

いや、

戻ろう」と。



でも私は告知文書に


閉店」と書きました。


だって辞めるから。

今までと同じ店はやらないから。

 


今考えると、

あんなに辛かったのに

「辞める」という選択肢になぜならなかったのか。

なんだか不思議な気もします。



きっとそれは私はカフェという場所のお仕事が心から好きなのだと思います。


あれから1年が経ちました。


お客様の愚痴ばかりこぼしていた私が、

口をついて出てくるのは

今年生まれた新しいつながりや、お客様に対する感謝の気持ちばかりです。


あのとき辞めないでよかった。

変えようと思ってよかった。


辞めてたらきっと

自分を否定して終わってしまう。


わたしという人間は

そんなにダメなところばかりじゃない。



あなたもきっとそうです。

あなたがカフェという仕事を心から愛しているかぎりは。





いまむらみちよ



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