英語の発音はだいたい合ってればいい、それよりも大事なこと
私は日本と海外に住んで働いてきました。
ネイティブやノンネイティブなど、いろいろな人が話す英語を聞いてきました。実のところ、みんな発音はけっこう適当でバラバラでした。
それでも普通に会話できていました。
発音がちゃんとできないと会話できないのでは?と思っていたのですが、どうもそうでもないみたいです。どういうことなのでしょう?
また、発音が適当でも、みなさん英語をよどみなく流暢に話せています。コツはどの辺りにあるのでしょう?
ひとつの「正しい発音」なんてない
ネイティブの発音もさまざま
そもそも、ネイティブスピーカーが話す英語だって、ひとつではありません。
アメリカ英語やイギリス英語の標準的な発音というものがあります。たとえばニュースで聞くような発音などです。
聞いてみると、この2つは違って聞こえます。
アメリカ人もイギリス人も英語ネイティブスピーカーですが、それでも発音が異なります。
英語ネイティブスピーカーが住む国/地域には、ほかにも、アイルランドやスコットランド、オーストラリアなどがあります。
それぞれ発音が違います。聞いてみると、結構違うのが分かります。
Youtube で聞いてみると分かります。
まるで別の言葉です。それでもお互い会話できています。
ヨーロッパ人の発音もさまざま
ヨーロッパ中からさまざまな国の人たちが集まる職場があります。多国籍企業などです。
そこでの標準語は英語です。
オフィスの所在地は英語圏ではありませんし、英語ネイティブが多く働いているわけでもありません。
それでも、社内では英語です。
全員が話せる言語が英語しかないからです。
みんな英語は母国語ではありません。
そのためか、英語の発音は、その人の母国語にどこか似ています。r を必ず巻き舌にする人、hを発音できない人、どうしても語尾に母音がついてしまう人など、個性もさまざまです。
みなさん、母国語の発音の影響を受けた英語を平気で使っています。それでも通じます。
カタカナ英語だって大丈夫
ネイティブの発音も様々ですし、ヨーロッパ人の発音だって大概なのです。私たちも、発音に神経質になる必要はありません。
英語の中には、日本人には難しい音があります。たとえば、私たちには r と l の違いや、bとvの違いがよく分かりません。日本語にない発音だからです。話すときに間違ったりします。
それでも問題ありません。英語で会話できます。
もしかすると、bとvを取り違えると別の意味になってしまうような単語があるかもしれません。
それでも、会話の文脈によってどちらの単語なのか明らかな場合がほとんどです。相手は間違いに気づいてさえいません。気にすることないです。
カタカナ英語でも、会話できます。
発音を習得できないのは人類共通の課題
ところで、私たちが r と l をうまく使い分けられないのには理由があります。
人は5歳ぐらいまでに母国語の発音の習得を終えると言われています。
習得を進めるうちに、母国語に必要がない音については、あまり聞き取れないようになっていくのだそうです。脳が母国語の聞き取りに専念するためです。
そのため、大人になると、母国語にない音は聞き取れないのです。
もちろん、聞き取れられないので、話すこともできません。脳が再現できないからです。
もう、これは人類共通の課題なので、どうしようもありません。
私たちは r と l の違いが聞き取れませんし、フランス人は h が発音できません。さらに言うと、アメリカ人は小さい「っ」が分かりません。
どれも母国語に存在しないからです。
(上の例は私が感じるだいたいの傾向にすぎません。もちろん難なく使いこなせる人もいます。)
流暢に聞こえるためのポイント
発音よりも大事なこと
上で挙げた例のように、みなさん母国語の影響から逃れることができず、さまざまなクセのある発音で英語を話しています。
ただ、みなさんの英語には、ほぼ共通するものがあります。
単語のアクセントと文のイントネーションです。
だいたいみなさん正しく使っています。
ヨーロッパの多くの言語は、アクセントやイントネーションを重視します。
アクセントやイントネーションが整っていないと、たとえ発音がしっかりしていたとしても、単語や文章として聞き取るのが難しいのです。言葉の流れとして耳に入りません。
幸いなことに、アクセントやイントネーションは、大人になっても学習することができます。
大人になってから、母国語にない発音の聞き取り能力を身につけるのは、不可能ではないでしょうが、簡単ではありません。
いっぽう、アクセントやイントネーションは、音の強弱や高低にすぎないので、人になってからでも練習すれば、じゅうぶん学習することが可能です。
アクセントとイントネーション
もちろん、より正しい発音ができればそれに越したことはありません。会話がよりスムーズになります。
でも、ノンネイティブ同士の世界では、どのみち全員の発音がネイティブレベルではないのです。そもそも、ネイティブの発音にしても、一つではありません。
発音は、だいたいできていれば大丈夫です。
だた、聞き手は、外国人であっても、アクセントとイントネーションは正しく使える人たちです。正しいアクセントとイントネーションで話されることを期待して、話を聞いています。
正しい発音も大事ですが、それ以上に、正しいアクセントとイントネーションのほうが、会話にはとても大事です。
アクセントとイントネーションができていれば、もっともらしく聞こえます。
そんなことより最も大事なこと
とはいえ、こういった技術的なことよりも大事なのは、ちゃんと伝えたい内容を持って話をすることです。
話す目的は、正しい発音を披露するためではなく、コミュニケーションのためです。
Youtubeでは、日本の企業の社長さんたちや日本人科学者の方たちが海外でスピーチしている動画を見ることができます。
けっこうカタカナ英語です。それでも、通じます。
そういったスピーチを聞きに来る観客は、内容に関心があって聞きに来ています。流暢な英語の発音を聞きに来ているのではありません。
話す内容を持って話すことが、いちばん大事です。
発音もアクセントも、聞いて話すことを繰り返すうち、自然とより正しいほうへ近づいていきます。完璧でなくても問題ありません。
話をするのはコミュニケーションのためです。
おたがいに関心を持ちあって会話を楽しみ、理解を深めていくこと、それこそが重要です。発音を気にするのは、その次の次でいいと思います。
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