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3年かけて突き詰めたLeicaでスナップを撮る僕の撮影設定と方法

 みなさんこんにちは、Mikumaです。
 つい先日、僕の写真を撮る際の撮影設定についてツイートしたところ、予想以上の反響をいただきました。

 リアルでも一緒にスナップした方から「何を見て、どのようにスナップしているのか」など聞かれることが最近よくあるので、撮影設定の深堀と自分の撮影時のスタイルや考え方、視点などについて共有できればと思います。

 まず初めに使用カメラ、レンズ、設定は以下の通りです。
 カメラ→LeicaM10
 レンズ→Summilux 50mm F1.4 ASPH.
 絞り→いつも開放
 ISO→オート(上限6400)
 シャッタースピード→オート(下限1/250)
 露出補正→-0.7
 ほぼ全てこの設定で撮ってます。

 それぞれの設定について解説していきますね。


使用機材

カメラ

Leica M10
 2017年にLeicaから発売された底蓋が残った最後の世代のM型Leicaであり、M11が登場した現在でも根強い人気があります。
 僕は2020年冬に購入し、かれこれ3年以上の付き合いとなります。
 なぜLeicaを使うかというと僕の尊敬する写真家たちがこぞってLeicaを使用していたからです。
 世代は違えど同じM型Leicaが使いたくなります。

レンズ

Leica Summilux 50mm f1.4 ASPH.
 こちらのレンズは究極の魔性レンズです。
 50mmという焦点距離とF1.4という絞りが絶妙な被写界深度を生み、後述する僕の撮影スタイルにマッチすること。
 尚且つLeica特有のしっとりとした情緒ある写真を生み出してくれるからです。
 下記記事にて詳しく紹介させていただいております。

 基本的にこのレンズ一本で撮っていますが、なぜ50mmなのかといえば、僕が尊敬するスナップの名手である木村伊兵衛、アンリ・カルティエ・ブレッソン、エリオット・アーウィットらが皆50mmをメインに撮影していたからです。
 Leicaを使う理由と同じですね。僕は人に影響されやすいのです。

撮影設定

絞り

F1.4開放が基本
 これは僕の基本となる撮影スタイルが「街×人」であり、街中から対象となる人物が浮かび上がらせるものであるためです。
 ただし、カメラのシャッタースピード上限が1/4000しかないため、露出次第によっては絞ることもあります。
 また、スローシャッターで撮影することもあるので、そのときはF16まで絞ることもあります。(後述します。)

ISO

オート (上限6400)
 これはカメラによるので自身の使用カメラの許容範囲を上限とすればよいかと思います。
 ただし、ポートレートを撮影する際はよほど暗い場所ではない限り、上限を1600もしくはマニュアルにして撮影しています。

シャッタースピード

オート(下限1/250)
 よほど雑に撮らない限りブレないシャッタースピードとして下限を1/250としています。
 ただし、暗所では1/250よりも遅いシャッタースピードになることがありますので、その時は状況に応じてマニュアルで設定しています。

露出補正

-0.7
 自分のイメージする露出(陰影が強調されるくらいが好き)、白飛びすると飛んだデータが戻ってこないため。
 場所や光によって変えますが、-0.7を基本に撮影しています。

記録設定

JPEG(モノクロ)+RAW
 RAWは基本として、JPEGはモノクロで撮影することが多いです。
モノクロで撮影することで光と影を意識することが増えて写真の上達につながると思っています。
 また、Leicaのモノクロは素晴らしいのでJPEG撮って出しで使用することもあります。
 ただし、ポートレートを撮影するときなど背景に特徴的な色があったり、色被りが激しくなりそうな場所ではカラーで撮影することもあります。

撮影方法や考え方など

『街×人』

京都にて

 街の雰囲気を残しつつ、絞り開放で焦点を当てた人物を浮かび上がらせることのが僕のメインの撮影スタイルです。
 昔はF8くらいまで絞り込んで撮影していることも多かったのですが、全体にピントを合わせやすくなる分、何を見せたいのか分かりづらい漠然とした写真になりやすかったことから今のスタイルに変わりました。
 人々の動きに着目し、何気ない瞬間を切り取ることを旨としています。

『スローシャッター』

渋谷にて

 雨の日は傘を差しながら撮影することが多く、マニュアルフォーカスのLeicaでは撮影が難しいことから、絞りをF8〜F16まで絞り込み、シャッタースピードは1/15、距離は無限遠にして片手で撮り歩くことがあります。
 ただひたすら傘を持っている人に合わせてカメラを動かすだけです。
 結構打率は低いですが、ハマった時にかっこいい写真を撮ることができるのでおすすめです。

『空間認識』

特に祭りでは気をつけよう。

 スナップを撮影するうえで僕が特に気を付けているのは「周りの歩行者の方の邪魔にならないこと」です。
 色々なスナッパーを見ていると周りの歩行者に気づかずにスナップ撮影をし続けてしまい、邪魔になっていることにも気づいていない人が実はかなりいます。
 道路の端っこから撮影していて歩行者の方が自分の背中まで回り込んで通っていることにすら気づけないのはスナッパーとして致命的です。
 厳しい言い方にはなりますが、トラブルを回避するためにも、まずは自身の空間認識能力を向上させることに努めることを推奨します。
 空間認識能力を向上させることで人々の動きが読みやすくなり、打率が上がることは言うまでもありません。
 周囲の人の動きを意識して歩くようにすることで、空間認識能力が向上できたと思っています。(都市部だと意識しやすい)
 僕も完璧ではありませんので鍛錬の日々です。

