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百聞は一見に如かず

ここのところ雨の日が続いている。
一日雨なだけですぐに晴れの日が恋しくなる。

昨日は曇り空の中、とあるカフェを目指し歩いていた。

桜並木が続く道。
今年も満開の桜をみることができて心踊る。

夏日となり少し汗ばむほどだった。
汗っか気は困る。先が思いやられる。

駅から徒歩10分。

ジャズ喫茶。
店内には音楽が鳴り響いており客が一人。
常連のようだ。初来店の私は緊張気味。

店主の声は音楽にかき消されたため、辿々しく席に着く。
スピーカーの真ん前に来てしまった。
ちょっと右耳が痛い。


ここのお店の評価は半分に分かれる。
悪い口コミは大体が店主の接客態度についての内容だった。


メニュー表をくれた店主。
優柔不断の私は入店前にすでにメニューを決めている。

「アイスコーヒーとクロックムッシュ」


店主は淡々と準備にとりかかる。

確かに素っ気ない感じはするけれど
少し放って置かれるくらいがこっちとしては過ごしやすい。


待っている間、その音量にも耳が慣れたのか音楽を楽しんでいた。

レコードだったり音楽や食に関する雑誌が並べられていて
店主の「すき」が詰まったお店であることが見て取れる。


音楽が流れる店内で本を読み進める。

アイスコーヒーが到着。
暑い体が急速に冷やされていく。

とても美味しかった。
しっかりとコクがありながらもスッキリとした味わい。

ちょっと感動。

ミニサラダ(前菜)到着。
私の好きなピクルス。はい、最高。

「クロックムッシュはオーブンに入れているところなので、もう少し待ってください」

はい、待ちます。
全然待ちます。


引き続き本を読み進める。

クロックムッシュ到着。
2枚重なったトーストにたっぷりのチーズ。
フォークとナイフ食べるらしい、それほどにボリューム満点。

一口いただく。
とっても美味しい。

感動。


最高の幸せ空間。
ちょうどよくお腹も満たされ読書もでき音楽に癒され・・・


「よし、帰ろう」

しかし、雨が降ってきた。
雨は夜から降るとの予報だったため備えておらず。

近くのコンビニまで走って買いに行こう。


会計を済ませた後、店主「傘持ってますか?」

「ないんです。コンビニ寄ることにします」

「これよかったら持っていってください」

さらっと店内に置かれた傘を手渡した。

一言、美味しかったですと伝えることもでき
今日はなんていい日なのだろうと思った。


外に出て傘を開く。
小さめのビニール傘、持ち歩くにはこれくらいが丁度良い。

すると、店主がひょっこり顔を出し

「穴とか空いてないですか?」

「大丈夫です!!」

そこで初めてお互い笑顔を交わした。


またすぐに来よう。
傘に降り注ぐ桜を見ながらそう思った。


まさに、百聞は一件に如かず。

店主のこだわりが詰まった店内。
音楽を楽しみ読書をするには最高の居場所。
私はここがすきだ。





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