陰キャほど接客業が向いているのかもしれない

私は10年以上接客業に勤めていたのですが、みなさんは接客業を選ぶ人ってどんなイメージがありますか?
「人と接するのだからそりゃもちろんコミュニケーション能力が高い陽キャだろ」と思われるかもしれません。
実際そんなことまったくありません。どのお店に勤めるかにもよりますが、私のように人見知りでオタクをこじらせてコミュ障だったりしても接客業をしている方たちはたくさんいます。
なぜそんな社会不適合者(そこまで言う?)みたいな人間が接客業で10年以上も働くことができたのか考えてみました。


共通の敵のおかげでなじむことができる

人がもっとも結束する瞬間はいつでしょうか。
そう、共通の敵が現れたときです。
接客における「敵」とはいわゆる厄介な要求を突き付けてきたり理不尽に怒鳴りつけてきたり無駄に態度がデカかったりするモンスタークレーマーです。
お客様をモンスター呼ばわりとは何事だ、と思われるかもしれません。

うるせ~~~~~~~~~~~~~~~~そういう思考回路が駄目なんだよぉ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~人に迷惑かけるのはどの立場でもやっちゃいけねぇことだろうが~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

まぁそういう客がくると店員は一致団結して対処に当たり、影で「あの客マジむかつくよね~」と悪口にいそしみ友情を育むことができるのです。
運が悪く自分が対応するはめになっても後から同僚が「大変だったね、気にすることないよ」となぐさめてくれたりします。

なお、もしモンスタークレーマーのせいで理不尽な状況に陥ったときに上司が助けてくれなかったり同僚に見て見ぬふりをされたりするときはよほど嫌われているか職場の環境がクソなので転職をおすすめします。


販売業はレジさえできていればなんとかなる

レジ業務は販売業に就いているかぎり逃れられない作業なわけで、逆にこれさえできていれば「あいつ仕事全然できないじゃん」という給料泥棒のお荷物というレッテルを回避できます。
「言うて陰キャにはそのレジ業務が一番ハードルが高いし…」と思われるかもしれません。
実際慣れるまではお客さんが来るたびに緊張するし大変ですが、基本的に機械操作ややることは同じルーティンの繰り返しなのである程度経験を積めば頭からっぽの状態でも勝手に体が動きます。
あと嫌でも他人と接するので強制的に少し陽キャに近づきます。
自分では気づかないかもしれませんが、声が大きく話し方がハキハキしたり動きがテキパキするようになったり(それ陽キャか?)
今後別の職種に就くときでも、この経験はかなりプラスになると思います。


シフト制が楽

同じ週休二日制でも土日が休みなのと水、土が休みなのはだいぶモチベーションが変わってきます。
よくSNSなどで日曜の夜になると「つらい」「明日仕事行きたくない」などのつぶやきを目にしますが、こちとら今日も仕事だったしあと二日行けば休みじゃ~い!なんならその後またさらに二日勤務すれば休みじゃ~い!と謎のハイテンションに襲われます。
土日休みのほうが合っている方もいらっしゃると思いますが、私は断然シフト制のほうが肌に合っていましたね。
どこ行っても人が少ないし、病院にも気軽に行けるし。
平日勤務の友人と遊ぶ際に予定を合わせるのは少し苦労しますが、よほどブラックな職場でないかぎり早めに申請していれば土日でもお休みはいただけます。


もちろんデメリットもある

まぁどんな職業でもつらいことはあるわけで、ここらへんで絶対無理!と思ったらやめたほうがいいと思います。


基本立ちっぱなし

とてつもなく足がむくみます。
途中で休憩があるにしても数時間はずっと立っているわけで、服装規定でヒールが必須だったりしたらだいぶ地獄です。
あと休むほどでもないけどずっと立って接客するにはしんどい…的な体調不良のときもかなりつらいです。
これがもしオフィスで座ってやる業務ならそこまでつらくないんだろうな~と思ったこと多々あり。
急にお腹が痛くなってトイレに行きたい!と思っても他のスタッフがお客様の対応で手が空いていないとレジから離れることもできません。
外国みたいにレジぐらいは椅子OKにしてもいいと思うんだよなぁ。


休職のときの罪悪感と休みがつぶれること

よほど職場が嫌いでないかぎり病欠などで急なお休みをとってしまったときは他の職員に迷惑をかけることになるので大なり小なり申し訳なさを感じるのではないでしょうか。
特にシフト制でまわしている職場は人数も少なく、一人ぬけただけでも業務がまわらなくなります。
なので休日を返上して他スタッフにヘルプを頼むことになるわけで…あーーーーーほんと申し訳ありません!!!

