見出し画像

コロナ禍での葛藤

長い月日をかけて準備した留学が、コロナに呆気なく奪われて戸惑った学生たち。私もその一人。

前述したように今の大学は留学のためでしかなかったから、もし留学に行けないなら
わざわざ高い学費を払ってもらった親に申し訳ない、
留学の他になにを目標にして頑張ったらいいんやろ、
もう光の見えない真っ暗なトンネルの中にいる気分だった。「お先真っ暗」とはこのこと。

カナダ留学の目標のために紆余曲折しながらも
頑張ってきた今までの学生生活。
行けない理由が、自分の語学力だの成績だの、ただの努力不足だとしたら、簡単に話が終わったけど、
コロナという自分都合でない理由で行けないことには、目標を自ら諦めるのとはまた違う悔しさだったりやるせなさがあったな。

うちの大学は留学出発時期を春学期と秋学期、半期単位で自由に選べる。
2回生以上なら、4回生で行っても構わない。

休学復学後の年にはコロナが落ち着いて留学に行けるだろうという期待のもと、周りの多くの友達が3回生で休学という手段をとった。

(少しややこしいけど、ここでいう「留学」は交換留学、つまり在学扱い。「休学」して留学に行くわけではない。)

大学1年を普通に在学して、2年目で留学、1年休学をしてワーホリ行って、残りはまた大学通い。これが私の本来の予定。

休学という選択にためらいはもともとなかったけど、休学をしてもその1年後に留学に行ける保証もない状況で、当時の私にとって「休学」はギャンブルだった。

休学して行けたらラッキー、行けなかったらただの空白の1年になる。(もちろん休学の1年の間に明確な目標を決めて頑張る人もいたけれど、ゴールを見失って空っぽだった当時の自分にはそんなことできなかった。)

私大に行かせてもらったという負目も感じてたから、行けるか行けないかわからないぐらいなら、休学をせずに早く卒業してお金を稼ごう。また行けるようになったら自力で飛び立とう、こうも考えた。

それでもやっぱり、休学せずに留学を諦めて、もし仮に1年後行けるようになったとしたら。その時の悔しさを天秤にかけたら、休学せずにはいられなかった。今はただ行けるようになることを信じよう、そればっかり言い聞かせた。

一人暮らしの家を引き払い、実家に戻り、休学期間は検定試験勉強とバイトに励む毎日。
暗闇の中だったけど、同じ境遇の友達と夜電話で不安を共有しあっては、また自分に喝を入れた。

コロナの終息の兆しがかすかに見え、大学側もどうにかして留学を実現しようと努力してくれた結果、無事渡航再開が決定した。

それでもワクチン接種やPCRの陰性証明は必要で、
渡航前日まで行けなくなるかもしれない不安を抱えながらも、
準備に準備を重ねては、
友達に行ってきますの挨拶もろくにできないまま、
大学受験の合否を確認するかのようにPCRの陰性反応を手にした私は、

2022年2月、ようやくカナダへの飛行機へ乗り込んだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?