日本人の誇り
日本人の定義
生物学的な日本人の定義
最近、YouTubeで日本人の遺伝子について語られる動画を見ました。詳細については省きますが、YAP遺伝子という単語が特殊なものであり、それが理由で日本人はすごい。という論理の展開が多いです。
最近の研究によれば、沖縄と本州では遺伝子が大きく異なるとのことです。他にも、海外から入ってきた遺伝子があるとのことです。朝鮮半島経由の遺伝子を嫌うのは、近年の嫌韓ブームの影響でしょうか。
ちなみに、僕の友人に両親がアメリカに亡命した韓国人の両親から生まれた韓国系アメリカ人と、祖母が台湾人である台湾クォーター日本人の夫婦がいます。その子はおそらく、日本とアメリカの二重国籍なのでしょう。とても可愛い姉弟です。
歴史的な日本人の定義
歴史的に、日本列島に住む人々を「日本人」と定義したのは明治時代あたりからとのことです。「開国」という言葉が使われるように、その頃には日本国という認識をしていたのでしょうか。元々は”会津出身”、”薩摩出身”といった”地方”という認識だったようです。日本国民という認識はなかったようです。
”国”の概念はフランス革命で、市民が団結し、戦争への意欲を鼓舞するために作られたものとのことです。”国”のために、権利のために、命を投げ出すことに大義を感じたのかもしれません。
臆病な僕には、”国”という概念は兵器、洗脳に見えます。
法的な日本人の定義
国籍法によると、詳細な日本人の定義が書かれています。法律に素直に従うならば、二重国籍問題で揉めたりすることはないでしょう。それほどに人は理知的ではないし、日本国籍の有利さを主張する日本人は少なくないと思います。それは、「日本という国は良い国だ」という認識からきているように思われます。
だからこそ、生活保護や皆保険といった社会制度をうまく利用する外国人への怒りや憤りが発生するのかもしれません。
裏を返せば、それだけ日本人は社会制度を活用できていないのかもしれません。
反日と右翼をまとめるアメリカ
反日左翼と愛国右翼
統一教会問題が、この国の深い闇として認識されました。統一教会(現:世界平和統一家庭連合)は”国際勝共連合”であり、共産主義国である中国、ソビエト(現:ロシア)の共産主義思想から資本主義を守るのが大義名分であるようです。
敗戦国日本の侵略行為とキリスト教思想を絡めた信仰が、「合同結婚式」や「霊感商法」として壊滅的な搾取構造を作っています。
意外と気づかないのが、統一教会は反日であっても左翼ではないという点です。なぜなら、国際”勝共”連合だからです。共産主義思想に勝とうという団体。共産主義は、左翼思想だからです。
現在の”日本人の誇り”は冷戦の延長にある
日本人の誇りを掲げる愛国者は、保守右翼思想の持ち主が多いと見えます。その方々の中には政治的立場として、保守与党の自由民主党、公明党、保守野党の日本維新の会を嫌悪する方もたくさんいらっしゃいます。
たとえその方が公明党の支持母体である創価学会会員であってもです。
そして、その日本人の誇りはまさしく中国ソ連とアメリカの冷戦と密接な関係があるように見受けるのです。
国際勝共連合は、日本を貶める団体でありながら、愛国保守政党の自民党と癒着している。
アメリカにとって、中国とロシアに国境が面している日本が、左翼の国になって取り込まれては困る。
日本は西側資本主義国における、東の砦である必要がある。
つまり、日本がアメリカの属国であり続けるために、国民が左翼嫌いであり続ける必要がある。という歴史的、地政学的な理由があると考えるのが自然なんじゃないでしょうか。
陰謀論者に「無知の知」を
陰謀論は楽して賢くなった気分になる麻薬のようなもの
コロナ以降、社会に陰謀論が溢れ出てきたように感じます。実際にその話を見てみると、正直「陰謀論じゃなくて真実だ」と思うものもたくさんあります。
それに、陰謀論だと思ったら本当だったエドワード・スノーデン(ロシアに亡命したCIAのエンジニア)の告発や、アメリカ人の友人に教えてもらった非人道的な洗脳実験MKウルトラ計画など、のちに実話だと判明した恐ろしい世界の裏話もたくさんあるようです。
「安倍元首相の暗殺事件は真犯人がいる」「2025年7月日本に隕石が落ちる」「トランプ大統領によって世界の通貨が再評価(RV)される」など。
社会が複雑化し、戦争が勃発。経済的な格差や不安、不満が高まっていくと、人は救世主を求め、魔法のような解決を希望するのでしょうか。
ですが、人類史上そんな都合のいい展開で世界が良くなった試しはありません。
現実とは当たり前の事実の連続。その積み重ねが歴史なんじゃないでしょうか。
現在や未来を推察するのに、同じような状況になった歴史を振り返るのが、正確で手堅く丁寧なやり方なんじゃないでしょうか。
第一次世界大戦や第二次世界大戦では、シオン賢者の議定書や、竹内文書といった”偽書”と言われる歴史書が出回りました。偽書はユダヤ教や神道など、宗教に基づいたカルト思想を肯定する歴史改竄であると、のちに論じられます。
シオン賢者の議定書は、ナチスドイツがユダヤ人を迫害する流れを作った、ロシアの工作であるとの見解です。竹内文書は、それをももとに上級官僚の軍人が「日本は必勝の神国」という扇動を促し、昭和天皇直々に処刑されたそうです。(参考文献:戦争とオカルティズム/藤巻一保)
いま、YouTubeのオカルト界隈では竹内文書がもてはやされています。
ちょっと珍しい情報を見聞きしただけで、自分は特別な存在になった気分になれる。
陰謀論は、そんな麻薬みたいなものに思えます。
竹内文書、実物を見て内容を読み込んだ人、何人いますか?