『ファインダーを覗き続けない』

ファインダーを覗き続けるとこのような写真は撮りづらい。

 前項の続きとなります。
 もしかしたら珍しいのかもしれませんが、僕はファインダーを覗き続けることはほとんどありません。
 写真を撮るときだけファインダーを覗いて素早くピントを合わせるか、目標にピントを合わせておいて一度カメラを下し、絶妙な瞬間だけ覗いて(もしくはノーファインダー)で撮影することが多いです。
 そうすることで歩行者の方の邪魔になりづらいためおすすめです。
ファインダーを覗き続けるのは明らかに人の邪魔にならない場所(橋の上など)やポートレート(モデルさんと相互に教え合える)くらいです。

『斜めから撮ってみる』

 僕がスナップするときによくする立ち位置は「斜め」です。
 もちろん真正面や真横から撮ったりすることもありますが、斜めから撮ることで立体感が出ることもあります。

真横から撮ったスナップ
斜めから撮ったスナップ

 真横からでは分かりづらい表情も斜めから撮ることでわかりやすく、尚且つ日の当たる部分も増えるので被写体がより立体的に写ります。

『足が開いた瞬間を狙う』 

渋谷にて

 街行く人を被写体とするときに大事なのは「足が開いた瞬間」を狙うことです。『街×人』で紹介した舞妓さんの写真も足が開いています。
 これは慣れなのでなかなか難しいですが、足がクロスした状態の写真は微妙になることが多いです。
 漢字の通り「人」の形になるか棒の形になるかで写真の印象とかっこよさは大きく変わります。
 足がクロスし始めた瞬間くらいでシャッターを切ることで、うまく足の開いた写真が撮れるなと言うのが僕の感覚です。

『ビゾフレックス(外付け電子ビューファインダー)を使う』

 デジタルのM型Leicaではtyp240以降のシリーズからビゾフレックスという後付けの電子ビューファインダーがあります。
 ※ビゾフレックスというのは後付けのファインダーでアナログ時代からあり、デジタル版にもその名称が継承されていますが、ここではデジタル版のビゾフレックスのことを指します。
 僕も基本的にスナップではレンジファインダーで撮影していますが、場所によってレンジファインダーではかなり厳しい場所もあります。(暗所や花びらなど)
 その時にライブビューの画像をそのままファインダーで覗くことができるビゾフレックスがかなり重宝しています。
 ポートレートではほぼ全てビゾフレックスを用いてピント面を追い込んで撮影しています。
 Leicaを使う方はレンジファインダーでの撮影にこだわる方が多いと思いますが、使えるものは躊躇せず使いましょう。撮れる方が大事です。

 そして僕のスナップでの使い方は、ビゾフレックスの首を90度垂直に曲げて上から覗いて使用するです。
 イメージで的にはハッセルブラッド、ローライフレックスのようなイメージです。(ウエストレベルでは使用できませんが)
 そうすることで被写体に直接カメラを向ける必要が無くなり、気づかれにくくなります。
 レンズは同じ方向を向いていても、真っ直ぐカメラを向けるよりも上から覗くことで対象となる被写体に意識させづらくなる効果があると思っています。(何やってんのあいつ?という視線は時々感じますが)
 レンジファインダーに比べると速写性がないので、信号待ち中などゆっくり撮影できる場所で使うことが多い手法です。
 これは意外と一緒にスナップした人たちに驚かれる手法でした。

 僕の思うビゾフレックスのデメリットとしては以下のとおりです。
・高い
→Leica製品なので言うまでもありません。
・ダサい
→とにかくダサいです。格好悪くて付けるのを躊躇していました。
・外せない
→Leica製品は接点が日本製のカメラに比べるとシビアです。
 接点を故障させている人を何人か見たため、あまり付け外しはしない方が良いでしょう。
・嵩張る
→ビゾフレックスをつけることで頭が出っ張って嵩張ります。
Leicaの特徴でもあるコンパクトさが少しばかり損なわれます。
 これらのデメリットはあいますが、それを差し置いても十分に価値あるアイテムなので余裕がある方は使ってみましょう。

 Leica以外にもSIGMAfp、CanonEOSMなどに90度回転する外付け電子ビューファインダーがあります。
 同じように使うことができますのでおすすめです。(Leicaとの互換性はありません)

『被写界深度を考える』

少年がおじいさんと同じ被写界深度になる瞬間で押さえた。

スナップするときに考えるのは被写界深度です。
開放での撮影が多いため、人と人とのすれ違いシーンなどでは、同じ被写界深度に来た時にシャッターを切ることで両者にピントを合わせることができるのでよく意識するポイントです。

『ストリートスナップの心構え』
 普段街を街を歩いているとたくさんの素敵な何気ない日常風景が広がっており、それらに魅力を感じてシャッターを切っています。
 街中の知らない人を撮影することになるので「許可を取らなくていいの?」ということも考えるでしょう。
 スナップを撮る人たちが一度は考える問題の一つではありましょう。
肖像権などについては各々調べていただきたいですが、僕は基本的に許可を取って撮影することはありません(一人一人に声をかけているときりがない)が、その場で消してほしいと言われたら消します(どうしてもその写真を消したくないならば表現の自由を掲げて勝負しても良いでしょうが、消した方が早いでしょう)し、SNSなどにアップする際も見た人が不快にならないことや写った人を嘲笑するようなものにしないことを心がけています。
 そして一枚一枚シャッターを切るたびに映ってくれた人に敬意を持つようにしています。
 相手に伝わるものではないと思いますが、そういう心構えで撮ることが大事だと考えています。

あとがき

 いかがでしたでしょうか。
 頭に浮かんだだけでも意外とたくさんありました。
 少し厳しめの表現をしている箇所もありましたが、皆さんの参考になれば幸いです。
 最後にまた少しまじめな話をしましたが、ここまで見てくれた皆さんの写真ライフがより良いものになりますように。
 それでは、また。

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