もちろん逆に自分がヘルプで入ったときもありますが、特に予定がなくても休日が一日なくなって連勤になったときの脱力感たるや…しょうがないことだと頭でわかっていても悲しいものがあります。


クレーム対処

上記に「共通の敵」として書きましたが、無きゃ無いにこしたことはありません。
相手が間違ったことを言っていても、撃退することができても、嫌なことを言われたら傷つきます。

余談になりますが「何も言ってこないがいるだけで迷惑な人間」もめちゃくちゃタチが悪いです。
私は書店に勤めていたのですが、毎日朝から晩までずっっっっと本を立ち読みして一切何も買わないオッサンがいました。
それだけならまだいいのですが、人が近くに来ると舌打ちする、絶対に本棚の前からどかずそこに置いてある本を取らせてくれないなど今考えなくても迷惑行為でしょっぴいていいのでは?と思う態度で店員全員に嫌われていました。
ただパッと見ではただ立ち読みしているだけなので何もできず…もうこの人がいるだけでイライラして仕事になりませんでした。
今もいるのかな、あのオッサン…あの健脚を生かして何か新事業でも始めればいいのに。


オシャレ好きだと大変

金髪、ネイル、露出の高い服、場合によってはスカートもNG、髪は絶対に結ぶこと…など何かしらの規定はあるかと。
アパレルだとそこまで厳しくはないと思いますが、逆にたくさん服を買わないといけないのでそれはそれで大変かも。
あと品出しや返品などわりと体を動かす業務もあるので、すぐ靴がボロボロになりセーターに大量の毛玉ができていたりします。

逆に服装にこだわりのない方はいいかもしれません。
職場によっては制服もあるし。
うちは私服勤務でしたが、先輩はシンプルなシャツとジーンズという「自分の制服」を決めてファッションに対するコストを減らしていました。ジョブズみてぇだな。


接客業といってもいろいろある

一口に接客業といってもとてつもない種類がありますよね。
その中でも私や知人からの経験談をもとにこれはちょっと初心者にはハードルが高いかもしれないといったものもあります。
もちろん人によって合う合わないがあるのであくまで私個人の意見になります。


①飲食店
食事時になると激こみし、店内は戦場と化し客も店員も殺気立ちます。
何か一つミスをしようものなら末代まで陰口をたたかれることでしょう。
チェーン店だとヤンキーやチンピラとのエンカウント率が上がり、そういう意味でも死合いが始まります。


②アパレル
友人によると「とにかくスタッフの質がゴミ」とのこと。
遅刻しても謝らず、連絡もなく急に休んだりすることがたびたびあったそうです。
彼女の昏くにごった瞳を前に「それは君の店舗だけでは…?」という言葉を飲み込みました。


③スーパー
タイムセールがあった日なんかは客の行列が県境まで及びます。
基本的にはレジ業務だけなので覚えることはそこまで多くないのですが、迅速な客さばきと商品への繊細な取り扱い、精密な清算能力を必要とされカゴに商品を乱暴に置くと客からラリアットを、一円でも売上金が合わないとレジリーダーからバックドロップをくらいます。


④お中元、お歳暮の受付
知人「とにかく忙しいし客がクソ」
現場からは以上です。



我ながらひどいこと言ってるなぁと思うし現在接客業をしていて「そんなことはない」と思う方もいらっしゃるでしょう。
ただ、陽キャ陰キャかかわらず一回は接客業についておくとコミュニケーション能力が磨かれて生きていくうえで多少楽になるんじゃないかなと。
私は給料が低すぎて辞めましたが、普通に一人暮らしできるぐらいの賃金をもらっていたらまだ続けていたと思います。
ある程度の波風はあれどそれだけ自分に合っていた仕事でした。
まぁ今給料少ないどころか絶賛無職中なんですけどねガハハハハ!
空から5億円降ってこないかな~~~~。

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