竹内文書が、どんな理由で偽書と言われたかご存知ですか?
偽書でないというならば、その理由、他人の言葉を借りず、十分な証拠をもとに説明できますか?
「日本人は優秀だ」その結論に誘導されていませんか?
日本と海外の世界史の教科書、読み比べましたか?
他人に理解してもらえるように、十分な努力と勉強をしましたか?
過去を自分の目で見ることはできないって無知、自覚していますか?
何千時間も丁寧に勉強し、教養を身につけた。賢い人の努力を否定していませんか?
精神分析から愛国心を読む重要性
あなたは警察が人を逮捕できる条件について知っていますか?
逮捕状がない限り、警察官は原則人を逮捕することはできない。日本国憲法を読めばそんなことが書いています。
あなたは、日本国憲法第一条を説明できますか?
答えは、「天皇」です。
日本国憲法を読まないのに憲法について議論する人がいる。それはサッカーの話をするときに「ボールを持って走ればいい」というようなもの。
なのに、「憲法第9条を改正すべきだ、維持するべきだ。」と議論するのは、とても不毛だと思います。
日本国憲法は、アマゾンから無料でダウンロードできます。
核武装や国防を語る前に、日本国憲法103条全文を読み込み、理解する。そんな努力もしないで議論をする愚鈍な我々が、賢い権力者に騙されるのは当たり前なんじゃないでしょうか。
にもかかわらず、”日本人の誇り”に駆られ、国防という目的で安易に自分の命や税金を差し出す。
その心理に、ナチスドイツの研究をした精神分析学者がずっと前から警鐘を鳴らしています。
愛国心とは、虎の威を借る狐の心理
「ナチスドイツは世界一」
「日本は最古の国家」
この二つの発言は、国外において「侵略者の発言」という同じ意味を持ちます。
日本の歴史認識と、外国の歴史認識(中国韓国だけでなく、世界中です)は当然違います。どちらが正しいかと言えば、「勝った国の言うことが正しい。なぜなら勝ったほうが正義だから」と言うのは歴史が証明しています。
では、”「日本は最古の国家」が事実である”という意味での正しさは、あるのでしょうか。気になる方は調べて教えてくださると嬉しいです。
愛国心を研究した精神分析学者が言いたいことは、
ということです。
「自分は優秀」って、責任を持って発言したらいいんじゃないの?
怖いですか?
「日本人は優秀」って、本音のところは「努力もせず結果を出せない自分をうぬぼれ屋と言われないで優秀だと思い込むテクニック」なんじゃないの?
かつて麻生元総理が「ナチスの手口に学んだらどうか」と発言されました。実際にナチスドイツの政治戦略は、綺麗に自由民主党が踏襲していると感じ、目を丸くしたことを覚えています。
これからの「正義」の話をしよう
3つの正義
マイケル・サンデル教授による名著【これからの「正義」の話をしよう】において、正義は三種類あると提唱されていました。
幸福の最大化
できるだけたくさんの人が得をするようにする正義。誰かが時に貧乏くじを引くのは仕方がない。現実的。自由の尊重
個人の自由や尊厳が最大に尊重されるべきという考え。理想主義的だが、これを達成できる個人は得てして優秀。美徳の促進
社会全体で一定のルールを敷き、モラルを守ろうという考え。行き過ぎれば息苦しいが、ルールがないと弱者は淘汰される。
サンデル教授の”正義”とは、1〜3のどれでもなく「安易に答えを出さず、落ち着いて考え続ける」だと思います。
GHQやアメリカ、中国、外国人が日本を壊した
「GHQが日本を弱体化したんですよ」
最近、日本で歴史を振り返ると、GHQによる日本弱体化の痕跡について語る方がたくさんいらっしゃいます。
詳しいことを調べていないので、断定はできません。
ただ、戦勝国が敗戦国を支配するべく教育するのは歴史上よくあることだと思います。
確かにアメリカが日本を支配していると思います。そして、僕はそれを嘆き、憎む気持ちに共感します。
ただ、いつも疑問に思うのは「GHQの日本弱体化」に対する現実的な回復の手立てが、どの方の口からも聞くことがないことです。
「で、どうするの?」
うっかりそんなことを聞きそうになりますが、荒唐無稽で非現実的な政策を唱える方がほとんどです。
みんな、現実から目を背けている
アメリカの属国から抜ける方法、中国に抗う方法。怒りや不安に駆られる我々日本人は、みんな現実から目を背けているんじゃないかな。
そう思うようになりました。
我々日本人が目を背ける現実。
それは、
日本は弱い
ということです。
戦争中もディズニーが映画を作るような超大国相手に、「神の国だから不可能はない」という信仰心で、無謀な戦争に突入した。竹槍で戦闘機が落とせると信じた我々日本人は、非現実的で愚かな弱小国家の民。
私たちは、その現実と、ずっと向き合ってないんじゃないでしょうか。
また戦争が起こった時、自分が人を殺す時、人に自分が殺される時、家族が殺されて生き残る時、他人の家族を殺して恨まれる時。
想像力がない。
八月十五日の敗戦記念日に向けて
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